【漫画】5秒童話【感想】

6.5 out of 10 stars (6.5 / 10)

前代未聞! 地面に落ちる寸前、5秒の物語!? 少年・童は高層マンションの屋上から落ちてしまう。
絶体絶命の最中、階下の部屋で展開される、驚愕の事実に直面!! 童の運命は!?

ジャンプコミックス公式サイトより引用
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DATA

  • タイトル:5秒童話
  • 作者: 第年秒
  • 刊行年:2015年
  • 巻数:全1巻
  • 出版社:集英社
  • レーベル:ジャンプコミックス

概要

本作は集英社のwebコミック誌である「ジャンプ+」にて2014年に連載されていた作品です。
中国出身である作者の日本デビュー作でもあります。

マンション26階屋上から落ちていく主人公

本作は主人公である少年の「童」が自宅マンションの屋上で物思いにふけている場面から始まります。何やら人類の将来を案じている見える童の背中に、後方から飛んできた物体がぶつかります。屋上の縁に立っていた童はそれでバランスを崩し、落下していきます。
童は落下の直前、近くに人影を認めて助けを求めようとするも間に合いません。もっとも完全に体勢を崩してしまっているので、相手が気付いても助けるのは無理ではなかったかと思われます。
こうして開始数ページ目にして、童は地上26階の屋上から落ちていく事になります。
死が目前に迫っている堂は感覚が鋭くなっているのか、落ちて行く中見えた室内について思考を巡らして行くというのが本作の主な展開です。

人間関係

序盤は主に落下中に見えた室内の状況から思考を巡らせます。
それは留守にしている様子の友人「張元首」についての回想だったり、学校内で人気が高い少女「何了了」の意外な顔だったりします。しかしこの何了了が書き物をしている場面ですが、顔が・3・なのは何とかならなかったのかと思ってしまいます。
そういった回想などで主人公の大雑把な人間関係が何となく把握出来るようになっています。
更に落ちて行きある友人の隠された一面を目撃した主人公は、その友人に関する回想へ経て、落下直前に目撃した人物を思い出します。

推理

中盤、屋上にいた人物を思い出した主人公は、なぜ自分が落下する羽目になったかという点について推理して行きます。
自らの過去を顧みたり、屋上の状況を思い返し落ちながら見える室内の光景や落ちながらの回想など全てが推理の材料となります。
本作は伏線が非常に多く、作品のボリュームを考えると情報量が多過ぎるのでは無いかと思われます。その為推理もジグソーパズルの様相を呈し、その結果主人公が辿り着く真相もやや複雑です。普通は気に留めない様な細かい逸話もパズルのピースとして用いられます。
そしてせっかく真相に辿り着いた主人公ですが、死が目前に迫っているという問題があります。主人公の如何にといったところでしょうか。

まとめ

本作は高層マンションの屋上から落下していく最中を描くという、意外性のあるテーマになっています。それから落下しながら知る友人たち表面と裏面のギャップも1つの見所といえます。
そしてこれらの要素を用いて推理物として成立させていますが、伏線が多い為か、終盤の伏線回収が非常に慌ただしい印象を受けます。
その為真相の解説部分が駆け足で分かり難い印象を受け、個人的には1回目では全貌を把握出来ませんでした。
また作者が中国の方という事があってか、絵柄は少し癖がある物の気になる程ではないと感じられました。