2018年 Odencat

青年は街角の時計の下で人と待ち合わせをしていた。
GooglePlayより抜粋
しかし、待ち人はいつになっても現れず、青年は諦めてその場を去ろうとする。
彼は気付いていなかった。その時既に、普通ではありえない事態に巻き込まれていたことに……
ループする空間、クスリ、記憶、死体、散りばめられたミステリー… 君は脱出できるか
概要
本作は記憶を無くした主人公がそれを取り戻すまでを描いたストーリー重視のADVゲームです。クリアまでの時間は1、2時間程度となっています。
ある路上から動けなくなった主人公
本作は主人公が『エンゼルロード』と呼ばれる道路上の時計前で佇んでいる場面から始まります。人を待っているつもりだった様ですが、雪も降ってきて寒くなって来たので帰ろうとした所、どこをどう進んでも同じ場所に戻ってきてしまいます。
それどころか自分が何者でなぜここにいたのかも忘れ去ってしまっていました。同じ場所から進めない上に記憶喪失という状況に陥ってしまった主人公の話を聞いてくれるのは近くでギターを弾いていたストリートミュージシャンの男性のみです。
果たして主人公は記憶を取り戻してこの状況から抜け出す事が出来るでしょうか。

システム
本作はドット絵による2D見下ろし型のADVゲームとなっていて、移動先をタップする事で会話や調べるといった動作を行う形になっています。本作の特徴としては一画面分のステージで調査を行い、条件を満たす事で時間が進んで次のステージへ進行するといった事が挙げられます。
また進行条件が分かり難い場合もありますが、ヒント機能も実装されていてステージ中央付近にある灰皿を調べる事で主人公が考えるという形でヒントとなります。
システム面はシンプルでアイテムなどといった概念も無いほどですが、分かり難いといった事もありません。
ただ難点を挙げるとすれば歩行者に少し話し掛けにくく、話し掛ける前に画面外へ出られてしまう事があるといった程度でしょうか。もっとも歩行者もループしているので困るゲーム進行上困る事はありませんが。


グラフィック、雰囲気
本作は短編ですが、キャラクターのドット絵は座ったパターンなどのあり、しっかり作られている様に感じられました。
またストーリー中、作中の舞台となる場所は治安が良くない様に語られてはいるものの、主要キャラ以外は輪郭だけの表示となっていて不思議な世界といった雰囲気と感じられ、実際の世界観とのやや異なっているという印象を受けました。
記憶と真相
路上で話を聞いている内に、主人公を知っている様な人物と遭遇するも逃げられたり、主人公の記憶が刺激されるような物が現れたりします。
それらが現在の境遇と関係あるのかと考えながら調べる内に、断片的ながら記憶が蘇って来ます。
そしてそれらを基に得た情報も合わせて考える事で主人公は自分が現状に至った経緯を知る事になります。それは先述した作中世界における治安の悪さに振り回された結果と感じられました。
また真相に至る経緯で選択肢があり、エンディングが分岐する様になっています。

後日談
本作はTrueENDを見た後、課金する事で追加シナリオとして後日談をプレイする事が出来る様になっています。本編の主人公に変わってあるキャラクターに焦点を当て、治安の悪い作中世界でのその後が描かれています。有料ですが本作のストーリーが気に入ったなら購入するという選択肢もありかと思われます。

まとめ
本作は謎解き要素など排した印象を受ける、ストーリー重視のADVゲームとなっています。記憶を失った主人公が現在いる路上から出られないだとか、モブキャラが輪郭のみで表示されているといった不思議な世界といった印象ですが、実際には治安の悪い街で下手をすれば後味悪くなりそうな物語が展開されます。
しかしストーリー自体は意外性もあり、短時間で楽しめるため気になった方はプレイしてみるのも良いかも知れません。