【漫画】バビロンまでは何光年?【感想】

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  • タイトル:バビロンまでは何光年?
  • 作者:道満 晴明
  • 刊行年:2019年
  • 巻数:全1巻
  • 出版社:秋田書店
  • レーベル:ヤングチャンピオン烈コミックス
6.5 out of 10 stars (6.5 / 10)

消滅した地球の生き残りのバブを含める3人組がポンコツ宇宙船で旅をする。
ロマン広がる果てなき宇宙で、地球の記憶を求め星から星へ。
性に望郷に家族愛。そして旅を続けたその先で知る事実とは…!?

Amazonより引用

概要

本作は月刊誌ヤングチャンピオン烈に2017年から2019年に掛けて連載された作品です。2019年に単行本化され、2020年にはSF作品を扱った第51回星雲賞のコミック部門を受賞しています。

小刻みに進行するストーリー

本作を読み出そうとして、まず思う事は話数が多いという事です。全1巻ながら実に全32話となっていて、1話当たりおよそ6ページと短いページ数での連載だった様です。
その為か短めの出来事が多めで小刻みに進行し、場面転換も早めに感じられる為ドタバタした印象を受けます。

唯一生き残った地球人

本作の主人公は「バブ」と呼ばれている青年です。彼は消滅した地球唯一の生存者で、消滅から間もない頃、地球の残骸を観に来た機械生命体の「ジャンクヒープ」と小型犬の様な外見をした「ホッパー」が乗っている宇宙船に助けられ、一緒に旅をする事になります。
しかし主人公は衝撃からか名前すら思い出せない記憶喪失となっていました。ちなみにバブという名前ですが、発見された時着ていたTシャツにプリントされていたアニメキャラの名前です。我々からすればそれが着用者の名前でない事は明らかですが、そこは文化や価値観が異なる異星人。これが彼の名前に違いないとなってしまう訳です。
この様に主人公の置かれた状況というのはシリアスな物ですが、絵柄や雰囲気がコミカルで、下ネタも多い為シリアスさを感じ難くなっています。

宇宙の珍道中

先述の通り、主人公は地球唯一の生存者です。その為か種族生存本能が過剰に働いていると見られ、序盤はひたすら性的欲求に駆られている様子が描かれています。生存本能とはいえ、異星人相手に盛っている姿は滑稽に描かれているものの、同時に哀愁を感じなくもありません。
そんな主人公たちの宇宙船に、少女「カレルレン」がヒッチハイクで乗ってきます。少女といっても数千年以上生きていそうな感がある彼女は、発展途上惑星の進化を促すボランティア活動していると言い、その延長といった感覚で主人公の子を設ける事を申し出ます。

記憶が戻った先

その後カレルレンと別れてから紆余曲折を経て、物語開始時点での目的地だったと思われる惑星アーカーシャへ辿り着きます。何でも宇宙が始まって以来の記録が全て残されいているそうです。そんな宇宙規模の漫画喫茶で主人公は自身の記憶を呼び起こされ、イングランド出身で地球消滅直前は単身で日本旅行中だった事を思い出すものの、地球消滅そのものは覚えていない様です。それを受けてか、ホッパーが口にした四次元人なる存在。四次元という事で、どうやら時間も自由に移動できるそうで、宇宙規模において神格化されている様です。そして主人公も記憶が戻りだした影響か、バビロンに行かないといけないという焦燥感に駆られるというタイトル回収していました。
その後旅の目的は四次元人を探す事に変わります。メンバーを増やしていった一行はやがて様々な事実を知っていきます。そして地球の消滅、四次元人、宇宙の創世、カレルレンとの出会いなどといった出来事が収斂していく終盤は見ものであると言えます。
果たして主人公はバビロンへ辿り着けるでしょうか。

まとめ

本作を画風および、ネットスラングが用いられたりといった雰囲気はコミカルに感じられますが、ストーリーそのものはシリアスな面も結構含まれている印象を受けました。
また異星人たちの文化がどこかで見た事ある様なものもある意味伏線なのかとも思いました。ラストシーンも印象的で余韻を感じさせる物になっています。