【Android】バカサスペンス -証言は2つまで-【感想】

2018年 G.Gear.inc

6.5 out of 10 stars (6.5 / 10)
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概要

本作はタイトル通り、おバカなノリで進行する推理ゲームです。
5つの事件からなり、連作短篇集の様な感覚で進行し、クリアまでの所要時間は3、4時間程度となっています。

おバカな推理物

本作の主人公「アホダ」は大学生で、あるサークルに所属しています。本作はそんな主人公やサークルメンバーが遭遇する事件を解決していくという物です。
しかしその事件というのがアホダ宅トイレで誰かが流し忘れたという「トイレ事件」やサークルメンバーの自転車に着いていたサドルがカリフラワーに取り替えられてしまう「サドル事件」など何ともおバカなノリが前面に出ています。
しかもそれぞれの事件名はサブタイトルで、各話それぞれに何故か中二病全開のタイトルが付けられています。ちなみに最初のトイレ事件についているタイトルは「置き去りの暗黒物質(ダークマター)」となっていて、主人公たちは大学生にも関わらず、何故中二病的なタイトルになってしまったのか気になる所ではありますが真面目にバカをやる様な感覚で名付けた様な印象が無くもありません。

最初の事件タイトル。

基本的にこの様なノリなので、死人が出ることはありませんし、一見おバカな事件の背後には凶悪な事件が隠されているという事もありません。
ただ最後の事件は普通に傷害事件で、若干シリアスな雰囲気がありますが、主人公がシリアスな雰囲気を強調する一方で、被害者救出の方法がどこから見てもギャグでしかないなどと、そういったギャップもギャグになっていると感じました。

最初にプレイヤーに投げかけられる質問。
トイレで流し忘れた犯人を探します。

システム

ゲームの流れはこういったアプリで良くあるタイプの物で、捜査パートと会議パートに分かれています。
捜査パートではフラグを立てつつ証拠や証言を拾っていきます。
マップはありませんが、フラグを立てる事で捜査可能な場所が増えるようになっています。
本作は証言に関するシステムがあり、キャラクターが黄色い吹き出しを発している際の証言は2つまで覚えて、証拠として取り扱えるという物です。
2つまでというのは主人公の記憶容量が少ない事を表している様ですが、覚えた証言を簡単に忘れて覚え直す事が出来ますので、これはこれで一つの才能と言えるかも知れません。
一応システムとしては、複数の証言を比較してより重要性の高い物へ取捨選択する事を想定している様ですが、残念ながら本作のキャラクターたちは事件と関係ない証言も多いため、そういった面ではあまり活かされて無い印象でした。

捜査パート開始画面。
これだけ見ると普通の推理モノっぽいです。
捜査パートのシステム自体は割とオーソドックスなものです。
証言を2つまで覚える事が出来ます。

推理ゲームとして

証拠や証言を一通り集めた後会議パートへ移りますが、本作は類似のゲームと比べて会議パートの比重が大きくなっています。
シナリオによっては捜査パートと同等の時間を要する印象を受けます。
通常、類似した推理ゲームでは捜査パートで証拠集めを終える段階で、プレイヤーでもある程度推理が出来ていて、会議パートはその確認といった意味合いが大きいのですが、本作においてはそんな事は無く、序盤のシナリオを除くと証拠や証言を集め終えてもプレイヤーでは情報が足りず推理が出来ない状態だったりします。
そして良く分からない状態で始まった会議ではキャラクターたちの掛け合いから新情報がいくつも出てきたりして、会議が始まった段階では推理するのに無理がある状況だったと悟ったりします。
つまりプレイヤーに推理させるという意味での推理ゲームとしては弱いと言えます。

本作の本番と言える会議パート開始画面。
主人公を除くサークルメンバー全員が表示されますが、欠席者は×がついています。
ちなみに証拠もこのような感じです。

サブ要素

本作はメインである5つの事件を扱ったシナリオの他に、前日譚である2つのサブシナリオを開放して読むことが出来ます。
このEXTRAと付けられたサブシナリオを開放するためには、メインの各シナリオに隠されたメダルを集める必要があります。
メダルは各5枚で計25枚隠されていますが、サブシナリオを2つとも開放するためには全部集めなくては行けません。
隠し場所は捜査するポイントと異なっていますので難し目と感じられます。
サブシナリオを読んでみたいという方はヒントもありますので探して見るのも良いかも知れません。ちなみにメインの捜査に関するヒント機能はありません。

まとめ

本作のおバカなノリやキャラクター、雰囲気などは悪く無いと感じられる反面、推理ものとしては弱い印象を受けました。
一見ライトな軽い感覚で遊べる推理ものですが、プレイヤーでの推理が難しい場面が見受けられ、その結果難易度自体は容易とは言い難いという印象です。
ただ複数エピソードでの伏線が張られている辺りは、連作短篇集のミステリ小説の感覚で楽しめて好印象でした。