2021年 ハタイケダ

物語の聞き手となるあなたは、歴史家を志す学者の卵。
GooglePlayより抜粋
遥か過去に断絶したスペイン・ハプスブルク王家、その失われた肖像画を所有するという画廊を訪れます。
そこの主人を勤める奇妙な男は、彼だけが知るという肖像画のモデルたちにまつわる物語を、ひと夜に一つずつあなたに語ります。
やがてそのいくつかの小さな物語は歴史に置き去りにされた、別れの情景をあなた心の中へと映し出します。
目次
概要
本作は実在した王家を題材にしたノベルゲームです。
ノベルゲームを対象にした開発コンテストであるティラノゲームフェス2020の佳作入賞作品だそうです。
クリアまでの所要時間は1時間弱となっています。
歴史上の王家を題材にしたオカルトノベルゲーム
歴史家の卵である主人公はある画廊を訪れます。何やら訳ありげな画廊の主人は、主人公にコレクションの肖像画を披露し、その画に纏わるエピソードが語られて行きます。
それらのエピソードはスペイン・ハプスブルク朝の王族に関する物です。フェリペ4世の王太子で史実ではカルロス2世として即位した「カルロス」を中心とした王族たちのオカルト的な物で、彼らは史実とは異なる足跡を辿る事になります。

システム
本作はシステムとしては比較的オーソドックスなノベルゲームと言えます。画廊で見たい肖像画をタップすると、その画の人物に関するエピソードが語られ、タイトル画面に戻るというのが基本的な流れです。ただ肖像画は最初は2枚しか無く、周回して別のエピソードを読んで行くと肖像画も追加され、最終的には5枚まで増えます。ちなみにエピソード内で分岐はありません。
機能としてはログ機能は実装されています。ただ細かい文字で画面いっぱい埋め尽くすため、やや見づらい印象でした。スキップ機能は確認出来ませんでしたが、普通にクリア目指すのであれば同じ文章を読む場面は無いと思われますので、あったとしても無用の長物になるかも知れません。
しかしバックログと同じく文字は全体的に小さめとなっているのが少し残念な点と言えます。
また作品の演出としての結果と思われますが、1つのエピソードを読み終えると、最後まで終えても読み返す事は出来ず、読み返すには最初からやり直すしか無さそうです。回想という形でも読み返せれば便利だったかも知れません。

グラフィック・演出
ゲームのボリュームに反してスチルが多めとグラフィック、演出面では優れている様に感じられました。
エピソードによって表現方法が異なっているのも、それぞれのエピソードに合わせた結果という風に感じられ、奇を衒ったとかそういった印象は持たせません。


ダークファンタジーなストーリー
本作は先述した様に実在した王家をモチーフにしたストーリーとなっています。
しかし『高貴な青い血』という言葉にファンタジーな設定を与える事で独特なストーリーとなっています。
その血を凝縮した結果、史実でもスペイン・ハプスブルク朝の終焉などといった弊害をもたらしました。本作でも悲劇的色彩を帯びたダークファンタジーといった印象のストーリーを展開させる事になります。
まとめ
本作は虚実入り混じった設定から独自のストーリーが展開されるノベルゲームです。
グラフィックなどから独特な雰囲気が醸し出されていて、人を選ぶ作風と言えるかも知れません。
ただプレイ時間は短いため、気になった方はプレイしてみて損は無いと思われます。
