【劇場アニメ】BLOOD THE LAST VAMPIRE【感想】

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DATA

  • タイトル:BLOOD THE LAST VAMPIRE
  • 公開年:2000年
  • 時間:48分
  • 制作:Production I.G、I.Gプラス
  • 監督:北久保弘之
7 out of 10 stars (7 / 10)

1966年、ベトナム戦争中の米空軍・横田基地。人間社会に身を潜めた吸血鬼・翼手を倒すため、「組織」が送り込んだ救世主…小夜。セーラー服に身を包んだ彼女は、日本刀を武器に基地内のアメリカンスクールに潜入し、吸血鬼と対峙するのだった。

U-NEXTより抜粋

概要

本作はアニメ映画、ゲーム、海外実写映画、小説とメディアミックス展開された作品の一つをなしている作品です。各媒体同士のストーリーに直接の関連は無く、主人公を同じくする個別のエピソードとなっている様です。
2000年に劇場公開され、第4回文化庁メディア芸術祭アニメーション部門大賞受賞など複数の受賞歴を持っています。
また後に制作された『BLOOD+』の前身にあたる作品としても知られています。

戦後の米軍基地内で展開されるストーリー

本作のストーリーは米軍横田基地内の高校に、主人公である少女「小夜」が転入する所から始まります。
冒頭の場面では彼女が『翼者』と呼ばれる存在を狩ることを任務としている事が分かります。しかしそれと同時に、一般サラリーマンを地下鉄内で誤って惨殺した可能性も示唆されているのですが、この件についてはその後触れられる事はない為、ややスッキリしない印象を受けます。
そして横田基地の高校内に潜んでいると見られる翼者を狩る為に潜入した小夜ですが、使用武器である刀が、地下鉄の件で刃こぼれしていて、いつまで使えるか分からないという不安点がありました。
折しもハロウィンの時期であり、校内でもやがてハロウィンの仮装やダンスパーティーが行われます。そんな中不審な動きを見せる生徒がおり、その前に小夜が現れます。
果たして戦いの決着は如何にといった所でしょうか。

雰囲気など

作中で年代について明言はされていませんが、街中の様子などから昭和の割と古い年代である事は想像出来る様になっています。そして実際終盤ではベトナム戦争の最中である事が分かります。
ただストーリーの多くは米軍基地内で進む為、その時代の雰囲気というのはさほど感じられない物になっています。
また小夜は基地内の高校に潜入するのですが、周りは当然アメリカンハイスクールな私服の生徒ばかりなのに対して、セーラ服の小夜は却って目立ってしまっている印象を受けます。セーラ服と日本刀の組み合わせというのが本作のウリの1つで、それ自体は良いと思うのですが、舞台設定が活かされているかというと少し疑問ではあります。
しかし周りが私服ばかりだと小夜のセーラ服が引き立つという見方が出来るかも知れません。
ただやはり時代設定が活かされていない感は依然として残る為、そこは少し残念な点と言えます。
また米軍基地内でストーリーが進む為、会話の半分以上は英語に字幕という形になっています。それに加えて寺田克也氏の手による緻密ながらも重厚感を感じさせるキャラデザなどから、洋画の様な雰囲気も感じられます。

死闘

校内に潜んでいる翼者に対し、小夜が先制攻撃を仕掛ける事で戦いが始まります。翼者とは普段は人間の姿をしていますが、実体は巨大な蝙蝠の様な姿をしていて、小夜が血を吸う鬼と言っている事から吸血鬼の様な存在と考えられます。
そんな相手に対して白刃閃かせて斬りかかる小夜は複数体いる翼者の1体を一刀にて斬り伏せて倒し、その実力を視聴者に見せ付けます。
しかしこの後、倒し損ねた翼者と新手によって小夜は苦戦を強いられる事になり、いかにもホラーといった幕間を挟んで激闘が繰り広げられます。血みどろの戦いの幕間で血飛沫上がるホラーな場面が展開され、タイトル通りBLOODな有様と言えるかも知れません。
そんな戦いの中、徐々に追い詰められて行く小夜ですが、ギリギリまで追い詰められてから逆転の場面は見所の1つと言えるのでは無いかと思います。

まとめ

本作はホラーアクションと銘打っている通り、戦闘シーンなどのアクションに重きを置いた作品となっています。
その反面ストーリー面はやや薄味という印象は拭い難いですが、ラスト付近で示唆される小夜についての意外性など、ある程度の部分は押さえていると言えるでしょう。
また本作では日英バイリンガルで話す声優の仕事も印象深く、小夜役の工藤夕貴さんと保険医役の中村佐恵美さんと米国在住の女優である二方の働きも大きいと感じさせられました。