目次
DATA
- タイトル:コップクラフト
- 放送クール:2019年夏
- 話数:全13話
- 制作:ミルパンセ
- 監督:板垣伸
- 脚本:賀東招二、永井真吾

一五年前、太平洋上に未知の超空間ゲートが出現した。
公式サイトより
その向こうに存在したのは、妖精や魔物のすむ奇妙な異世界「レト・セマーニ」だった。
「サンテレサ市」。二〇〇万を越える両世界の移民が住む都市。
雑多な民族と多彩な文化。そして持てる者と、持たざる者。
ここは世界で最も新しい『夢の街』。
だがその混沌の影には、数々の犯罪がうごめいていた。
麻薬、売春、武器密売。
それら凶悪犯罪に立ち向かう刑事たちが、サンテレサ市警察に存在していた……。
刑事ケイ・マトバと異世界人の騎士ティラナ、
性別も性格もそして「生まれた世界」も違う二人が出会うとき、事件は起きる。
ファンタジー様子がある刑事もの
太平洋にある架空の島カリアエナ島にある都市サンテレサ市の市警に勤める刑事ケイ・マトゥバが本作の主人公です。
1話冒頭、主人公は相棒と共に張り込み捜査で違法な取引を摘発します。
しかし逮捕しようとした容疑者が暴れだした挙げ句アンデット化し、相棒は殉職してしまいます。
このシーンで本作で原作未読でも、本作で扱う事件が現実の物と異なる事が予想出来ます。
それから間もなく、主人公は異世界であるセマーニ世界からある事件を調査する為にやって来た、ヒロインである見習い騎士ティラナを出迎えに行き、その後主人公とヒロインはコンビを組む事になります。
現実世界と異世界の融合
本作では現実世界である地球といわゆる異世界であるセマーニ世界が繋がっていて、ゲートで行き来出来るようになっています。
このゲートは元々開いていた物では無く、近年突如開いた様です。
そしてその際にセマーニ世界にあった陸地が地球側に転移してしまい、そうやって出来たのがカリアエナ島だそうです。
この2つの世界は今でこそ穏便な関係ですが、戦争があったらしい事がしばしば言及されています。
そうなると現代兵器vs魔法の対決は避けようがありませんが、この戦争がどのような経過をたどり、どうやって終結したのかも気になる所です。
また主人公はこの戦争に従軍していたそうで、その為かセマーニ世界の言語であるセマーニ語をある程度は話せる様です。
サンテレサ市にはカリアエナに元々住んでいて、そのまま残留していたり、その後セマーニ世界からやって来たりしたセマーニ人も居住しています。
地球側の住民からすれば、セマーニ人は外部からやって来た異民族であるためセマーニ人を「宇宙人」と呼ぶなど現実の民族問題じみた事態が起きています。
この地球人とセマーニ人の衝突は作品の重要な部分であると感じました。
作画と雰囲気
本作の作画は良好といえる程のレベルではありません。
作画そのものが大きく崩れたりと言った事はありませんので、普段はそれほど気になりませんが、戦闘シーンになると途端に動きが少なくなったりします。
主人公は射撃が主なのでそこまで動きは大きくないのですが、ヒロインは剣術でしかも結構動きが大きいにも関わらず作画枚数が節約されていたりするのは残念な所です。
また作画と別ですが、やや硬派な印象を受けるキャラデザは作品の雰囲気に合っていると言えます。
そんな本作の雰囲気ですが、全体的に海外ドラマを意識したと思われる物となっています。
舞台が米国領という事もあって文字情報が英語ということもありますが、例えば終盤のパスワードを伝える場面でセリフは「バカタレ」で入力は「f○ck」となっているなど演出やセリフ回しが海外ドラマの吹き替え版のような雰囲気を感じてしまいます。
それ以外にもセマーニ世界の言語であるセマーニ語による会話シーンや詠唱などは設定が作りこまれている印象を受け、それらも含めて雰囲気は総じて良いと言えます。
事件と主人公コンビ
妖精誘拐事件をきっかけにコンビを組むことになった主人公とヒロイン。
主人公コンビの懸命な捜査により犯人一味を追い詰めるも、事件は悲劇的な幕切れとなってしまいます。
事件終結後もコンビは継続され、いくつかの事件を捜査します。
それはセマーニ世界から持ち込まれたバンパイアが復活した事件だったり、地球のポルノ本をセマーニ世界に持ち込んで稼ごうとしたりと言った物で、二つの世界が交わる場所であるサンテレサ特有の事件と言えます。
バンパイアはともかく、ポルノ本はまだ笑っていられる雰囲気がありますが、終盤の事件は当然そうも言っていられなくなります。
本作終盤ではサンテレサ市長選候補が立て続けに暗殺されていく事件となります。
暗殺された候補者の支持者らが暴動を起こしたりしますが、市長選の争点は主にセマーニ人への姿勢となっているため、暴動は地球人対セマーニ人という構図にもなります。
事件実行犯と対峙する際、主人公のプロファイリングや消去法などの推理で犯人を絞り込んで追い詰め、ヒロインの剣術で倒します。
ところで本作のヒロイン、ティラナは作中キャラで最も返り血を浴びていますが、ヒロインとしてどうなんでしょうか。
実行犯を倒しても事態は収まらず、序盤から活動していた黒幕、謎の暗躍をするFBI、暗殺された候補者の支持者により暴動などと混沌とした状態でストーリーは最終局面へ向かいます。
詳細は省きますが、序盤は悪・即・斬な雰囲気だったヒロインが主人公を信頼するようになっていて、ラスボスである黒幕を倒す際の攻撃に関してはお互いを完全に信頼してこそというのが熱いものがあります。
まとめ
本作は海外刑事ドラマ風のアニメとしては良く出来ていたと思います。
現実世界と異世界が交わっている場所という少し変わった舞台設定ですが、だからこそといった事件やテーマが描けたと思われます。
アクションシーンがやや残念だったりしましたが、全体的には楽しめたと思います。