【TVアニメ】ドラゴンクエスト ダイの大冒険【感想】

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DATA

  • タイトル:ドラゴンクエスト ダイの大冒険
  • 放送クール:2020年秋 ~ 2022年秋
  • 話数:100話
  • 制作:東映アニメーション
  • 監督:唐澤和也
  • 脚本:千葉克彦、隅沢克之、吉田伸

かつて、魔王ハドラーにより苦しめられていた世界は、
「勇者」と呼ばれた一人の剣士とその仲間たちの手により平和を取り戻した――
時は流れ…。魔王から解放されたモンスターたちが暮らす南海の孤島・デルムリン島。
島唯一の人間であり、勇者に憧れる少年「ダイ」は、モンスターたちと平和に暮らしていた。
だが、その暮らしも、魔王ハドラーの復活により一変する。
師との約束、仲間との出会い、逃れられぬ宿命…
再び危機が訪れた世界を救うため、勇者を目指す少年・ダイの冒険が始まるー!

公式サイトより抜粋

概要

本作の原作は三条陸氏原作で稲田浩司氏作、堀井雄二氏監修でドラクエこと『ドラゴンクエスト』(以下DQ)シリーズの設定を用いて、1898年から1996年に掛けて週刊少年ジャンプで連載されていました。
旧アニメは91年10月から92年9月までの約一年ほど放映されましたが、打ち切り同然の終了をしています。

『ドラゴンクエスト』シリーズの設定をベースにした漫画の再アニメ化

本作は南海の孤島でモンスターの楽園『デルムリン島』に住む少年「ダイ」を主人公としています。赤子の頃島に漂着し、島の長老的存在である鬼面道士の「ブラス」に育てられたという彼はかつて魔王を倒した勇者に憧れています。
最初に展開されるのは島にやって来たならず者なニセ勇者一味に、親友であるゴールデンメタルスライムの「ゴメ」を攫われて助けに行くという物で、その次は島で儀式を行うためにやって来たパプニカ王国の「レオナ」王女暗殺を阻止するという物です。ただこれらのエピソードは本編連載開始前の読切が原作のため非常に短い物になっています。
ただⅢの勇者パーティそのままな出で立ちのニセ勇者パーティやキラーマシンとの戦闘など短いながらもDQ的要素が多く楽しませてくれます。
それから時間が経ち魔王復活が示唆される中、勇者の家庭教師を自称する「アバン」とその弟子である魔法使い「ポップ」が島を訪れてからが本番と言えます。
アバンから勇者になるための修行を受けていたダイですが、その最中かつて勇者に倒されたかつての魔王「ハドラー」が襲撃してきます。ハドラーは最初、復活した魔王という扱いながら序盤に現れたため、連載当時のインパクトは大きな物でした。
そしてアバンがかつてハドラーを倒した勇者である事や、ハドラーは大魔王「バーン」によって復活し、その配下であるといった情報が伝えられます。
新たな脅威に備えて後進を育てるつもりが僅かに間に合わなかったと判断したアバンですが、せめて次世代を担う弟子だけでも守ろうと自己犠牲の自爆呪文メガンテを放ちますが、それでもハドラーを倒すに至りません。
しかしハドラーは覚醒し、アバンがかけていたアストロンを自ら破ったダイと戦い、メガンテのダメージもあって撃退されます。
こうしてダイとポップはバーン率いる魔王軍に侵攻されつつある世界を救うため、デルムリン島から旅立つのでした。

世界観

先述した通り、本作の世界そのものはオリジナルですが、呪文やモンスターなどの設定などはおおよそDQシリーズに準拠したものとなっています。

ドラクエ的設定

本作に登場する中でも呪文などはいかにもDQであると感じさせます。火球を放つ初心者向けのメラ系呪文や傷を回復させるホイミ系呪文などを中心に登場します。
原作連載開始時や旧アニメ放映時のDQシリーズはFCのⅣが最新作だったため、呪文などの効果が視覚的に分からなかった事もあったため攻撃呪文の威力が視覚的に分かるのは新鮮でした。FC時代のドラクエではメラゾーマの火球がどの程度の大きさか分かりませんが、序盤でポップがガーゴイルを丸焼きにする場面で分かります。
また他には敵を混乱させるメダパニの描写は説得力あるものになっています。ただ即死呪文のザキ系はやや独自解釈といった雰囲気もありますが、ビジュアル的にわかり易くした結果かという風にも感じられます。
また大魔王バーンはDQシリーズにおけるボスキャラの逃亡不可、複数回行動といった要素を再現しています。

作画など

作画面では申し分ありません。
全体的なクオリティが高いのはもちろんですが、中盤以降の戦いが激しさを増してドラゴンボール染みた高速バトルが展開されても作画は崩れるどころかより一層のクオリティといった雰囲気になっています。
また鬼眼城戦などでCGが用いられていますが、こちらも違和感などを感じさせないクオリティとなっています。
これらの作画が1、2クールに留まらず2年に渡って展開されたのは驚異的と言え、DBなど長期放映アニメを多数手掛けてきた東映アニメーションの本気を見た気がします。
またBGMは旧アニメが89年のアベル伝説と同様DQシリーズの物を用いていましたが、本作は権利の関係かオリジナルの物となっています。しかしそれに違和感を感じるのはほんの序盤だけと言え、すぐに気にならなくなりました。

少年漫画の王道的展開

デルムリン島を出たダイとポップは同門の姉弟子と言える「マァム」と出会い、共に魔王軍と戦って行きます。序盤で出会う魔王軍軍団長の獣王「クロコダイン」や魔剣戦士「ヒュンケル」らに対し勝利を収める事で、彼らを味方にするという王道的展開で進んで行きますが、この2名は圧倒的な打たれ強さで幾度も危機から救ってくれます。
その後もダイはその出自が明らかになり、力が覚醒したりといったパワーアップイベントが何度かありますが、その相方と言えるポップも中盤以降飛躍的に成長していく姿も描写されていきます。クロコダイン戦でダイを見捨てて逃亡仕掛けた頃から考えると信じ難い程の成長を遂げますが、敵方のハドラーもダイたちに対する幾度か敗北した末に成長を遂げ、ダイたちの前に立ちはだかるといった因縁の対決を迎えたりします。
そういった激闘の果てに幾人もの意志を継いで大魔王バーンとの対決に臨むダイたち。しかしそれを迎え撃つバーンも自らの悲願を果たすべくダイたちの前に立ちはだかり最終決戦に至ります。

まとめ

実に28年越し再アニメ化で完結まで放映された本作ですが、原作や旧アニメが平成初期の物とは思えないクオリティに仕上がっています。
また原作完結からも長い年月が経っているという事もあってか『アバンの印』に関する伏線を仕込んだりと、単に完結させるに留まらない完全版とも内容になっています。
ただ1つ気になりそうな点としてはバトルや修行の繰り返しという王道的少年漫画的展開でタイトルほどDQ的な冒険が無いという事がありますが、これは原作が少年ジャンプ全盛期の連載で、とにかくバトルという風潮があったのかも知れません。
しかし本作自体は漫画のアニメ化という点ではこれ以上ない理想的な形になったと思われます。