【2020年夏アニメ】デカダンス【感想】

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DATA

  • タイトル:デカダンス
  • 放送クール:2020年夏
  • 話数:全12話
  • 制作:NUT
  • 監督:立川譲
  • 脚本:瀬古浩司
8.5 out of 10 stars (8.5 / 10)

突如として姿を現した未知の生命体《ガドル》により、人類が滅亡の危機に陥ってから、長い年月が過ぎた。生き残った人々は《ガドル》の脅威から身を護るため、全高3,000Mの巨大な移動要塞《デカダンス》を建造し、日々を暮らしていた。
《デカダンス》に住まうのは、日夜《ガドル》と戦う戦士たち《ギア》と、戦う力を持たない《タンカー》たち。ガドルと戦う戦士《ギア》に憧れ、自らも《ギア》になることを夢見る《タンカー》の少女・ナツメは、ある日、無愛想なデカダンスの装甲修理人・カブラギと出会う。
夢を諦めない前向きな少女と夢を諦めたリアリストの男。一見正反対のように見える二人の出会いは、やがてこの世界の未来を大きく揺るがすことになる。

公式サイトより

世界観

本作の世界観はややこしい物になっています。
1話を見た時点での感想は、「世紀末っぽい荒涼とした世界で展開される進撃的な話」でした。
人類は「ガドル」と呼ばれる的に9割以上の人口を失い、「デカダンス」と呼ばれる移動要塞に篭もって生活しているというのが、1話でヒロインである「ナツメ」視点で描かれる世界観です。
彼女はガドルとの戦闘を行うヒャッハーな「かの力」へ入隊を志望していましたが、通知が出なかったとかで、装甲修理を行う「カブラギ組」に配属されます。
カブラギ組リーダーにして本作の主人公である「カブラギ」の元でしばらく務めていたナツメですが、ある日カブラギらと共に戦闘に巻き込まれます。
激しい戦場の中で彼女が見たのは戦場を縦横無尽に動き回りガドルを撃破していくカブラギの姿でした。
以上が1話の粗筋でここまでだと、訳あって後方に回っているが実は凄腕戦士の主人公がヒロインを導いていくという展開が想定され、それ自体間違いではありませんが、2話冒頭で語られる内容は予想出来ない物でした。

作られた世界

2話冒頭、この世界はゲームのフィールドであると説明されます。
ゲームといってもバーチャルでは無く、プレイヤーははるか上空から人気ゲーム『デカダンス』にログインし素体と呼ばれるアバター的な肉体を操ってガドルを狩っていくのだそうです。
これから人間とガドルの戦いが展開されると思っていれば上記の様な説明がされ、意表を突かれます。

かの力に属している約5万人ほどの「ギア」と呼ばれる人々はゲームプレイヤーで、死んでも一からやり直しになるだけです。ゲームで死んだら本当に死ぬと言った事もありません。
しかし、いわゆる中の人に当たる「サイボーグ」はガドルの脅威に晒されてはいませんが、システムに管理されていて、それに従わないとスクラップされる恐れがあるなど、ディストピア的な面もあります。
また「サイボーグ」と名乗っていますが、実質的にはほぼ構成されたロボットで、モブの中には人型ですら無い者もいます。

一方、本物の人間はデカダンスのタンクに住んでいる事から「タンカー」と呼ばれ、ギアから見ればNPCの様な存在で、かの力に属している人数も僅か200人ほどです。
更にタンカーもギアの中身であるサイボーグと同洋にシステムで管理されています。タンカーには世界について知られない様になっていて、それに関する情報を知ると消されてしまう様です。
その為ゲームフィールドとして作られた世界である事を知る由もありません。

またデカダンスを運営している企業を統括そているシステムに不適合と見なされるとバグ扱いなり、サイボーグとタンカーそれぞれ異なる方法で粛清されます。
このシステムに管理された世界でバグがどう生き抜くかというのも、本作で描かれるテーマの一つとなっています。

そういった世界観でサイボーグであるカブラギとタンカーであるナツメそれぞれの視点から異なるストーリーが進んで行きます。

テンポ良く進んでストーリー

本作は毎話見どころがあり、テンポ良く進んで行っている印象で1話でも見逃したら話が解らないのではと思う程でした。
思うに1クールでは少し収まりきらない程度のシナリオを用意して、そこから無駄を削ぎ落とす事で作られたストーリーという印象です。
その為引く伸ばしに感じられる事が一切無いのですが、同時に師弟コンビを中心にしたストーリー以外は殆ど語られないという側面もあります。
もっともサブキャラの掘り下げしようとするとストーリーその物が停滞してしまう恐れがありますが。その為かサブキャラについては断片的にしか触れられません。
ストーリー上重要で良いキャラクターしたサイボーグ達は多少掘り下げがありますが、タンカーたちについては掘り下げといった物はほぼ無い様に感じられました。

その甲斐あってか、ストーリーはテンポ良く進みますし、険悪な雰囲気になっても大抵その回で解決するなどストレスを感じる事なく視聴出来ました。

最後は王道

紆余曲折あったストーリーですが、最終盤はカブラギがギアとタンカー双方から援護を受けて文字通り強大な相手に立ち向かうという分かり易い王道的な展開となっています。
デカダンスは大きく損傷し、敵の圧倒的な力はサイボーグが住まう上空も安全ではありません。
そんな中ギアとタンカー達が協力して援護するという展開はアツいと言えます。途中某ガンダムオマージュっぽい場面がありましたが。

何にせよ双方死力を尽くした戦いの後、世界観に変化が生じます。

まとめ

本作はストーリーももちろんですが、最後まで作画も安定していた作品でした。
映像面では戦闘シーンの他には、コミカルな外見しているサイボーグがディストピア的な管理社会で支配されているギャップや表情豊かなヒロインのナツメなどが見どころと言えます。
ただ所々説明不足で公式サイトを見ないと分かり難い部分もあったりしますが、それを差し引いても見事で、個人的には1クールアニメとしては良く出来た作品と言っても良いのではとも思いました。