2014年 104分

ナノハザードにより廃墟と化した地球。
公式サイトより
人類の多くは地上を捨て、データとなって電脳世界ディーヴァで 暮らすようになっていた。
西暦2400年、そのディーヴァが異変に晒されていた。
地上世界からの謎のハッキング。
ハッキングの主は、フロンティアセッターと名乗った。
ハッキングの狙いは何か。
ディーヴァの捜査官アンジェラは、 生身の体マテリアルボディを身にまとい、地上世界へと降り立つ。
地上調査員ディンゴと接触しようとするアンジェラを待ち受けていたのは、 地上を跋扈するモンスターサンドワームの群れ。
アンジェラはそれを迎え撃っため機動外骨格スーツ·アーハンを起動する。
荒廃した地上のどこかに、フロンティアセッターが潜んでいるはず。
アンジェラとディンゴの、世界の謎に迫る旅が今、始まった。
目次
概要
本作は東映アニメーションとニトロプラス合作によるフルCGアニメです。
水島精二氏監督で虚淵玄氏が脚本という点が注目されますが、その内容は如何な物でしょうか。
バーチャル空間に生きる人類
本作は人類の殆どが地球を離れ、宇宙空間に建造したディーヴァと呼ばれる施設内で電脳パーソナリティとして生きているという世界観です。
人類が自ら進んでマトリックス的なバーチャル空間で生きていると思ってもらえれば良いかと思います。
冒頭、海水浴中のビーチが映る場面で、「フロンティアセッター」と呼ばれるクラッカーから映像やメッセージが送られて来ますが、海水浴客もクラッカーの仕業という事を把握している様子です。
その海水浴客に紛れ込んでいた主人公「アンジェラ」と若者の会話などから電脳パーソナリティ同士でも割り当てられるリソースに格差がある事が示唆されています。
若者はアンジェラに大きめのリソースが割かれていると言っていましたが、それは彼女の立場上一般的な電脳パーソナリティより優遇されているという事なのかも知れません。
地表へ
システム保安局員であるアンジェラはフロンティアセッター調査の任を受けて、地表へ降りる事になります。
地球はかつてナノマシンの暴走によるナノハザードと呼ばれる災害が起きて荒廃したため人類の殆どは地表を離れた模様です。
そして電脳パーソナリティで地表に降りられる訳も無いので、遺伝子情報からマテリアルボディと呼ばれる肉体を生成してそれを用いる様です。そのマテリアルボディの生成を早めに済ませたアンジェラは肉体年齢16歳の状態で地表へ趣きます。
本作の大半はこの地表で進行します。
地表にいるという協力者「ディンゴ」と合流するアンジェラですが、彼はなかなかの曲者でした。
合流に際してサンドワームの群れを引き連れてやって来る、アンジェラがアーハンと呼ばれる人型兵器で殲滅した後にフロンティアセッターに位置がバレるという理由でアーハンの通信アンテナを破壊します。
この一連の流れで、ディンゴはサンドワームの肉を売り払い使い物にならなくなったアーハンをスクラップとして売り払います。
出会って数分でアンジェラは利用されてしまった感がありますが、この程度の強かさが無いと荒廃し文明が後退している地表で生きて行けないのかも知れません。
調査
他の保安局員を出し抜く為に早めに降りたというアンジェラの為、ディンゴは合流地点から遠く離れた街で情報収集を行う事にします。
出し抜く必要があるのは、功績を挙げればそれだけ多くのリソースを与えられる為と思われます。人類は電脳体となっても資源の奪い合いをしている模様で、資源の形態が物から演算リソースという形を持たないモノに変わっただけと言えます。
そしてアンジェラは街で体調不良に見舞われます。普段電脳パーソナリティとして生きているから体調が悪くなっているのに気付かなかった様です。電脳パーソナリティは病気や怪我はもちろん、不老不死な存在な様で、そういった存在からすれば肉体は不要な物と感じられるのかも知れません。
そういった紆余曲折を経てフロンティアセッターの元に辿り着いたふたり。
フロンティアセッターは自己アップデートを何度行う内に自我を持つに至った人工知能でした。
彼はかつて人類によって成された計画に従って宇宙船建造を行っていたそうで、移住先を探す目的の宇宙探査を行うはずがこのままでは乗員なしで出航するため電脳パーソナリティから同行する希望者を募っていたとの事です。
フロンティアセッター自身はディーヴァに敵対する意思はなく、宇宙船も間もなく出航する事から脅威にならない事を報告すれば任務完了と考えたアンジェラですが、ここから急展開となります。
楽園追放。そして
アンジェラの希望的観測に反して、ディーヴァ保安局上層部はフロンティアセッターの存在その物を脅威と見なしていました。ディーヴァに不正アクセス可能な存在は、その存在自体が脅威という訳です。
上層部を説得しようとするも難癖つけられて保安局員の立場と市民権を剥奪されてアーカイブ処理されてしまいます。
しかしフロンティアセッターに救出されるとディーヴァの基地から電脳パーソナリティで操作可能な新型アーハンを強奪し、そのまま地上に降りるとフロンティアセッター破壊の任務を帯びていた、他の保安局員との戦闘を繰り広げます。
アンジェラが駆る新型機をディンゴが援護して一対多の戦闘シーンは本作最大の見せ場といって良いでしょう。
フロンティアセッターが乗る宇宙船は無事出航出来るのかといった感じで最終局面に至ります。
果たして楽園だったのか
本作に登場するディーヴァはタイトルにある様な楽園と言えるのでしょうか。
ディーヴァに住まう電脳パーソナリティは肉体を持たず、それが故に不老不死である事は先述した通りです。
しかし『電脳』であるため、ディーヴァの演算リソースが頼りであるため、結局リソースの奪い合いという暗部が存在しています。
また有限なリソースを節約する為か、存在価値を認められない電脳パーソナリティはアーカイブとして閉じ込められてしまいます。
これは電脳パーソナリティは不老不死であるためディーヴァが存在する限り永遠に閉じ込められてしまう事を意味します。
またED中に挟まれる保安局上層部の会話から管理が強められる事を示唆していて、不老不死である点を除くとディストピア的な面が強い印象を受けました。
まとめ
2014年と少し前のフルCGアニメですが、個人的には気になりませんでした。
ただバーチャル空間主体の話かと思えば、主な舞台は地上だったという点は好みが分かれそうではあります。
また舞台設定の関係上か用語も多めですが、主要な人物は絞られていて、ストーリー自体はわかり易く楽しめました。