DATA
- タイトル:グランベルム
- 放送クール:2019年夏
- 話数:全13話
- 制作:Nexus
- 監督:渡邊政治
- 脚本:花田十輝
総評: (7 / 10)
世界中の魔力が消失してから1000年近くの時間が過ぎ、
公式サイト https://granbelm.com/
すでに魔法は人々の記憶からもすっかり忘れられていた。
そんな世界で生きる明るく元気な高校生、小日向満月は
前向きに暮らしながらも、心のどこかに不安を抱えていた。
自分には何もない――。
勉強も運動も得意ではない彼女は、自分だけにできる“何か”に憧れていた。
夜空の月がやけに大きく感じられた満月の晩。
彼女はもうひとりの月の名を持つ少女、新月エルネスタ深海と出会う。
それは魔法人形“アルマノクス”との遭遇でもあった。
満月の運命の歯車が、軋んだ音を立てて今動き始める――。
魔法少女+SDロボット+バトルロワイヤル
本作の主人公『小日向満月』は普通の女子高生でしたが、ひょんなことからグランベルムと呼ばれる戦いが行われている空間に足を踏み入れます。
戦いに巻き込まれた満月を救ったのは参加者の一人である『新月・エルネスタ・深海』でした。
グランベルムは満月の夜に行われ、最後の一人になるまで続き、勝ち残った者が世界で一人の魔術師になれるのだそうで、要は魔法の力を手に入れる為に魔法人形(ロボット)でバトルロワイヤルと言う訳です。
その後イレギュラーな途中参戦者となって一人撃破した満月は紆余曲折を経て新月と共に戦う事を決意するというのが1〜2話の話です。
この後二人はどのように勝ち残るのか、もし二人が勝ち残ったらどのように考えて決断するのか、最終戦はどのような対決なのか。
後の展開について色々考えてしまいます。
戦闘場面
グランベルムは魔力の源である、マギアコナトスによって創られた空間で行われます。
その為戦いは武装による物理攻撃以外にも魔法を使った攻撃もあり、派手な物になっています。
機体もCGを使わず作画され、力の入りようが伺えます。
しかし魔法の派手な演出で、機体が見難い事がしばしば見受けられますが、気にする程では無いという程度でした。
また戦いが行われるのは満月の夜です。
満月とは言え、絵的に背景が暗い場面も目立ちますが、これは中盤以降の雰囲気に合っているのではとも思っています。
スロースターター
本作が面白いと思えるタイミングは人に寄ってマチマチだと思いますが、おおよそ5〜7話位では無いかというのが私見です。
個人的には5話から格段に面白くなったと思いますが、中盤に差し掛かる頃なので遅すぎでは無かったかと思います。
3話切りという言葉がアニメファンの間で定着して数年といった所ですが、序盤でファンを掴む、あるいはネットで話題になるようなエピソードが無かったのは残念な所です。
本作での3話は戦闘回ですが、参戦者全員の出番を作る為の結果と思われる乱戦に始まり、その後遠距離特化の機体がビームバラ撒きまくって主導権を握ります。
後々を考えればこの展開は仕方無いのかも知れませんが、乱戦は小競り合いに終始している印象ですし、後半はいくらビームバラ撒いても、脱落者はもちろんの事どの機体のこれといった損傷が無いため、地味と言わざるを得ない内容でした。
多分それでもロボットアニメファンは脱落率低めだったかも知れません。
しかしそれ以外の視聴者が視聴継続しょうと思える派手めな話がこの辺りに欲しかったと思います。
個人的に中盤以降は右肩上りで、非常に面白かったと思えるだけに、序盤が惜しまれます。
終盤
序盤こそ盛り上がりに欠けましたが、中盤に入ると戦闘は激闘続きとなります。
5話は満月の激しい一騎打ちが描かれ、7話は新月が死闘の末因縁の戦いに決着を着けます。
そしてその7話前後辺りから、話はシリアスの度合いが深まっていきます。
具体的には8話辺りからで、隠されていたグランベルムの実態が明らかになってくる為です。
魔力の集合体でしかないマギアコナトスは、参戦する魔術師候補にルールを説明してくれません。
ただ1000年前から定期的に開催されたと思われるグランベルムに関しては記録や伝承が残っているようです。
それをもとにして各参戦陣営はルールを解釈していた物と思われますが、そこにもマギアコナトスの隠蔽工作が働いていたため、参戦者側がマギアコナトスの無慈悲ぶりを知らないまま開催されていたというのが実態です。
その結果何人かが犠牲者となり、日常パートも重苦しい雰囲気となり、やがて満月の日常も崩壊する事になりますが、これは元々不可避であったと考える他ありません。
オマージュ
12話、13話に渡って繰り広げられる最終決戦は激しい物で、特に満月が中心となって戦う12話は見応えがあります。
ほぼずっと戦っているだけですが、12話は最も好きな話です。特に儚さを感じるラストとか。
ただ最終話である13話は何故かガン○ムオマージュに走ってしまい、この点は賛否分かれている印象があります。
ガン○ムシリーズに詳しくない管理人でも分かるネタがいくつかありましたので、詳しい人なら見付けたオマージュネタの数を競ったり出来るかも知れません。
オマージュ自体は別に構わないのですが、それを最終話でやる必要性はあったのかといった所ですし、例えばラスボスを撃破する流れはZと同じで少し笑ってしまいましたが、明らかに笑いを取りに来る場面でも無いだろうとは思いました。
最終話だけあって話自体はそれに相応しい物だっただけに、その点が残念に感じました。
まとめ
本作は個人的には2019年夏アニメでは最も先が気になったアニメです。
オリジナルアニメであるため、検索してもネタバレで水を差されたりしなかった事があるかも知れません。
しかしそういった事は置いても、全体を通して楽しめたと思っています。
序盤こそ何となくでしたが、先述の通り5話辺りから引き込まれて行きました。7話がピークとする意見もありますが、個人的にはその後のシリアスかつ重たい雰囲気も気に入っています。
ただ最後に関して、個人的にはもう少し救済がある事を期待していたのですが・・・といった所です。