【劇場アニメ】劇場版 魔法少女まどか☆マギカ[新編]叛逆の物語【感想】

2013年 113分

8.5 out of 10 stars (8.5 / 10)

魔法少女は絶望から救われたのか――
“円環の理”に導かれて、少女たちの新たな物語がはじまる。
鹿目まどか。
かつて幸せな日々をおくっていた平凡な一人の少女が、
その身を賭してすべての魔法少女たちを
残酷な運命の連鎖から解き放った。
まどかへの想いを果たせぬままに取り残された
魔法少女・睦美ほむらは、彼女の残した世界でひとり戦い続ける。
「懐かしいあの笑顔と再びめぐり合うことを夢見て――」

公式サイトより
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概要

本作は『魔法少女まどか☆マギカ』(以下まどマギ)の劇場版3作目に当たります。
と言っても前2作である[前編]と[後編]はTVアニメ本編(以下本編)を再構成した物となっていますので、劇場版新作と言えるのは本作[新編]のみとなっています。
ネット上で度々バッドエンドなどという感想を目にした本作ですが、実際の所どうだったのでしょうか。

序盤:平和なまどマギ?

冒頭、魔法少女である「鹿目まどか」「美樹さやか」「佐倉杏子」「巴マミ」の4人が敵と戦っています。
本編では共闘している場面が10話くらいにしかありませんでしたので、新鮮に映りますし、本編では惹かれ合いながらも悲惨な末路となったさやかと杏子が共に戦っている姿は感動すら覚えます。
この時点でメインキャラ5人のうち4人が揃っていますが、すぐに残る1人である「暁美ほむら」も転入してきて、勢揃いする事になります。

しかしここまでの場面で、本編との相違点がいくつも見られます。

  • 敵は魔女では無くナイトメアという。
  • 杏子が最初から見滝原にいる。
  • 仁美と恭介が最初から交際している。
  • それを見て何ともない様子のさやか

ざっと思い付くだけでもこの程度で、他にはマミさんが「べべ」と呼ばれるペットの様な謎生物が飼っていて、それが本編で多くの視聴者に衝撃を与えた「お菓子の魔女」と同じ姿をしているといった点も挙げられます。

その後ナイトメア化した仁美との戦闘がありますが、ここは本編では実現しなかったメインキャラ5人による共闘となっています。
もしかするとこの辺りはファンサービスの一環なのかも知れません。
またこの戦闘で魔女とナイトメアの相違点も分かります。

  • 魔女と違い一般人でもナイトメアになる。
  • ナイトメアを倒しても元の人間は命に別状は無い。

こういった様々な相違点を見て、本作世界と本編世界の関連を色々考えざるを得ません。
一番最初に思い浮かぶのが、本編最終話で「円環の理」が適用された後の世界ですが、それだとまどかが普通にいるのはおかしいと言う事になります。

普通の魔法少女物っぽい

ネット上で良く言われる事として、『魔法少女まどか☆マギカ』は魔法少女物というジャンルあるいは概念を変えてしまったという意見があります。
本来魔法少女物というジャンルは主に女児向けで独身男性が視聴していると若干引かれたりする様な雰囲気の物です。
内容も当然穏当に勧善懲悪する物だった訳です。
しかしまどマギ本編はイメージイラストこそ従来の魔法少女物の雰囲気を踏襲していますが、それは巧妙に仕組まれた罠で実際は成人向けのシリアスな物となっていました。
その影響は大きく本編放送後そう言った内容の魔法少女物が増えたというわけです。

しかし本作序盤は変身バンクが若干怖いとかいった点を除けば、本編3話放送前に視聴者が想像していたであろう『魔法少女まどか☆マギカ』の戦いと言える物になっています。

中盤

中盤に入ると、ほむらが本作の見滝原に疑問を抱いた様子を見せます。
本編では後から見滝原にやって来た杏子に近づき、質問すると、やはり元々は見滝原ではなく隣町にいた事が分かります。
そこで一緒にその隣町を訪ねようと提案すると、杏子は渋々と様子ながらも提案に乗ります。
そして隣町へ移動を試みる2人ですが、見滝原から出る事はかなわず断念する事になります。
ここで本作の見滝原は閉鎖空間として創られているのかと推測したりしますが、ほむらは更に踏み込んで考え行動します。
そしてこの後起こるほむらとマミさんの戦いは本作における大きな見どころの1つと言えます。
双方とも銃器を主な武器としている為、壮絶な撃ち合いが展開されます。
夥しい量の銃弾が画面狭しと飛び回り弾き合いう様は明らかに過剰で、撃ち合いというレベルを超越して圧巻と言えます。

どうやらほむらは本編の記憶が蘇って来ていて、そこで調べた結果、本作の見滝原は魔女の結界内であると結論づけて「お菓子の魔女」を葬ろうとした結果、マミさんと対決する破目になった訳です。
そして失敗したほむらは訳知りな雰囲気のさやかと会話します。

やがてほむらと視聴者は魔女の正体を知り、思い知らされます。
やはりキュゥべえはロクな事をしないと。

怒涛の終盤をさわりだけ

本編ラストで大人しくなった印象のキュゥべえでしたが、本作では相変わらずの憎まれ役となっています。
本作中盤以降では本来の種族名であるインキュベーターと呼んだ方がしっくりくるほど湧いて出てきて、ちょくちょく虐殺されています。

本作の見滝原はインキュベーターが暗躍し、ある陰謀を目論んだ結果生み出された物の様です。
そしてその結果生まれた魔女と、ほむらを除いた魔法少女たちが戦いますが、この戦い自体は最初から負ける雰囲気は薄いものの、なかなか派手となっています。

しっかりティロフ・フィナーレもあります。

しかし本作の真骨頂と言える部分はこの後訪れます。

その後最終盤のほむらはヤンデレじみて見えます。まどかにリボンを返すシーンとか、少し良い場面に見えたりしますが、全体としては何故この様な事になったのかという印象です。

まとめ

本作のラストですが、やはりバッドエンドと言った方が良いでしょう。
タイトルの『叛逆の物語』に偽りなしと言った所でしょうか。
本人は幸せかも知れませんが、この世界の魔法少女たちはどうなるのか気になります。

あとお菓子の魔女が魔女化する前の姿で登場したのは意外でしたが、序盤の戦闘シーンなどの様な部分も含めてファンサービスと言えるかも知れません。