【PS2】流行り神 警視庁怪異事件ファイル【感想】

2004年 日本一ソフトウェア
総評:6.5 out of 10 stars (6.5 / 10)

コックリさん、死体洗いのアルバイト、カシマレイコ、テレビの砂嵐伝説・・・。「流行り神」は、現代社会に突如として現れ、瞬く間に広がっていった都市伝説を主な題材としています。プレイヤーは警視庁の刑事となって、身の回りに起こる様々な事件を、「科学的」に解明するか、「オカルト的」アプローチで捉えるかの選択に迫られます。選択によって、物語の方向が大きく変化してくホラーアドベンチャーゲームです。

公式サイトより

本作は日本一ソフトウェアのホラー推理ADV『流行り神』シリーズ第一作に当たります。

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概要

本作の主人公は『警視庁警察史編纂室』に所属する刑事です。キャリアなので本来ならドンドン昇格して行くはずなのですが、ある事件の捜査に関わったことをきっかけにこの部署に配属されました。この部署が担当する事件というのがオカルトじみた事件と言う訳です。
とはいえ、主人公は霊能力者でなく刑事ですので、捜査は警察の捜査手順に則って行われます。

システム

基本はノベルゲームで、文章を読みながらところどころで現れる選択肢を選んでゆく、といった感じでありますが、推理の要素を強めるために、『セルフ・クエスチョン』『推理ロジック』と二つのシステムを搭載しています。
『セルフ・クエスチョン』平たく言えば自問自答です。このモードに入ると、主人公はこれまでの疑問点などを次々思い浮かべ、それに対する答えを選んで行くことで捜査の方針を決めたりといった話の分岐などに現れます。考えが空回りして戻ったりすると減点の対象です。
『推理ロジック』は、人物や事件の相関図を埋めることで真相へ迫るというものです、シナリオの最後には必ず埋めなくてはいけませんが、自信を持っていた答えが採点の際に『△』だったりするとがっかりしたりします。

推理する為のシステム

上記二つの要素は、単なるノベルゲームでなく、プレイヤーが自分で真相へ行きつけたと思わせることが少しでもできるように付けられたものと思われます。
実際、単に『科学的に考える』『オカルト的に考える』といった選択肢を選ぶよりは、いくつか連続した選択肢を選んで進んだルートのほうが自然な気がしますし、『推理ロジック』を埋めることで事件に関係する物事の関係が分かりやすくなります。
これはただ単に選択肢を選んでいくだけではなかなか難しいことです。

シナリオ

シナリオのほうは本編四つに隠しシナリオ四つ、隠しシナリオは本編に登場したサブキャラが過去に遭遇した事件の回想する、という形をとっています。
しかし、シナリオは全体的にボリューム不足、特になぜか本編のほうが薄味な印象です。
また、本編では事件は『科学捜査』と『オカルト捜査』に分岐しているようになっていますが、シナリオごとに片方に力を入れたように見えます。ただ個人的には科学捜査一筋でしたし、その逆を行った方には納得しにくい物があります。せっかくですから、両方に同じぐらいのボリュームを持たせたほうが納得もしやすいのでは無いかと思えました。
ちなみに個人的に気に入っているシナリオは本編では『鬼』です。
恐怖感を誘う出だしですが、親子をテーマにした展開や犯人の日記が印象深いです。
隠しシナリオではゆうか編も良いですが、何度バッドエンドを迎え難易度が高い印象でした。
そう言う事もあり隠しシナリオではなぜか背後に陰謀がありそうな人見編が気にいいます。
このゲームのシナリオは都市伝説をベースにしたものになっていますが、ゲーム中に出てくる都市伝説や用語は『F.O.A.F.ファイル』で内容を見られるようになっています。ファイルの内容は全部で200個もあり、173個集めるのが最後の隠しシナリオの出現条件となっています。

まとめ

本作は科学捜査とオカルト捜査という相反する要素を両立し、さらには勘や当てずぽうで無い推理をさせようと試みた、当時としては意欲作という印象があります。
個別のシナリオやキャラクターは特徴があって魅力的でもあります。
ただその為本編シナリオは科学捜査とオカルト捜査の一方に比重を置きつつも、両方に展開していて一度のプレイでは薄味な印象を受けます。
またシナリオの本数も本編隠し合わせて8本と少し物足りないと言うのが感想でした。
シナリオがもう少しあれば満足したかも知れません。