親の残した借金を背負い、身分を偽ってパチンコ屋で働く川岸優雅(白石隼也)。
TCエンタテインメント公式サイトより抜粋
ある日、街を歩いているとティッシュ配りの男、室住良直(鶴見辰吾)から「秘密」を売ってくれと声をかけられる。
誘われるように入ってしまった“秘密屋”とは…?
そして、秘密屋と出会った川岸の運命は…?
目次
DATA
- タイトル:秘密屋
- リリース年:2015年
- 時間:58分
- 制作:TCエンタテインメント
- 配給:カルチュア・パブリッシャーズ
- 監督:橋本光二郎
- 脚本:岡田道尚

概要
本作は永堀大介氏によって執筆され株式会社ディー・エヌ・エーの子会社である株式会社エブリスタが主催するE★エブリスタ 電子書籍大賞2012ミステリー部門を受賞し、同年に角川書店から刊行された小説を原作として製作されたDVD作品です。
身元を偽っている主人公
本作の主人公である青年、「川岸 優雅」は親の残した借金により取り立て屋に追われ、身元を偽ってパチ屋で働いていました。
それでも勤務態度などが良かったのか、正社員昇格の辞令を受けるという場面から始まります。
しかしその直後、付き合っている彼女から相談を受けるのですが、それが元彼からリベンジポルノ的な脅迫を受けていて、明日中に100万円用意しないと画像をネットにバラ撒くという物でした。
これは本作がリリースされた時点でリベンジポルノ防止法が成立してますし、そもそも脅迫して金銭を要求している時点で紛れもなく犯罪なので、警察に相談するなりすれば良さそうですが、相手が約束を守るという保証も無いのに要求通り金銭を払う前提で話しています。
しかし大の大人が2人して100万なんて金額払えないと何故か諦めムードです。2人で貯金出すなりキャッシングするなりすればと思いましたが、優雅は身元を偽っているので難しいかとは思いましたが、正社員になれる程働いているなら少しは蓄えはあるのではと思いました。
秘密屋との出会い
しかし手立てが無いのか途方に暮れている優雅の前にティッシュ配りをしていた秘密屋を名乗る男性「室住 良直」に声を掛けられます。聞けば第三者などに知られていない秘密を証拠と共に買い取り、それ以上の値段で売る事で商売としている様です。
売る秘密は一般的には他人の物ですが自分の物でも可能だそうです。わざわざ自分の秘密を売るなどというリスクを冒す人物などそういるはずも無いという事でしょう。
しかし優雅は冷静な判断力を失ってしまっているのか、いざとなれば自分で買い上げる事も出来るという言葉を信じて自分の秘密を100万で売ります。
これが彼の運命を大きく変えるのでした。
全てを失った主人公
こうして一時の気の迷いによって会社職場同僚彼女すべてから切られ、取り立て屋に追われる羽目になった優雅。事の切っ掛けになった元彼女に至っては100万円手渡そうとした優雅に対し自分で何とかすると言い放ちます。自分で何とか出来るなら何故相談したのかと思わなくもありませんが。
もっとも優雅については身元を偽っていたため社会的信用はゼロ以下のマイナスになってしまうため、元彼女としても会社や同僚と同じく優雅を切らざるを得ず、それによって自力で乗り切るしか無いと危機感が芽生えたのかも知れません。
一方全てを失った優雅は3日で2000万円調達しないと臓器売る羽目になるという事から、室住の提案で元彼女から突き返された100万円を元手に秘密の転売を行おうとします。100万円が一度の転売で2000万円に転売ヤーも驚くでしょうが、当然ながらなかなか思うように行きません。
そんな中で売出し中のアイドル「久野 美穂」や芸能プロダクション社長「玉利 聖一朗」らを巻き込んで事態は思わぬ方向へ転がって行くことになります。
意外性に欠ける終盤
本作における1番の見せ場は終盤の取引から始まる場面でしょうか。ある理由から幾分かの緊張感を感じさせる雰囲気から意外な人物の介入など事態は二転三転します。
そんな中で優雅はある仕掛けをしていたのですが、途中で推測出来てしまうためやや意外性に欠ける印象を受けました。
まとめ
本作は人の秘密を買い取って高く売りつけるという架空の商売を扱っています。
ただ作中の様に本人に売ろうとすると恐喝にしかなりませんし、売ろうとする相手を見誤るとロクでもない事になります。
本作のキャッチコピーにクライムストーリーとある事からも、この商売が非合法な物である事を示しているのかも知れません。
そしてそんな界隈に足を踏み入れる羽目になった主人公優雅が終始お人好しな印象で、駆け引きなどが出来るはずも無く中途半端に感じられました。