呪いよりも、怨念よりも、幽霊よりも、怖い! ! それは人間だった! !
Amazonより抜粋
嫉妬、憎悪、行き過ぎた愛情…様々な感情は人を狂気へと変貌させる。
人間独特のじっとりとした恐怖をリアルに映像化したオムニバスサスペンス・ホラー。
目次
DATA
- タイトル:ヒトコワ -ほんとに怖いのは人間-
- リリース年:2012年
- 時間:60分
- 制作:SDP
- 配給:マイシアターD.D.
- 監督:児玉和土
- 脚本:児玉和土、猪原健太

概要
本作は『ほんとにあった! 呪いのビデオ』シリーズの22巻から42巻ともっとも長く演出を務めた児玉和土氏が脚本、監督として制作したサスペンスホラー作品で、『ヒトコワ』シリーズ一作目に当たります。
サイコホラー的なオムニバス作品
本作はいわゆる人間怖い系ホラーの作品となっています。同ジャンルのオムニバス作品という事では以前紹介した『東京伝説 歪んだ異形都市』と似ていますが、あちらが実話系をベースにしたストーリーで全体的に淡々としているのに対し、こちらは完全にフィクションでグロ要素や主人公が理不尽な末路を迎えたりと全体的にホラー要素が強くなっている様に感じられます。
各話感想
知ってはいけない友達の秘密
本エピソードは主人公女性が友人宅に無理やり押しかける場面から始まります。当初は嫌がっていた友人も主人公が買ってきた酒を振る舞ったあとは楽しそうに談笑している様に見え、なんだかんだで良い友人関係なのではと思ってしまいます。
しかし友人が買い物に出て部屋に1人になった所から一気に不穏な雰囲気となり結末へ至ります。
この主人公はどういった神経で友人宅に押しかけられたのかと思え、結末に訪れたであろう末路は過剰ではあるものの因果応報と見る向きが無い事もありません。
送り○チガイ
本エピソードはタイトルを伏せ字とすることでダブルミーニングとなっています。
主人公は女子学生で、友人たちとカラオケに出かけ、気になった男子とメアドを交換します。ただスマホとガラケーといった違いから口頭でのやり取りになり、メアドに入っている名前の綴りを確認しなかった事が惨劇へ繋がります。
これはメールを誤送信した相手が、誤送信を指摘したり迷惑メールかと無視するといった常識人なら話は違ったのかも知れません。しかしメアドから察するに、意中の男子と誤送信した相手は名前の読みは同じだった思われるため、即座に誤送信と気付かなかった可能性があります。
程なく主人公は誤送信した相手に付き纏われる事になるのですが、メールのやり取りを遠目に見て主人公を判別したりと無駄に能力はたか印象で、それによって理不尽としか言い様が無い結末を迎えます。
親の顔が見たい
本エピソードも主人公は女子学生です。朝の通学で自宅マンション前を走っていた所、目の前にペットボトルが落ちてきます。ペットボトルでも走っている時に踏めば転倒する可能性は十分あり、危険と言えます。
落としてきたのは主人公宅の階上に住む一家の子どもだそうですが、注意した主人公に悪態をつくなど育ちが宜しく無い様子です。
そして放課後、友人と自宅で朝の事や階上に住む一家について話したりしますが、そこである事態に至ります。
まさにこの親にしてこの子ありであったという事でしょう。一家の表情が全体的に狂気じみているのが何とも言えません。
自分の名前を検索してみたら
主人公女性は友人たちから、自分の名前をネットで検索した所、思わぬ事実が発覚したという話を耳にします。いわゆるエゴサーチという事になりますが、当時はそういった用語は無かったのでしょうか。
その時は興味無さげな素振りだった主人公ですが、やはり気になったのか自宅のPCで検索します。普通、我々の様な一般人がエゴサーチした所で変わった氏名とかで無い限り、同姓同名の人が多数ヒットする程度のはずです。主人公の場合もその様に見えましたが、異様な動画がヒットします。
それはYouTube上に上がっている動画で、女性用パンツを履いた男性が踊っているという純粋に気持ち悪い動画で、コメントも当然と言えるものばかりです。YouTubeのインターフェイスが古いのに時間の流れを感じますが、今のYouTubeなら間違いなく削除されている動画と言えます。
そして同一人物によって同じ様な動画が多数上げられていましたが、そんな動画を見てある事に気付きます。
そこからの結末は理不尽なものと思われますが、主人公は何故気付かなかったのかという疑問が無くもありません。
あの世からの電話
本エピソードはサラリーマン風の男性と引越屋に務めている友人という2人の男性が登場しますが、主に友人の回想という形でストーリーは進みます。
友人はある日室外から延々と聞こえ続ける携帯の呼び出し音を耳にした事から奇妙な出来事に巻き込まれます。
それを切っ掛けにあの世からの電話がひっきりなしに掛かって来る様になったため、電話を手放したと言います。
しかしそれでも周囲の電話に掛かって来ると言います。
そういったストーリー展開で、人間怖い系では無いのではと視聴していて戸惑ったりしますが、ラスト付近にそれはやって来ます。
ラストでのどんでん返し的なものが狙いなのかも知れませんが、他エピソードと比べてインパクトが弱い印象を受けます。
まとめ
本作は先述した通り、人間怖い系のストーリーで成り立っているサイコホラーなオムニバス作品です。
しかし臓物や血飛沫といったグロ要素や高性能なストーカー、さらにはオカルト要素も盛り込んだりとホラー色が強めという印象を受けました。