2011年 60分

目次
大震災
2011年3月11日に起こった震災時に撮影されたという映像。地震が起こり慌ててアパートから路上に飛び出す投稿者。アパート横の駐車場へと避難する時、一瞬カメラが町向こうの空を写し出すが…。
感想
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東日本大震災に際して撮られた映像です。
こういった地震の映像を見ると当日の事を思い出し、あれからもう9年も経ったのかと思わせます。
地震の強さに驚いた投稿者が路上に出ると、空に巨大な骸骨の様な蔭が浮かび上がっているとの事ですが、非常に薄いという事もあって、そういう風には見えませんでした。
母の思い
母親と一緒に新宿御苑に観光に訪れた際の映像。この映像から半年後に母親は、不慮の事故で亡くなった。建物内から外の景色を眺めている母親。映像が唐突にフリーズして母親の顔だけが徐々にカメラの方を向き、何かを呟く…。
感想
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投稿者が母親と共に新宿御苑を訪れた時の映像です。
母親は都内に住む投稿を心配して訪ねてきたそうですが、この半年後事故で亡くなったのだとか。
母親亡き後、投稿者が映像を何度も見ている内に異常が生じたそうです。
映像内、母親が話している場面でノイズが入り映像がフリーズした様になりますが、母親の口元が僅かに動いているように見えます。
投稿者曰く「サヨナラ」と言っている様に見えるそうですが、この辺りは意見が分かれそうです。
ただ個人的には「サヨナラ」と言っている様にはちょっと見えませんでした。
また映像の該当箇所自体、多少不気味な印象を受けますが、投稿者が何度も見ていたという事から、テープの劣化が原因という可能性もありそうです。
沈める者
子供の頃、家族で海に行った時に撮影された8ミリの映像。海辺で父親に抱かれて遊ぶ姿が映されているのだが、不意に多重露光のように赤っぽく別の映像が不可解に挟み込まれる。それには不気味な女のようなシルエットが…。
感想
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投稿者が帰省した祭に倉庫の整理をしていた時に発見した、8ミリビデオカメラのテープに収められていたという映像です。
他の家族は倉庫にしまった覚えが無いとの事から、他界した父親がしまったのでは無いかとの事です。
映像ですが、投稿者一家が昔海水浴に行った時の映像となっています。
そして幼い投稿者と父親が波打ち際で遊んでいる場面で、水中にいるかの様に揺らいでいる不気味な女性の顔が睨みつける様に映りこんでいます。
女性はアップで映り込みますので、分かり易い上にインパクトもあります。
この時投稿者は溺れたと母親に言われたそうですが、投稿者に覚えが無いのは幼い頃の話だからかも知れません。
またこの後投稿者は行方不明になったのだそうです。
霊園
投稿者が友人達と心霊スポットで有名な青山霊園へ肝試しに行った時の映像。カメラが友人の姿をとらえた時、その背後に不気味な女とおぼしき顔が写り込んでいた。さらに、その直前に映した映像には墓石に見知らぬ誰かの手が…。
感想
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大学生である投稿者はある深夜友人たちと、都内で心霊スポットとして有名な霊園に肝試しに訪れたそうです。
霊園内を探索する投稿者たちですが、投稿者が友人の方へカメラを向けると、友人の肩越しに女性らしき青白い顔が見えます。
この顔は投稿者も気付いたようで、投稿者は走って逃げ出します。
結構なインパクトがある映像ですが、女性が生きているかに様にハッキリしすぎているのが気になりました。
またスタッフが顔が映る直前、墓石を掴む手を見付けたそうですが、投稿者が見落としていただけに分かり難いと言えます。
腹切りやぐら
鎌倉に観光で訪れた際に撮影した映像。散策中、「腹切りやぐら」と呼ばれる看板を見つけた投稿者たちは、その場所を尋ねた。卒塔婆がいくつもあるその洞窟を興味本意で撮影していると、急にビデオの映像が乱れて…。
感想
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投稿者が友人たちと一緒に鎌倉へ旅行に行った時の映像です。
投稿者が言うには、友人の一人である女性が東勝寺跡に行きたいと言ったため向かったそうです。
東勝寺跡に到着した投稿者たちは「腹切りやぐら」と書かれた案内の看板を見付けて、その場所へ向かったと言います。
東勝寺は北条氏の菩提寺だったそうで、鎌倉時代末期には合戦があって北条氏の一族が自害したと言われていて、やぐらにも多くの卒塔婆があったのだそうです。
実際東勝寺の合戦をもって鎌倉幕府は滅亡したと見られている様です。
旅行後投稿者が映像を友人たちに配るために確認していた所、異常に気付いたとの事です。
撮影から2ヶ月ほど経った頃、一緒に旅行に行った友人女性が行方不明になったそうですが、これは映像との関連は不明という気がします。
その後スタッフ一同が腹切りやぐらを訪れ、東勝寺跡の石碑に記されている文を、いつの間にか合流していた岩澤が解説して映像が流れます。
映像は腹切りやぐら内にある祠に投稿者友人たちが向かい合った辺りでノイズが走ると、卒塔婆の陰から覗きこむ様に顔が現れ、引っ込む様子が見えます。
シリーズ監視カメラ 病院
とある病院の階段に設置された監視カメラの映像。カメラのレンズが突然音を立てて割れる。その後再び階段の映像に戻った時、割れたレンズ越しに階段をゆっくりと降りていく、足のようなものが映りこんでいるのだが…。
感想
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関東近郊のある病院に設置された監視カメラの映像です。
深夜の病院内を次々と映し出していますが、階段を映した途端、映像内に白い物が現れます。
どうやらひび割れの様です。
他のカメラ映像は問題無く映し出されますが、階段の映像に替わるとひび割れた画面のまま、ゆっくりと階段を降りる足がうっすらと映りこんでいます。
降りる所を見られたく無いからひび割れさせたのか、それとも注意を惹くためなのか分かりかねる所ではありますが、いずれにせよ物理的に損傷を与えられる存在というのはそういないという気がします。
邪願
投稿者が恋人と都内のある神社へ行った際の映像。何気に絵馬を撮影していた時、その一枚にゾッとするものを発見する。「正彦シネ」と書かれた絵馬。その絵馬の背後からジッとカメラを睨む女の顔が…。
感想
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投稿者が彼女と一緒に都内の有名な神社を訪れた時の映像で、シリーズでも屈指のインパクトを誇ります。
ちなみにナレーションではぼかしてますが、映像では投稿者がどの神社か言っています。
投稿者と彼女が絵馬を見ていると、「正彦シネ」と描かれた絵馬を見付け、不審に思った所絵馬の後ろに女性らしき青白い顔が現れます。多分生霊的な存在と捉えれば良いのでしょう。
投稿者が驚いた時には既に姿はありません。
シンプルにインパクトに特化した映像と言えます。
追跡録・前編
追跡録・前編
委員会が菊池の捜索を打ち切った後、岩澤は一人で菊池の捜索を続けていた。かつて菊池を含む幼児3人がある男に誘拐され山荘に監禁されるという事件が起こった。その被害者の一人の日向さんの足取りを追った…。
感想
本作から始まる長編はあの『Twenty Seven』の続きに当たります。
冒頭でTwenty Sevenを振り返った後、岩澤は依然として菊池を探す手掛かりを得られていないと説明されます。
そんな状況で手掛かりを与えたのが、Twenty Sevenで共に調査した渡邉でした。
岩澤を呼び出した渡邉はTwenty Sevenでの山荘跡地で錯乱してから変な夢を見る様になったと言います。
その夢の内容というのは山荘跡地に似た森を歩いていると急な斜面にたどり着き男性が後ろ向きで立っているそうです。
そして男性が振り向き、「やわいやこをもやせ」と言った所で目が覚めるそうです。
そしてその男性は調査で山荘跡地に向かう途中すれ違った男性に似ていたという事です。
同じ夢というのはそう見る物では無いかと思いますが、それが何度もとなるとやはり気になるのでしょう。渡邉は1人で山荘跡地へ向かい、夢で見た様な斜面とビニール袋に入ったビデオテープを発見したと言います。
ビデオテープは持ち帰らず放置したとの事です。
山荘というのは当然山など高い場所にあるわけですが、そうすれば付近に斜面がある訳です。
つまり山荘跡地の付近に斜面があるのは必然と言っても良く、夢で見た場所と同じであるとするのは如何な物かと思いました。
その斜面が特徴的だったとすれば話は違いますが、後の場面で見る限りこれといった特徴はありませんでしたし急斜面でも無かったという印象です。
ビデオテープに興味を持った岩澤も渡邉と共に山荘跡地付近の斜面を訪れ、渡邉が発見したビデオテープを回収します。
ビニール袋には8、9本ほどのビデオテープが入っており、岩澤らが内容を確認した所、以前菊池がスタッフルームから持ち出した投稿映像だったと分かります。
どうやら菊池もこの場所を訪れていたらしい琴が分かります。
しかしテープの中には岩澤らの見覚えが無い物があり、それはある男性が催眠術を受けている物だそうですが、ノイズが酷くて聞き取れ無かった模様です。
また渡邉はテープ内で催眠術を受けている男性は夢に出てきた男性に似ていると述べます。
つまり以前山道ですれ違った男性は夢に出た男性に似ている。
そして夢に出た男性と催眠術を受けている男性は似ている。
よって山道ですれ違った男性と催眠術を受けている男性は似ている。という論法が成立します。
そこでテープを解析会社にノイズ除去の依頼を出して数週間経って戻って来た所で再確認します。
すると催眠術を受けていた男性が話した内容は、自分は戦国時代に生きていた、とある少女だったと言い、更にその地域は飢饉が襲い、また一帯を治める領主の横暴で幼女が死んでいるというものだったそうです。
内容自体は以前調査した際に聞いた伝承と似ている事もあってか、岩澤は映像を某大学心理学研究室に送って話を聞きます。
それによると男性が受けているのは過去の記憶を呼び起こさせる退行催眠で、トラウマが起こった時点まで記憶を退行させ、心理的外傷を取り除くために用いられているそうです。稀に自分が生まれる以前の記憶を呼び起こし、前世療法とも呼ばれているそうですが、今回は前世療法に当てはまるのかも知れません。
それを聞いた岩澤は退行催眠が実際に男性の前世の記憶を呼び起こした可能性があるが、普通に考えればどこかでその話を聞いていて、その話を聞いた記憶が退行催眠で蘇ったのではないかと割と常識的な感想を述べます。
そして伝承を知っているという事は、山荘がある地元に住んでいる人物ではという推測から、昔誘拐事件に巻き込まれた被害者の残る1名は地元の子供であったと連想します。
それから岩澤は、以前興信所に依頼した際の調査結果を見直します。
それによると被害者の残る1名は19歳まで両親と暮らしていたそうですが、20歳になる直前、事故により両親は他界、本人は一命を取り留めたもののその後の消息は分かっていない様です。
その後岩澤は菊池らにビデオテープを送り続けていたであろう、その男性、日向氏(仮名)について更に調べたらしく、興信所の情報を元に、かつて日向氏が勤めていた会社の元同僚から話を聞けることになります。
その元同僚から話を聞くため、岩澤と渡邉という製作委員会から外れているはずの2人が一路某県に向かう場面で続きます。
続 追跡録・前編
岩澤はかつての委員会の渡邉と共に、日向さんの元恋人に会いに行く。話によると日向さんの実家がまだ残っていると言うので尋ねてみた。我々は何かしらの手がかりが残っていないかと、その廃墟同然の家に入ってみることにしたのだが…。
調査パート感想
菊池と日向氏が接触した可能性があると見た岩澤たちは手掛かりを求めて、日向氏が住んでいたという某県を訪れます。
そして約束を取り付けていた、日向氏の元同僚から話を聞きます。
その元同僚が日向氏と一緒に働いていたのは10年ほど前の事だそうです。
日向氏は元は明るく気さくな性格だったそうですが、事故の後は暗くなってしまい、退院後程なく退職したそうです。
退職理由も一身上の都合と自己都合のテンプレ的な物で詳しく分かるはずもありません。
しかもその後引っ越してしまったらしく、当然引っ越し先は分からない様です。
元同僚に退行催眠の映像を見せた所、映っているのは日向氏で間違い無いと言い、事故で入院した際に撮った物では無いかと述べます。
そして元同僚は日向氏が当時付き合っていた女性の連絡先を知っていると言い、教えてくれますが、何故そんな事知っているんでしょうか。
何はともあれ当時日向氏と付き合っていた女性、小池さんと夜に会う約束を取り付けた岩澤たちは、その間も情報収集しようと、日向氏が入院していた病院を訪れます。
しかし当然ながら病院が個人情報を漏らすはずも無く、直接的な情報はありませんでしたが、その病院には精神科が無く、退行催眠は他の病院で行われたと推測します。もっとも以前は精神科があったという可能性もありますが。
次に日向氏一家が事故に遭った現場を訪れます。
事故現場は見通しの良い直線道路で、一本の電柱脇に新しめの花束が捧げられていて、最近関係者が訪れた事を示唆している物と思われます。
さらに電柱を見るとかつて『Twenty Seven』の投稿者周辺にあった印がガムテープで記されています。
テープは古びてはがれかけ、相応の年月が経ったものに見えなくもありません。
そしてかつて日向氏と付き合っていたという小池さんに会う岩澤たち。
小池さんは日向氏は既に亡くなっているのではと言いますが、この時点では単なる予感めいた物なのか、根拠があっての事なのか判断しかねる状態です。
小池さんが言うところによると、日向氏が退職した直後別れ話を切り出されたのだそうです。
それに対して理由を聞いても答えは無かった物の、結局そのまま別れてしまい日向氏は音信不通になった様です。
小池さんはさらに日向氏は度々東京へ行っていた事、東京の住所が記載されたメンタルクリニックの薬袋に入った薬を服用していたと言います。
次に小池さんは数年前に日向氏から送られて来たという手紙を見せてくれます。
その手紙の内容は両親を亡くした事故に関する事で、両親と車で買い物に向かう途中、ある理由で父親と口論になったそうです。
さらには運転していた父親と揉み合いになったため父親が操作を誤り道路脇の電柱に衝突したというで物した。
また口論の理由については記されていなかった様ですが、手紙は後悔の念が綴られていて、「もう耐えられない。さよなら。」と締めくくられている事から遺書めいた印象を受けます。
小池さんが日向氏は亡くなっているのではと言ったのはこの手紙が原因でしょうか。
岩澤たちが手紙を検めるも、当然住所など記されているはずもありませんが、消印は都内某所である事が分かります。
また小池さんから当時日向一家が住んでいた家がまだ残っている事を教えてもらい、早速向かう岩澤たち。
日向家は廃墟同然と教えて貰いますが、外見はそれほど廃墟感は無い印象を受けます。
外部を調べ、玄関は当然閉まっていますが勝手口らしき戸が開いているのを見つけます。
渡邊が侵入を拒否したため、岩澤が一人で侵入し渡邊は外で待機することになります。
勝手口らしき戸から屋内に入ったはずですが、壁面から出窓が出っ張っているなど変わった構造をした建物に岩澤は戸惑います。まるで継ぎ足したような印象を受けます。
そして奥にアコーディオンカーテンを見つけた岩澤が開けようとした所、背後から渡邊の叫び声が聞こえます。
岩澤が慌てて屋外へ出て、敷地外に出ていた渡邊に問い質した所岩澤の背後で何か動いているのが見えたというやや曖昧な返答を得ます。
そして退行催眠の映像が紹介されます。
映像感想
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日向氏が退行催眠を受けている映像で、ノイズを除去した後の物だそうです。
病院のベッドで横になり、退行催眠を受ける日向氏。
その口から、女の子が斬られて死んでいると告げられます。
その後時々ノイズが入りますが、これは元の画質がそういう物であると解釈した方が良いのでしょうが。
やがてノイズなどで日向氏の言葉は途切れ途切れになり、日向氏自身も苦しそうになります。
そして映像は明滅し日向氏の左肩越しに女性らしき黒い影が映り込みますが、本当に短時間です。
その不気味な姿形は『Twenty Seven』の映像に映り込む女性と同一とも見られている様です。
まとめ
本作から演出が児玉氏から岩澤氏に代わっています。
シリーズを通して見ると、初の演出補上がりの演出の作品となります。
児玉演出時代からの菊池関連の話をメインにしていて、他の映像も平均点は高い印象を受けます。
ただメインの『追跡録・前編』は製作委員会から離脱したままの状態なのにも関わらず、『腹切りやぐら』では普通にスタッフを率いているのがちぐはぐな印象を受けました。
そこに目を瞑れば、映像は全体的に高水準ですし、メインはやや冗長な印象はある物のそれなりに楽しめました。
そんな本作でお勧めの映像としては『沈める者』『霊園』『邪願』となります。
特に『邪願』はシリーズでも屈指の出来と思われます。