【漫画】不死身のパイセン【感想】

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DATE

  • タイトル:不死身のパイセン
  • 作者:田口翔太郎
  • 刊行年:2018年
  • 巻数:全1巻
  • 出版社:小学館
  • レーベル:裏少年サンデーコミックス
7 out of 10 stars (7 / 10)

決して帰り道では読まないでください―――
突然の台風に襲われた街に住む2人の女子高生は、
毎日、部活帰りに謎の怪異に襲われるようになってしまう。
しかも何故か狙われるのは先輩の方ばかり。
しかし、毎回、無事に生還する先輩。
まるで何かに取り憑かれているかのように――。

Amazonより抜粋

概要

本作は小学館のWebコミック連載サイト『裏サンデー』及び漫画アプリ『マンガワン』にて2018年に連載されました。
作者である田口翔太郎氏のデビュー作でもあります。

下校中に現れる様々な怪異

本作は同じ部活に所属しているとされる2人の女子高生、「先輩」と「鬼龍院」が帰宅する様子を描いています。
ある台風をきっかけにして、先輩の周囲で異常な事が起こる様になった様で、その為別の理由を付けて、後輩である鬼龍院と一緒に下校する事にした様です。この鬼龍院は自分で2mあると言う程高身長で、先輩が少し小柄という事もあって、その身長差が最初に目を惹きます。またやや臆病な面も見える先輩に対し、楽観的で物事を力まかせに解決したりする面が一緒に帰る理由かも知れません。
しかしそんな凸凹コンビが下校中に毎回怪異な存在に遭遇するというのが基本的な流れとなっています。
ある時は絶叫上げて接近してくる人影らしき物、またある時は大声上げて呼び止めようとする子供の様な姿をした存在、またある時は勝手に増える東屋の落書きなどなど、下校中の帰り道という日常的な場面が、怪異によって蝕まれて行きます。そしてその度に先輩は拉致られそうになったり気絶したり全身文字を刻まれたりと散々な目に見舞われますが、次の回にはほぼ元通りになっていたりします。タイトル通り先輩は不死身なのでしょうか。その為個々のエピソードはホラー的ながらも全体的にはギャグ漫画的なノリで進んでいる印象を受けます。
その後も先輩は怪異から集中的に狙われるも次に回にはすぐさま戻っていたり、現れた怪異を鬼龍院が顔面へのワンパンで倒したりといくらか恐怖感はありながらも明るいノリで進行します。

急転

しかし中盤を過ぎた頃、ストーリーは一転してややシリアス味を帯びてきます。台風の後から先輩を襲うようになった怪異たちの正体が明らかになります。作中でも臆病と言われている先輩は怪異の正体と向き合う事が出来るかどうかがポイントと言えそうです。
ただその後終盤、作中に於ける現実と非現実が目まぐるしく転換したりします。
この辺りは非常にドタバタしている印象を受けますし、デジャヴどころか使い回しの様にも見えてしまうコマ割りなどから、コメディチックに感じられます。
ただその直後である本編のラストと思われる場面は理解出来ませんでした。

まとめ

次々訪れる怪異、怪異に襲われても次回には戻っている先輩、先輩と鬼龍院の会話などが組み合わさってサクサク読める作品となっています。
先述した通りギャグ漫画的なノリは感じますが、怪異の造形は普通にホラーとなっています。個人的には1話とエピローグ冒頭に現れた怪異がインパクトを感じました。
そういった事を考えると、ホラーとコメディ双方の要素を兼ね備えた作品と言えるでしょう。