【Android】脱出ホラー いちぢく【感想】

2016年 YoGreenSoft

5 out of 10 stars (5 / 10)

新しいアパートに引っ越してきて数日、環境も静かで気に入っていた。部屋は202号室。バイトをしながら生活している。ある夕方、手をすべらせてイチジクを壁に強く当ててしまう。すると隣の部屋から壁を強く叩く音が返ってくる。きっかけはささいな事だった、その日から隣の部屋の気配が気になりはじめて・・・。

GooglePlayより抜粋
スポンサーリンク

概要

本作は隣人トラブルをテーマにしたと思われる脱出ホラーゲームです。
TrueENDまでの所要時間は3時間程度と思われます。

日常に潜むホラー

本作は主人公の青年がとあるアパートの202号室に引っ越して来た場面から始まります。
引っ越して来て早々、デザートとしてイチジクを食べようとした際、手を滑らせて壁にぶつけてしまいます。しかもどう滑らせたのか結構な勢いをつけてぶつけた様で、隣室の壁が叩かれます。
一見些細な事ですが、これが始まりでした。
果たして主人公は再び引っ越すまで無事に過ごす事が出来るでしょうか。

些細なきっかけからストーリーは始まります。

システム

本作は2D見下ろし型のADVです。
移動や調べるといった行動はタップでは無く、画面下部の左右に表示されるボタンで操作します。左下の十字ボタンは常時表示されていますが、画面右下の!ボタンは調べる事が出来る事が可能な場所でのみ表示されますので、最初は戸惑うかも知れません。
また縦画面の本作で左右に割り当てられたボタンを両手で操作するのは狭苦しい感があります。スマホのサイズにもよりますが、回避行動など素早い操作を要求される場面はありませんので、片手で操作した方がスムーズかも知れません。
他にシステム面で特筆すべき点としては、脱出ゲームで良くあるヒント機能が搭載されていないという点が挙げられます。ただ幸いと言うべきか、本作の謎解きはさほど難しくないため困る事は少ないと思われます。

右側のボタンは調べられる場所で表示されます。

ストーリー進行

本作は分岐も含めると全20のエピソードで構成されています。その多くは朝から夕方までバイトして過ごしている主人公の自宅での、他愛もないはずの日常的な場面を描いています。
先述の通りイチジクから始まる訳ですが、その後もクシャミをする、入浴する、ギターを弾こうとするといった日常的な細かい場面を一つのエピソードとして描いてます。
ただそれらが単なる日常描写で終わっていないのが特徴的と言えます。

謎解き、ギミック

日常的な描写ばかりといっても本作のジャンルは脱出ゲームです。従って謎解きをして先へ進んでいく事になりますが、先述した通り本作は謎解きの難易度は高くありません。基本的には所定のアイテムを所定の場所で使用する事で進行しますが、時折ギミックも登場します。
ただそれらもギターケースや目覚ましの暗証番号だったり、混合栓の湯加減を調整といった相変わらず日常的な物となっています。主人公はギターケースの暗証番号を忘れた時の為に身の回り品にヒントを仕込んでいるのかと思いますが、暗証番号をそのままメモするよりはマシかとも思ってしまいます。

脱出ゲームであるだけあってギミックの解除もあります。

ホラー描写

記事タイトルにもある様に、本作はジャンルとして脱出ホラーとも謳っています。しかし先述した通り日常的描写が多い事もあり露骨なホラー描写は少ないと言えます。
ただそんな日常的描写に混じって、隣人が主人公の立てる物音に対し、当てつけで真似されている様な描写がなされます。主人公の立てた物音に対する隣人の反応、そしてそれを受けて主人公も神経が過敏になり、ストレスを感じているような様子が見て取れ、終盤にストーリーが大きく動いていく事になります。

TrueENDを目指す

本作のエンディングはTrueとBADのみとなっています。単に謎解きをして進めていくだけなら難易度は容易と言えますが、TrueENDは全てのエピソードを開放して最後のエピソードをプレイする事が条件である為、初見では難しいと言えます。
また分岐する事で開放されるエピソードが6つありますが、分岐条件は基本的に明示されておらず条件そのものが謎解きになっていたりといくらか難易度が向上しますので、それを楽しみつつTrueENDを目指して行くのが良いでしょう。

クリアーしていくとエピソードが開放され、好きな所から再開も可能です。

まとめ

本作は隣人トラブルをテーマにしたサイコホラー的な展開の作品と言えます。
一見何という事の無い主人公の行動に対する隣人の反応、そしてそれに対し主人公も悪感情を抱くという負の循環に陥ってしまっています。
そもそも部屋の壁が薄すぎるのではとも思ってしまう訳ですが。
終盤までは日常描写とその中に隣人との軋轢を描いていますが、終盤には明確なトラブルに至ります。もっともそこに至るまではストレスがあったのかも知れませんが主人公にも多少の落ち度があった様にも見えます。
そんな主人公の様子を見て、集合住宅に住んでいれば何かしら思うところはあるのでは無いかと思わざるを得ませんでした。

TrueENDを目指しましょう。