2020年 110分

TV番組への出演を条件に、「事故物件」で暮らすことになった芸人の山野ヤマメ(亀梨和也)。その部屋で撮影した映像には白い“何か”が映っていた…
Amazon Primeより抜粋
番組は盛り上がり、ネタ欲しさに事故物件を転々とするヤマメ
しかし人気者になっていく一方、次々と怪奇現象に巻き込まれていく。
そしてある事故物件で、ヤマメの想像を絶する恐怖が待っていた――。
概要
本作は2018年、2020年に刊行された『事故物件住みます芸人』松原タニシ氏によるノンフィクション書籍を原作としたホラー映画です。原作書籍を原案として2018年より複数の漫画が連載されている様です。
本作では原作著者松原タニシ氏をモデルにしたと思われる主人公をKAT-TUNの亀梨 和也氏が演じています。
売れない芸人が事故物件芸人へ転身
本作は主人公である芸人「山野 ヤマメ」が相方である「中井」からコンビ解消を伝えられる場面から始まります。ヤマメと中井は売れない芸人コンビで、ファンであった「小坂 梓」は解散を惜しむも結局コンビは解消されます。中井は伝手で放送作家見習いとなり、ヤマメも中井の手伝いをしつつ、彼に紹介される形で仕事を探す事になります。
そんな中2人がTV局のプロデューサー「松尾」と企画について話していた時、中井が事故物件についての話をした事から、ヤマメが事故物件に住んで心霊影像を撮影するという企画になってしまいます。さらにその後松尾に呼び出されたヤマメは事故物件を紹介され、事故物件芸人としての活動を始めるのでした。
ヤマメが住む事故物件たち
1軒目
ヤマメが松尾から紹介されて、最初に住んだ事故物件です。一人暮らしの女性が殺害された上に建物自体が違法建築と初っ端からハードル高そうな物件ですが、この後の物件は総じて殺意が高いため、実はさほど凶悪では無いのかも知れません。
広々としたフローリングが印象的な間取りの部屋です。しかし回覧板持ってきた女性の飼い犬が上がりこんで虚空を吠え立てるといかにも何かいる様な演出があったりしますが、恐怖体験するのは専ら遊びに訪れた梓で、その後彼女はいわゆる見える人であると打ち明けます。
2軒目
事故物件芸人として実績を上げたヤマメは自ら物件を探す事にし、ある不動産屋にて女性社員「横水」から紹介されます。
この物件は事故物件というのは仕方ないにしろ、クリーニングが非常におざなりな印象で、畳の下に血痕がべったり残っていたり、洗面所の鏡が無かったり、何故かシャワーヘッドとホースで経年変化が全く違ったり洗面台に至っては詰まったりといった有様です。
これらはこの部屋が事故物件とされた原因である殺人事件に由来するものですが、現場保存でもしてるのかと思うほど事件の形跡を残しているのは事故物件以前の問題では無いかと思ってしまいます。
ちなみに先述した通り、この物件からは実際に危害を加えて来るようになります。
3件目
こちらも横水より紹介された物件です。前の物件と打って変わってきちんとクリーニングされている様で、間取りとしてはロフト付きという特徴がある物件です。
ヤマメは首吊り自殺があった事を感じさせない明るい部屋で開放感を覚えたのも束の間、起き上がるのも困難な頭痛に襲われます。
恐らくは連鎖的に自殺が続いていたであろう部屋で異変に襲われたヤマメですが、辛うじて助けられます。
4軒目
本作で描かれている中では最後となる事故物件です。これまで近畿圏での物件でしたが、事故物件芸人としての活動が在京キー局より全国ネットで放送される事になります。
そのためヤマメも活動拠点を東京へ移す事になるのですが、首都圏でヤマメが出せる予算内でという事で横水が用意した物件です。
一応情報としては恋人同士が無理心中したというのですが、梓や中井はかなり危険な物件という事で引き止めに来ます。
ヤマメはそれを聴き入れない訳ですが、梓に対して突き放す様な言い草なのが引っ掛かりました。彼女がいなければ前の物件でお亡くなりになっていたのではと思ってしまいますので。
そうして本作では最後となる2Kと思われる古びた印象の部屋に移りますが、そこにいたのは霊とはいうレベルでは無いような存在でした。
ホラーとして
本作に登場する事故物件の内最後を除いて、物件で起こった事件をトレースする様にホラー描写がなされます。1、2軒目であれば霊が現れて事件を再演するような描写だったりといった所です。
ただ最初の部屋での描写はインパクト重視に感じられますが2、3軒目とホラー描写は弱くなっていく様に感じられます。2軒目は物件の手入れがなされていない事もあって不気味さも感じられますが、3軒目はホラー描写はかなり弱く感じられます。
最後の4軒目は色々盛大にしていますが、過剰にした結果ギャグに見えます。まるで幽霊もののコントを見ている様とも言えそうです。更に主人公が芸人という事もあってか時々挟まれるギャグ描写も恐怖感を薄めています。
総じて言えば恐怖感は非常に弱くホラーとしては微妙と言えます。
まとめ
タイトルからは事故物件で起こった事件事故に纏わるホラー描写をイメージされます。
しかし先述の通りそちらをイメージして観ると期待外れに感じられるかも知れません。
ただ売れずにコンビ解散し芸人廃業の危機から事故物件芸人として成り上がっていく話ならそれなりに見れるかも知れません。恐怖感は薄いので、怖いのが苦手という方が主演俳優目当てで見るというのがベストな見方と思いと、そういった層をターゲットにして制作されたのではと思ってしまう作品でした。