2005年 24分

暗い街があった。荒廃し、渾沌とした街の中に出来る隙間。
公式サイトより
路地の明かりが燈るとき、その向こうには、子供にしかできない遊び、子供にしか入れない世界があった。
子供たちは知っている。鬼と呼ばれる異形の者達との「オトコヨ様のお遊戯」、秘密の遊び「カクレンボ」のことを。行方不明になった妹を探すためにカクレンボに参加する少年ヒコラ、そしてヤイマオ。鬼の正体を暴こうとする3人組のノシガ、タチジ、スク。不気味な双子インム、ヤンク。そしてたった一人の女の子。
子供たちは知りたかった。この遊びを、この街を、この世界を…。
目次
概要
本作は2005年に劇場公開し、同年にコミックス・ウェーブからOVAとして販売された作品です。
フル3DCGによるホラーアニメとして製作されていて、東京国際アニメフェア2005の公募作品一般部門優秀作品賞などを受賞しています。
東洋の町を舞台にしたCGアニメ
本作の舞台となっているのは退廃した雰囲気が漂う東洋風の街です。看板などは日本語の物もありますが、街並みは古い時代の中国、香港を思わせる物となっている辺り、東洋の要素を混ぜ合わせた街という印象を受けました。


子供達VS鬼(達)のカクレンボ
このカクレンボには妹の「ソリンチャ」を探すために参加した「ヒコラ」とその兄貴分である「ヤイマオ」、鬼の正体を暴くと言って参加したガキ大将の「ノシガ」とその取り巻き、謎の双子や少女などといった子供達です。
参加する子供たちは皆キツネの面を付けていて、お面の内側にある顔や表情が描かれる事は一度もありません。
作中で参加する子供達の半分以上は相応の目的がありますが、それ以外だと子供達はどのような見返りがあって『鬼との遊戯』に参加したのか気になるところです。


そして会場に誘われた子供達に鬼が襲いかかります。鬼は強靭な身体を持ち、逃げる子供達を1人また1人と捕まって行きます。ちなみに捕まる子供はほとんど隠れておらず、どちらかと言えば鬼ごっこになっています。カクレンボという遊戯の意味を考えてしまいますが、この時がイレギュラーだったのか定かではありません。
しかも鬼は1体では無く、頭数でも子供達とさほど変わらないという有様です。片や異形の鬼、片や普通の子供と絶望的な戦力差がある双方が、カクレンボという名の追いかけっこを行う訳で、一方的になるのは目に見えています。
そういった様相が中盤まで描かれます。
本作は尺の割にキャラは多くなっていますが、テンポ良く脱落していく為、さほど多いとは感じさせません。


『カクレンボ』の真相
途中で謎の少女と合流したヒコラたちは鬼から逃げつつ進んで行きます。彼はソリンチャを探すという目的がある者の、見ていて当てがある様に見えず何処を目指しているのかも分かりません。
そもそも子供たちがカクレンボで生き残れる条件が定かでありません。普通に考えれば一定時間捕まらないか見つからなければ良いのかとも思いましたが、元々子供たちが最後の1人になるまで続けられるデスゲーム的ルールと思われ、結末を見るにそう考えた方が納得しやすいかも知れません。
終盤、ヒコラたちは鬼たちに包囲され、それから中心的存在の鬼が現れます。本来ならラスボスと言った方が良いのかも知れませんが、鬼側が一方的に蹂躙しているだけなので適当な表現とは言い難いと思われます。
そしてヒコラは最後に現れた鬼の正体とカクレンボの目的を知りますが、見ている側としては無駄にエグかったりで頭を抱えたくなりました。
まとめ
CGで製作された本作ですが、全キャラクターが狐の面をかぶっているという割り切った造形になっています。
その為顔や表情を造形する手間がない為かは分かりませんが、全体的には動いている印象を受けました。
しかし冒頭の音声が何度聞いても聞き取れない音量という事もあってか説明不足感は拭えませんでしたが、説明不足という点に関しては僅か25分程度の短編という事も影響しているかも知れません。
全体的には東洋風という世界観や雰囲気は、救いのない結末は人を選びそうですが、キャラ数の割にはテンポ良く進む作品という印象でした。