目次
DATA
- タイトル:TVアニメ「鬼滅の刃」 無限列車編
- 放送クール:2021年秋
- 話数:7話
- 制作:ufotable
- 監督:外崎春雄
- 脚本:ufotable

炎柱・煉󠄁獄杏寿郎に、新たな指令が下された。
公式サイトより抜粋
それは、四十人以上もの行方不明者が出たという「無限列車」——その現地へ赴き、調査を行うというもの。
鬼殺隊本部を後にし、無限列車の任務へと旅立つ煉󠄁獄だったが——。
概要
本作は2016年から2020年まで吾峠呼世晴氏により週刊少年ジャンプで連載された同名漫画の劇場アニメ版をTVアニメにした物です。2019年の春夏に放送されたアニメ1期で原作人気も増し、2020年に上映された続編である劇場アニメ『無限列車編』は現時点では日本歴代興行収入1位、世界的にも2020年世界年間興行収入1位と記録的な人気を博しています。
TV版オリジナルの第1話
本作の第1話は鬼殺隊炎柱の「煉獄 杏寿郎」の活躍を描いていて、TV版のみのアニオリエピソードとなっています。駅の弁当売りをしている老婆とそれを手伝う孫娘が登場し、無限列車の調査に乗り出した杏寿郎と出会います。鬼を信じている老婆と信じていない孫娘が対照的と言えます。
その後鉄道の車両基地を訪れた杏寿郎は自らが買い占めた駅弁を差し出す事で、さも関係者を装って作業員から話を聞きますが、こんな派手な出で立ちをした鉄道関係者がいるのかとも思ってしまいます。
ただ甲斐あって行方不明者が出て運行停止していた無限列車が間もなく運行再開する事が判明します。
しかしその時車両基地内に鬼が現れます。杏寿郎と対峙した鬼はいかにも小物といった風情でマトモに戦っても勝ち目が無いと判断したのか、杏寿郎が持っていた駅弁から弁当売りの所在を突き止め襲うも結局杏寿郎に阻止され倒されます。
このエピソードは老婆が過去に杏寿郎の父に救われた事があるという事もあり、炎柱たる杏寿郎が持つ実力の一端を見せつつ、人物像を掘り下げているエピソードであると言えます。
鬼が見せる夢
第2話に入ると、アニメ1期のラストシーンと同様の場面が映され、「竈門 炭治郎」「我妻 善逸」「嘴平 伊之助」らが無限列車に乗り込み杏寿郎と合流します。炭治郎の妹である「竈門 禰豆子」も炭治郎が背負う箱に入って同行しています。
車内は平和に見えましたが、車掌が検札したのを切っ掛けに乗客たちが眠りに落ちてしまいます。炭治郎ら4人の剣士も眠りに落ち、それぞれ夢を見ます。この夢はその人物がもっとも見たいと思っている様な内容になる様で、杏寿郎と炭治郎はそれぞれの実家にいる夢でした。
ただ杏寿郎の夢に出てくる煉獄家はおおよそ現実に即しているのに対し、炭治郎の夢に出てくる竈門家はストーリーの切っ掛けとなった惨劇が無かったかの様な、平和な物でした。
そして炭治郎は現実が悪い夢だとでも思ったのか、夢に馴染んで行きます。もっともこの場合は実家の本来あるべき光景なのでしょうから納得すれば即座に馴染めるでしょう。ちなみに一連の夢ではアニメ1期第1話以来、まともに話す禰豆子の姿を見る事が出来ます。
その頃、下弦の壱である鬼「魘夢」の指示を受けているらしき4人の若い男女が現れ、炭治郎たち剣士たちを精神的に戦闘不能に追い込もうとするも完全に失敗に終わります。
どうやら魘夢は夢を餌に平凡な男女らを利用していた様ですが、炭治郎の精神に触れた青年が救われたという結果になりました。
一方の炭治郎は禰豆子のアシストと自らの精神力で夢から脱出し、魘夢と対峙します。
しかし魘夢は無限列車と一体化しており、鬼の身体となった無限列車がその本性を露わにしますが、列車その物が巨大な肉塊と化し、車内を無数の触手らしき物が蠢く様はなかなか強烈なビジュアルと言えます。
やがて遅ればせながら覚醒した伊之助、杏寿郎に寝ている方が強い善逸も加わり依然として寝たままの乗客を守りながら戦います。そして炭治郎は伊之助と連携して戦い、ヒノカミ神楽で魘夢を倒します。断末魔の後自らが何故敗れたのか分析しつつ消え去る魘夢。しかし本作の本番はここからでした。
死闘
魘夢が倒れ、無限列車が脱線した後に現れたのは上弦の参「猗窩座」でした。それを迎え撃つのは勿論一同で唯一の柱である杏寿郎です。
強者と戦いたいといった様子の猗窩座は杏寿郎に鬼になれと勧誘するも、杏寿郎はそれを断り激戦が始まります。
それを見守る事しか出来ない炭治郎と伊之助は魘夢戦の疲労やダメージも然ることながら、2人から見て杏寿郎たちの戦いはいわゆるヤムチャ視点の戦いであり、万全であっても手を出すのは憚られたかも知れません。
本作も大詰めという事もあって圧倒的描写で描かれる戦いですが、上弦故か回復能力がエゲツない猗窩座に対し、杏寿郎はダメージが蓄積し劣勢になって行きます。
そんな様子を見て再三勧誘する猗窩座とそれを杏寿郎。そもそも鬼殺隊の剣士は鬼を狩るのが目的であって、その手段として鍛錬している訳なので、価値観が根本的に違うのではとも思われます。
そして両者が奥義を放ち、死闘の決着が付きます。戦いやその結果、その後炭治郎が猗窩座に向かって放つ血を吐くような叫び声も印象的です。その内容は非常に正論であり、鬼狩りの戦いが如何に理不尽かという事を表していると言えそうです。
まとめ
本作は元が記録的なヒットとなった劇場版という事で、それも納得といった出来栄えで全体的に見応えがあったと言って良いでしょう。キャラクターの掘り下げとしては杏寿郎が中心となっていますが、その他では伊之助が1期と比べ炭治郎との絡みで成長を感じました。
この後放送される遊郭編も楽しみな所です。