【漫画】金田一少年の事件簿 File(2)異人館村殺人事件【感想】

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DATA

  • タイトル:金田一少年の事件簿 File(2)
  • 作者: 天樹征丸、金成陽三郎(作)/さとうふみや(画)
  • 刊行年:2004年
  • 出版社:講談社
  • レーベル:講談社漫画文庫
7 out of 10 stars (7 / 10)

六角村の呪われた過去・異人館村殺人事件。奇妙な館が数多くある六角村。それぞれの館には、体の一部が欠けたミイラが祀られているという。不吉な空気が漂うこの村で、猟奇的な連続殺人事件が発生する。

講談社コミックプラスより抜粋

概要

『異人館村殺人事件』は週刊少年マガジンにて1992年51号から1993年12号に掛けて連載されました。

元クラスメートの結婚式を襲った惨劇

本エピソードは「金田一 一」と「七瀬 美雪」のクラスメートである「時田 若葉」が教師とラブホテルから出てくる写真が掲示されている場面から始まります。
当然教師や関係者の間で問題になったと思われ、PTA会長が騒いだ事により若葉は退学処分となります。それなら教師も解雇という事になりそうですが、そういった事は特に触れられていません。
その後はじめが暗躍してPTA会長と校長の関係を暴いた事で退学処分は取り消しとなります。しかし若葉は実家より帰って婚約者と結婚する様にとの達しがあったそうで結局実家に帰る事になります。親としてはこれ以上悪い虫が付く前にとでも考えたのでしょうか。
その後はじめたちの元に若葉から結婚式の招待状が届き、件の教師も同行して若葉の故郷である青森県の六角村へ到着します。その名が表しているのか、六芒星とも呼ばれるダビデの星を象った集落です。
そこで時田家に向かうはじめたちですが、出会う村人たちは如何にもクセが強そうな雰囲気です。特にカラスを縊り殺している少女は1番インパクトがありそうです。
そうやって時田家に到着したはじめたちですが、はじめは到着早々好奇心からミイラを見付けてしまいます。流石に他人の家を勝手に探索するのは如何な物かと思いますが。
やがて村の風習で結婚前夜の花嫁は村中央にある教会のベッドで一夜を明かすのですが、その最中花嫁である若葉が首無しの遺体となって発見されます。
これがある意味シリーズ最悪と言える惨劇の幕開けでした。

小さな村が壊滅する惨劇

そして事件の報を受けて、階級不明の「俵田 孝太郎」刑事率いる青森県警の捜査陣が到着し、当然現場を取り仕切ります。
この時はじめが独自調査する為に「剣持 勇」警部に連絡し、その威を借りるのですが、その際に県警が警視庁の下部組織かの様な描写になっているのが気になりました。東京都警察たる警視庁と府県警は立場としては対等なはずで、お互いに協力依頼などはあっても命令などは出来ないはずです。警察庁と警視庁や府県警、警視庁や府県警の本部と所轄署などならばこういった関係性は成立すると思われますが、これは制作陣が勘違いしたのかと思ってしまいます。
何はともあれはじめと捜査陣はそれぞれ捜査を開始します。その手始めにはじめは他の家にあるミイラを確認し、時田家にあったミイラと別々の部位が欠けている事を把握します。
しかしそんな彼らを嘲笑うかの様に「七人目のミイラ」を名乗る犯人により、次々と村の住人が惨殺されて行きます。3日目朝、ある住人が他殺体となって発見され、警察がその前夜に犠牲者と争っていた別の住人を逮捕しようと踏み込んだ所、そちらも他殺体で発見されたといった具合です。
そしてそれらに遺体はいずれも身体の一部が欠けていて、それはその家が所有しているミイラと同じ場所が欠けている様でした。
その後行方不明だった人物が他殺体となって発見されたりする中、犯人に脅迫されながらも調査を進め、かつて村であった事件を聞き出しますが、病人に負担をかけさせた結果死亡する事案が発生します。もう少し安静にさせていれば良かったのではと思わざるを得ません。

シリーズ最強クラスの犯人

その後美雪のお色気シーンをはさみながらも更に犠牲者が増えながらも、はじめは調査を進めて推理を披露するに至ります。
本エピソードの事件でトリックらしいトリックが用いられているのは最初の事件だけですが、伏線も仕込まれているそのトリック解明を始めとして、そのなりすましとともに犯人「七人目のミイラ」を暴きます。
やはり過去の事件に起因していて、その仮定でトリックにより身体の一部が欠損したミイラが7体生成され犯人の名乗りもそれに由来しています。
しかしある意味シリーズ最強とも言われているこの犯人ははじめに指摘されても警官に囲まれても怯まず立ち回り目的完遂に向けて進み続けます。犯人が明らかになってもなお犠牲者が出て、はじめも散弾銃で腹部を撃たれますが、立ち上がって説得します。至近距離なら散弾が散って無いからダメージが少ない訳も無く、距離が短いほど威力は増すため実はかすっただけだったとか主人公補正といった理由でも無いと納得は難しいのではと思います。重傷負っても立ち上がる主人公というのは如何にも少年漫画的な展開ですが生身に散弾銃はやり過ぎでは無かったかといった印象です。

まとめ

本エピソードは島田荘司氏の『占星術殺人事件』からトリックを盗用した事で知られていて、その事は文庫版冒頭に記載されています。その為ドラマ版は欠番扱いでアニメ化もされていないなどいわくつきのエピソードと言えます。
それを除いてもシリーズ最多とも言われている犠牲者という死屍累々たる有様や散弾銃で腹部を撃たれても立ち上がるはじめ、若葉の悲恋物語など見どころ多数といった所です。
しかし連載2エピソード目にしてここまで極端な内容になった物だと思いますが、初期ゆえに色々さじ加減が出来ていなかったのかも知れません。