目次
DATA
- タイトル:金田一少年の事件簿 File(3)
- 作者: 天樹征丸、金成陽三郎(作)/さとうふみや(画)
- 刊行年:2004年
- 出版社:講談社
- レーベル:講談社漫画文庫

吹雪のなかの復讐劇。雪夜叉伝説殺人事件。雪深い背氷村で行われたドッキリ番組の撮影中、本当の惨劇が起きてしまう。事件の真相解明に向けて、金田一少年とエリート警視・明智がお互いの推理を戦わせる!
講談社コミックプラスより抜粋
概要
『雪夜叉伝説殺人事件』は週刊少年マガジンにて1993年13号から23号に掛けて連載されました。
TV番組収録現場を襲った事件
本エピソードは「金田一 一」が冬休みにTV局のアルバイトとしてある収録現場に入った際に起こった事件描いています。
北海道は大雪山系にあるという設定の避暑地『背氷村』にある氷室画伯邸に入った収録陣は俳優ら4人のタレントにはじめを含む5人のスタッフに加え、何故か「剣持 勇」警部とその上司である「明智 健悟」警視も参加しています。北海道なのに警視庁の刑事が出張って来るのかと思いますが、在京TV局が最寄りの警視庁に依頼したとかそういう事なのかも知れません。
またこのアルバイトは本来ははじめの幼馴染みである「七瀬 美雪」が演劇部OBから依頼された物だそうですが、彼女が直前に風邪ひいた為に代役として参加したという経緯があります。その為今回美雪は現場におらず、タレント側で参加しているアイドル「速水 玲香」がヒロインとなっています。
そういった面々により昨今見かけなくなった印象のドッキリ番組を収録していました。
その番組は現地に伝わる『雪夜叉』を扱った物ですが、その最中雪夜叉に扮した何者かが現れ、出演していたタレントの1人が惨殺され、事件の幕開けとなります。
推理合戦
そして当然雪夜叉の正体を突き止めようと動き出すはじめと明智警視。しかし明智からすればはじめが動くのは一般人が首突っ込んでいる状況なので黙殺出来ないと思われます。もっとも警視庁の刑事も管轄外ではと思われますが、目前で事件が起こっている上に現場は雪深い山奥という事で彼らで対処せざるを得ないという判断でしょうか。
また部下に当たる剣持がはじめの事を高くを買っている様子なのも気に入らない様で、明智ははじめに推理合戦を持ち掛けます。当初は有耶無耶になるも2人目の犠牲者が発見されるに至って、明智とはじめ剣持ペアがお互いの警察手帳を掛けて推理合戦することになります。
ただこの時の明智は殺人事件を掛けの対象にするという、不謹慎とも取れる態度となっていて、それがはじめの反発を買っている様にも見えます。とは言えこういった推理対決と言うのは主人公に挑む側が噛ませ犬の様な扱いになりがちな印象で、実際に明智が最初に披露した推理は多少の間を置いてはじめに論破されています。即座に論破で無いだけマシといった所でしょうか。
推理合戦の行方
しかし双方を捜査をしている間も雪夜叉による犠牲者は増えます。そういった状況で明智が再度動き、満を持しての推理を披露します。その推理を構成する証拠や情報の半分程度ははじめたちが集めた物という気がしますが、実際に事件が進んでいる以上細かい事は言っていられ無いのかも知れません。
そして事件は明智の推理を裏付けるかの様に幕を下ろすかの様に見えますが、ここに至ってもはじめはその推理を披露していません。
しかし諦めずに捜査を継続し、ある事をきっかけに事件は最終局面に至ります。
まとめ
本エピソードははじめのライバル的ながらも共闘する事の多い明智警視とシリーズの準ヒロイン程度存在である玲香が初登場しています。3エピソード目でシリーズのレギュラー的存在となるキャラクターが複数も登場するというのはシリーズの長期化を見据えての事だと思われます。
事件そのものについては前回の様なおかしな派手さはありませんが、豪快な物理トリックを中心としながらも古典的トリックを小技的に用いているのが印象的でした。