【漫画】金田一少年の事件簿 File(5)秘宝島殺人事件【感想】

スポンサーリンク

DATA

  • タイトル:金田一少年の事件簿 File(5)
  • 作者: 天樹征丸、金成陽三郎(作)/さとうふみや(画)
  • 刊行年:2004年
  • 出版社:講談社
  • レーベル:講談社漫画文庫
7 out of 10 stars (7 / 10)

招かれざる客とは誰だ

講談社コミックプラスより抜粋

概要

『秘宝島殺人事件』は週刊少年マガジンにて1993年34号から44号に掛けて連載されました。

孤島で行われる宝探しツアー

本エピソードは「金田一 一」が母親と幼なじみ「七瀬 美雪」に乗せられて、宮崎県沖の日向灘にある『悲報島』で行われる宝探しツアーに参加するという場面から始まります。はじめの家庭環境が描写されるのはこのエピソードが最初と言えます。またはじめは金田一耕助の孫となっていますが、母親が耕助の血を引いているという設定の様です。その為か父親は影が薄い様な描写となっています。そうすると父親は婿に入っている扱いという事でしょうか。
しかし宝探しツアーは定員があり、まずは選抜試験に参加となります。勉強は苦手ながらも高IQで地頭は良いはじめは試験を突破するも、美雪は落ちてしまいます。しかし兄妹と偽って無理矢理2人でツアーに参加します。家族ならOKだろうという理屈も良く分かりませんが。
そうして悲報島へ向かう週一の定期船上でいかにもクセの強そうな面々の参加者とオーナーの娘である「美作 碧」と出会うはじめたち。
かつて祭祀場だったといわれ遺跡が点在するという島に上陸し、主催者が住まうログハウスに到着した参加者たちですが、そこでオーナーはバラバラ死体となっていたのでした。
そしてオーナーが島外との連絡手段を持っていなかった事と次の定期船が1週間後という事から、島は例によってクローズドサークルとなったのでした。

秘宝の島で起こる惨劇

そういった状況とはいえ宿泊する部屋は必要ですので、ツアー参加者は島に点在するコテージの鍵を貸し出して行きます。
しかしその際にやって来たツアー参加者が予定より1人多い事が判明します。ただ参加者を知っているであろうオーナーは既に亡き者とされているため、誰が『招かれざる客』なのか分からないという状況の様です。
そしてはじめは身を護るためにも島内を把握しようと、美雪とツアー参加者の少年を連れて島を探索します。その際に島内にある鉱石を用いた鳥居を見付け、他の参加者から財宝を守るという伝説の半獣人山童について話を聞いた事で秘宝を在り処を示すという和歌との関連に気付きます。
しかし翌朝、別の参加者が惨殺死体となって発見されます。そして参加者である医者が検死をし、その結果からアリバイを確認した所全員のアリバイが成立してしまいます。
これで本エピソードはアリバイトリックが用いられているらしい事が分かります。
その後参加者の少年が他の参加者を犯人であると推理したり、それをはじめに論破された後ははじめを罠に嵌めて死に追いやろうとしたりと不審な動きを見せますが、読者視点だと露骨に怪しすぎてミスリードと思ってしまいます。

悲報の終焉

その後も参加者は招かれざる客によって屠られて行きます。
また参加者のうち数人は過去にこの島を訪れた事があり、その時に死者が出たらしいという事と、彼らが次々と殺害されている事からこの件が今回の事件における動機に繋がっているであろう事は推測出来ます。
そしてはじめは最後に殺害された被害者から決定的な手掛かりを得ます。もっとも過去の事件に絡んでいたであろう参加者は全滅し、はじめを含めた参加者全体でも7名いたのが半分以下まで減ってしまい無惨な有様といえ、更に犯人は目的をほぼ達成したものと思われます。
そういった状況ではありますが、事件解決のためはじめは招かれざる客の意外な正体を明らかにします。
しかし事件そのものは解決しても財宝を巡っての騒動が起こり、はじめは危機に陥ります。
この部分も犯人の動機を掘り下げるなどして、丸1話ほど費やしていて、最後の見せ場といった印象です。

まとめ

金田一家の事情から宝探しツアーに参加するという導入の本エピソード。はじめの家庭環境に掘り下げがなされるには本エピソードが最初と思われます。
事件そのものはアリバイトリックがメインがメインで、もう一つ大きな仕掛けがあるわけですがどちらも仕掛けそのものはシンプルな印象を受けるのが面白く感じました。