【漫画】金田一少年の事件簿 File(12)蝋人形城殺人事件【感想】

蝋人形が殺しの予告状、蝋人形城殺人事件!明智警視に推理勝負を挑まれ、蝋人形城で行われるイベントに参加した一。その城に用意された参加者全員の蝋人形がこれから起こる連続殺人の予告状になっていく。

講談社コミックプラスより抜粋
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DATA

  • タイトル:金田一少年の事件簿 File(12)
  • 作者: 天樹征丸、金成陽三郎(作)/さとうふみや(画)
  • 刊行年:2004年
  • 出版社:講談社
  • レーベル:講談社漫画文庫
6 out of 10 stars (6 / 10)

概要

『蝋人形城殺人事件』は週刊少年マガジン1995年28号から1995年41号に掛けて連載されました。

長野の山奥に移築された古城での推理大会

本エピソードは「金田一 一」がいつもの様に幼馴染の「七瀬 美雪」を伴っていているものの、「明智 健悟」警視と同行してドイツから長野の山奥に移築された古城『バルト城』へ向かう場面から始まります。
目的はこの城で開催される推理ゲーム大会『ミステリーナイト』に参加するためです。
はじめは当初、参加に前向きとは言えませんでしたが、明智から依頼された美雪らの働きかけによって参加する事になります。
どうやら明智は推理対決にかこつけてはじめを参加させたかったかの様に見え、この大会に裏がある様に感じられます。
明智が運転する車で移動中、山中でバルト城へ向かうらしい白人女性「マリア・フリードリヒ」と遭遇したため、彼女も乗せて城に移動します。
マリアはどうやらバルト城の故国であるドイツからミステリーナイトに参加するためにやって来た様です。しかしフリードリヒというのはファーストネームで使うのでは無いかと思ってしまい、少し違和感があります。
そうしてバルト城に到着すると、ミステリーナイトの参加者たちと会いますが、その面々は推理作家、犯罪心理学者、犯罪ルポライターなど探偵役っぽい肩書の人物がいる一方で、探偵事務所社長や推理小説評論家など少しズレた様な肩書きを持っている人物もいたりします。
また中にはアメリカからやって来た某刑事の親族らしい人物も登場するのが印象的です。
さらにはじめと美雪も含めた参加者の蝋人形が展示されていたりと、ミステリーな雰囲気が醸し出されてきます。

探偵たちを襲う惨劇

その直後主催者「Mrレッドラム」によってミステリーナイト開催が宣言されると城唯一の出入口である跳ね橋が上がって、城内はクローズドサークルとなります。
そういった事があった後、蝋人形を用いた推理ゲームが不意に行われます。参加者たちが推理していき正解へたどり着いたかと思えば、この問題ウォーミングアップであったと宣言されます。
しかしその直後、最初の被害者が自室で蝋人形と同じ状況で殺害されているのが発見されます。
そうなると当然推理ゲームどころでは無いとなりますが、跳ね橋は上がったままで、さらに跳ね橋の動力源は破壊されていて、例の如く完全なクローズドサークル状態となります。
ここに至って参加者たちはレッドラムの目的を察するに至ります。
果たして現役の敏腕刑事や犯罪心理学者などといった参加者たちを相手にMrレッドラムは如何にして目的を達成しようというのでしょうか。
そしてはじめはMrレッドラムの正体を突き止める事が出来るのでしょうか。

Mrレッドラムを追い詰める

はじめが看破した様に、主催者であるMrレッドラムは参加者に紛れています。
そうなると参加者の中には疑心暗鬼になる人物も当然出て来ます。そしてこれは犯人もある程度想定していた物と思われます。
その結果参加者たちはなかなか協力し合う事が出来ないばかりか内輪揉めの様な事をする場面があっても仕方ないと言っても、流石に拷問すると脅すのは如何な物かと思ってしまいます。
そんな参加者たちを尻目にMrレッドラムによる被害者は増えて行きますが、ある事をきっかけにはじめは手掛かりを掴むのでした。

まとめ

西洋の古城に集められた探偵たちに、彼らを模した蝋人形。そして蝋人形と同じ様に殺されていく探偵たちという風に、如何にも本格推理物といった要素と道具立てに彩られた本エピソードですが、トリックなどミステリーとしての面で見ると、地味かつバリエーションが少ないというのが正直な印象です。
この荘厳な道具立てに見合った派手なトリックなどを多少ハッタリ効かせてでも用いればシリーズ屈指の傑作になれたのでは無いかと思います。
国内でも有名な未解決事件を動機のバックボーンに組み込んだり、オカルトな雰囲気がある結末といい、トリック面が弱いのが玉に瑕という印象のエピソードでした。