2019年 DANGOYA

概要
本作はオカルト事件の推理を扱ったノベルゲームです。
公式でも記載されていますが、オカルトを扱っているものの、調査や推理が主眼となっていてビックリ系などホラー要素は少なめです。
オカルトから始まる調査
本作の主人公「一筆 いずみ」は大学に通いながら、ある編集社でオカルト雑誌のライターを務めています。
そんな彼女にある日振られた仕事は、亡き富豪が所有していたという廃屋の調査という物でした。廃屋は現在心霊スポット扱いされている模様です。
調査へ向かいながら、本物の心霊現象なんて殆ど無いと思っていた主人公。しかし彼女は幸か不幸か本物を引き当ててしまいます。
尋常じゃない禍々しい相手に対して、命からがら脱出するのが精いっぱいだった主人公ですが、現場で得た情報から違和感を感じ、心霊現象の裏に隠された事件の真相に迫って行く事になります。


廃屋とはいえ、下手をすれば不法侵入になりそうな案件を仕事として振るのは如何な物かと思ったりします。
ただ主人公や上司である編集長は、オカルト雑誌の取材という業務を胡散臭いものと見られていると思っている様な節があり、本来の目的を隠しての聞き込みや情報収集を行っての調査を行っている印象を受けました。

システム
本作はノベルゲームとなっています。
ただ一般的なノベルゲームと異なり選択肢がありませんし、一本道でもありません。ただただ読み飛ばしているとBADENDになってしまいます。
本作でストーリーを進める為には、違和感を感じるなど、気になる文面を見付けてメッセージウインドウをタップする事で「チェック」する必要があります。チェックした文章が正解なら次の章へ進めます。
もちろん手当たり次第チェック出来る訳では無く、チェック出来るのは1つの章(チャプター)に付き1プレイ1回限りとなっていて、間違えたら章の最初からやり直す必要があります。
その為チェックは考えて行う必要があります。もっとも初見時はチェックすべきポイントがこの後あるのではと思っている内にBADENDに至りがちですので、最初はチェックすべきポイントを見極める為にひと通り読むのが良いかも知れません。付け加えるならBADENDを見る事もサブストーリー開放の条件となっています。


機能的な面ではSkip機能や章の最初からやり直しといった機能があります。
ただSkipは自動的に文面を進めるAutoと言った方が妥当な印象で、何度もやり直しているとまどろっこしい感覚になってしまいます。
速度調整か章を更に区切ってのやり直しやSkipが出来れば更に快適だったかも知れません。
またこういったアプリでは定番といえるヒント機能もありますので、活用すればクリア出来ないという事は無いと言えます。
構成
本作はいずみを主人公とした「本編」と本編と関係の無いストーリー「ミニゲーム」に分かれています。
本編
本編はメインストーリーである「事件編
」、読むだけの小編で構成された「欠片編」、事件編の後日談2本で構成された「奇憶編」で成っています。
事件編をクリアするだけなら2、3時間といった程度ですが、せっかくならコンプリートを目指したい所です。
まず欠片編はストーリー毎に開放条件があり、事件編の進行具合やBADENDを見た数などが条件となっています。
そして奇憶編ですが、こちらは基本的な進め方は事件編と同様ですが、チェックポイントを逃すと即BADENDという構成の為、ある意味親切と言えます。
1編目の「おきつねさま」は事件編クリアで開放されます。
2編目の「奇憶の迷路」は事件編と欠片編を100%にする事とおきつねさまをクリアする事で開放され、本編では実質的な最終シナリオとなっています。
このシナリオはヒント機能が使えず、欠片編などにもヒントが散りばめられていますが、チェックポイントを逃すと即BADENDには変わりありませんので、トライアンドエラーでもクリア可能と言えます。
こちらのシナリオはある結末への期待が無くもありませんでしたが・・・といった印象です。
本編全体での所要時間は3、4時間程度と思われます。


開放には条件があります。
ミニゲーム
ミニゲームは本編と関連の無い死にゲーです。
事件編チャプター4をクリアする事で開放される本シナリオは、「丸山 杏子」という少女が深夜の旧校舎で探索をするという物です。探索については友人からの罰ゲームという事ですが、一体どういう理由でこんな罰ゲームなんでしょうか。
1つのチャプターが1分程度だったり、レトロゲーム風の背景でストーリーが進行したりと緩い雰囲気です。
しかしチェックポイントが本編と比べて分かり難くなっている事もありますが、チャプターが30近くある事もあって必然的に杏子は何度も何度も消息不明となります。
1つのチャプターが短い事も相まって、初見では気付いたら消息を断っていたという事になりがちとも思えます。
次々と短い間隔でチェックポイントを探すのは意外と根気が要ります。
そんな本シナリオはクリアに1時間以上要しました。


まとめ
本作は手軽でシンプルながらも多少ながら推理要素を楽しめるノベルゲームです。
オカルト調査を基本としながらも、地道な調査で真相に迫って行く展開も好印象でした。
主人公であるいずみや上司である編集長もキャラが立っている印象がある一方で、立ち絵がありながら殆ど出番の無かったキャラもいます。
そういった事からシリーズ化しても良いのではと思っていますが、個人制作の様なのでその辺りは制作者次第といった所です。
