
17年ぶりに集まった中学の同級生6人。
Amazonより抜粋
母校で行われる同窓会が惨劇の場と化すとは、その時誰もが思わなかった・・・。
目次
DATA
- タイトル:切子
- 作者:本田真吾
- 刊行年:2015年
- 巻数:全1巻
- 出版社:日本文芸社
- レーベル:ニチブンコミックス
概要
本作は別冊漫画ゴラクで連載されていた作品です。
同窓会にかっての同級生が怪物となって襲いかかるホラー漫画です。
山奥の廃校で起こる惨劇
本作は主人公「葉山 良介」たちが山奥の廃校を訪れる場面から始まります。
良介たちはこの学校の卒業生で、同学年は全7人と少人数だった様です。その7人の内1人「奥村 切子」は卒業前に自殺と見られる転落死していて、その切子の16年忌というのが今回廃校で行われる同窓会の趣旨でした。
良介は切子が自殺するはずないとの考えから切子の死に疑念を抱いていた様子で、今回の同窓会で切子の死について何か分かるのではとの思いがある様子でした。
やがて参加者6人が勢揃いしますが、誰も今回の同窓会を呼びかけていないという話になり、不穏な空気が流れます。
そんな中トイレに立った参加者の悲鳴が響き、他のメンバーが駆けつけると、見るも無惨な死体と化していました。
しかもその後唯一の道が土砂崩れで塞がるという、お決まりのパターンで良介たちは逃げられなくなってしまいます。
モンスターホラー
表紙などで分かるかと思いますが、本作は怪物として蘇った切子がかつての同級生たちを次々と屠って復讐していくという内容になっています。
髪型や服装など少女らしいシルエットはそのままに異形な怪物となった切子は、その人間離れした怪力や破壊力をもって惨殺して行きますが、造形もある程度原型を保っている分不気味に見えます。
また登場人物の人数がストーリーのボリュームやホラーというジャンルである事を踏まえると、妥当と思えるラインに収まっていて、景気良く殺されるといった風でも無く、グロ描写などはこの手のホラーとしては大人し目という印象でした。
復讐
かつての同級生が1人また1人と殺されるのを目の当たりにする良介ですが、彼には切子が怪物になってまで復讐する心当たりがありませんでした。
もっとも序盤から良介と同級生たちでは、切子の死について話が上手く噛み合っていませんでした。
自分の知らない理由があったのかと考える良介ですが、それを知っているであろう同級生たちは次々と物言わぬ肉塊へ変えられてしまっています。
そんな中、良介は切子が亡くなった理由を知りたがってという事もあり、手掛かりを元に真相に辿り着きます。この辺りはホラーとしては比較的ありそうなパターンかと思いました。幾分かインパクトはあります。
しかし殺戮を重ねる毎に破壊力を増していっていた切子が良介に追い付いていました。良介の運命は如何にといったところでしょうか。
まとめ
本作は復讐の為にクリーチャー的な怪物として蘇った少女が登場人物を殺戮するという、表紙から受ける印象と大きく変わらない内容と感じました。そういう意味ではハズレとは感じ難いのでは無いでしょうか。
ただ全体的にグロ描写は控えめですが、そういった物が苦手な方でも読みやすいと言えます。
また切子の死に纏わる部分も、多少の意外性を持たせていて、シンプルなストーリーのいいアクセントになっていると言って良いでしょう。
ホラーとして見ると切子の不気味な姿や徐々に破壊力を増していく様子、如何にもホラー的な余韻などが好印象ですが、やや小さくまとまった印象も受けました。