【Android】僕の婚約者を殺したのは誰だ。【推理 x 謎解き】【感想】

2017年 GOLDEN DOG, K.K.

3.5 out of 10 stars (3.5 / 10)

謎解きx推理で犯人を追え。
そして物語はある”衝撃の真実”に近づく…。
「矛盾する証言を選択せよ!」
ストーリー形式の本格推理で矛盾点を暴きだせ。
君は会話の一語一句を聞き漏らしてはならない…。
そして真の犯人を見つけることができるか?
—僕の婚約者を殺したのは誰だ。—

GooglePlayより抜粋
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概要

本作は『推理 x 謎解き』と銘打ったゲームアプリで、婚約者を殺害された主人公が犯人を追うという内容になっています。クリアまでの所要時間は3〜4時間程度と思われます。

連続殺人犯の手によって婚約者を失った主人公

本作の主人公である「小次郎」は元警官の私立探偵です。一年前、連続殺人犯「赤河童」により婚約者「衣織」を殺害されたという経緯から独自に赤河童を追っている様です。
ただ元警官という事もあってか婦警「心愛」や刑事「寺門」、鑑識官の「春彦」らと協力関係にある様子です。
そんな彼の元に赤河童の手による物と思われる事件発生の一報が入ります。
果たして小次郎は赤河童を捕らえる事が出来るでしょうか。

主人公小次郎は婚約者である衣織を喪っています。
小次郎は衣織を殺害した赤河童を追っています。

システム

本作は3つのパートで構成されています。
事件に取り組む前に行われる『謎解き』パート、事件の情報を得る『証言』パート、事件解決を目指す『推理』パートとなっています。
それぞれのパートについては後述しますが、共通システムとしてはヒント機能があります。ヒントは各所で2つ用意されていて、無条件で見られる簡単なヒントと広告閲覧する事で見られる細かいヒントとなっています。
ただ簡単なヒントについては最終盤では封印されてしまいますが、困った時は広告閲覧すれば問題無いでしょう。

謎解きパート

主人公小次郎が事件に取り組もうとするにあたり糖分補給としてチョコレートを摂取します。チョコを食べる分には構わないのですが、食べる際になぞなぞともクイズとも付かない謎の謎解きを行います。
これが本作のネックとなっている部分で、設問数は推理パートの数倍にも関わらず、一貫して難易度低めな推理パートと比べて難易度にバラつきが大きくかつ、全体的に推理パートより難易度が高い印象の問題が多いため必然的に推理パートより時間を要する事となります。

こういったイラストや図を用いた謎解きをしていきます。

証言パート

証言パートは小次郎が事件解決のために必要な情報を集めます。事件の概略といった事前情報と目撃者などの証言が警察関係者からの裏付け情報と一緒に入ってきます。
このパートは選択肢の無いノベルゲームといった様相ですが、バックログ機能はありません。その代わり後述する推理パートで当該事件の事前情報と証言は全て確認する事が出来るようになっています。

捜査関係者から証言など情報が入ってきます。

推理パート

推理パートでは先述した事前情報と証言が提示されますので、それを元に証言の矛盾点を付きます。ストーリー上主要な事件では現場写真として画像を見ることが出来ます。
そういうと聞こえは良いですが、本作の証言者は何かしら1点失言をしていて、それは信じられないほど低レベルだったり、何故か取ってつけたような物だったりするのが残念な所です。
また本作には証拠品という概念が無いため、小次郎が指摘した矛盾点だけを元に事情聴取となるようですが、勘違いだったとか前言撤回されたらどうするんでしょうか。

推理パートは証言などを振り返りながら矛盾した証言を指摘します。

ツッコミどころばかりのストーリー展開

ふんわりした設定

本作の設定には曖昧に感じられる部分が存在しています。
まず小次郎は私立探偵ですが、警察からの要請を受けて捜査に赴いています。通常フィクションの探偵役は事件に巻き込まれ、やむなく現場で捜査する形となっているため、警察から要請を受けて臨場する小次郎は私立探偵ながら捜査権を与えられていると思われます。
ただ私立探偵にも捜査権がある世界観なのか、あるいは元警官である小次郎が別格なのかなどといった点は明言されていません。
また鑑識官として登場する春彦は小次郎より後に入社した後輩であると何度か言及されています。警察に入社とはおかしな表現なので、春彦も小次郎と同じ探偵事務所に属していて、鑑識も外部委託されている世界観なのかと思ったりしましたが、最後までプレイしてやはり春彦は警察官ではないのかと思い直しました。
しかしその一方で春彦が刑事部鑑識課に配属されている鑑識官とも明言されていないのが気になりました。
これらに限らず、作中の様々な設定が定められていないように感じられ、全体的に曖昧であるという印象を受けました。

低レベルな警察

本作で小次郎が取り組む事件は全て警察が捜査しているものとなっています。
そして作中の主要な事件以外は、警察が捜査中も未解決であるとして、心愛が個人的に持ち込んできた事件です。小次郎は安楽椅子探偵よろしく心愛からもたらされる証言を元に事件解決を目指す訳ですが、証言者の失言が小次郎に指摘されるまで気付かないのが信じられないほど低レベルな物となっています。
つまり作中世界における警察の捜査能力が危ぶまれる所ではあります。しかし単に設問のレベルが低く、なおかつ小次郎を有能に見せようとした結果、相対的に警察が下げられてしまった物と思われます。

なかなか進まない捜査

そしてメインの事件でも捜査に問題があり、最初の事件で数人の証言者による証言が提示され、それぞれ証言の矛盾を指摘していきますが、指摘した後で見落としがあった等の理由で矛盾点に問題が無かった事が明らかにされます。消去法的に他の可能性を潰していくと言えば聞こえは良いですが、最初から見落とさなければ指摘する必要も無いため、プレイヤーからすれば矛盾点とされる物を指摘したのに後付で訂正されて捜査はなかなか進まないという、達成感に欠ける展開があったりします。

赤河童の動機

終盤、小次郎は赤河童を追い詰めて行き、その過程で彼は赤河童の復讐的な動機をも暴いて、連続殺人に相応の理由があった事を示します。
しかしその一方で小次郎の婚約者衣織の殺害についてはとばっちりや八つ当たりの類では無かったかと思われる物で、小次郎こそ赤河童に復讐して良いのではと思える有様となっています。

まとめ

本作は推理 x 謎解きと銘打っていますが、推理物としては全くの肩透かしと言って言いほど足りなく、本編と無関係な謎解きを延々と解く事になるという、ある種の苦行に近いという推理ゲームの形をした別ジャンルと言える作品になっています。
唯一頑張っているのはキャラデザのみと言えそうですが、可愛らしい雰囲気のキャラデザは好印象ながらも作品の雰囲気に合っているかというと疑問ではあります。
ただ色々設定が曖昧でふんわりした面もある本作に合っていると言えなくもないかも知れません。

赤河童を捕らえた小次郎はどうなっているでしょうか。