
IQ250の少年と、警視庁一のグータラ警官が、最新科学技術を駆使する知能犯を叩く!
Amazonより抜粋
目次
DATA
- タイトル:KYŌ
- 作者:たかしげ宙/皆川亮二
- 刊行年:1996年
- 巻数:全1巻
- 出版社:小学館
- レーベル:サンデーコミックス
概要
本作は『小学五年生』1995年3月号、『小学六年生』1995年4月号〜1996年3月号と1年間連載された漫画です。
『スプリガン』の作者コンビが手掛けていて、警視庁科学捜査課に加わった天才少年が科学的トリックを用いた犯罪を解き明かす内容となっています。
小学生とグータラ刑事のコンビ
都内で謎の連続爆破事件が起きている中、警視庁科学捜査課に1人の少年が訪れます。
その少年「保科恭」は警視総監の孫で、アメリカの大学を飛び級で卒業したIQ250の天才少年なのだそうです。そして恭は科学捜査課の一員として連続爆破事件に挑む訳ですが、警視総監から科学捜査課で留守番していた「久我山鏡」とコンビを組むように指名されていたようです。
その鏡は派出所勤務だったのが突如抜擢されたものの、無気力、やる気なし、科学的知識なしとしてお荷物扱いされていた様です。
そんな2人のキョウがいくつもの科学的な難事件を解決していくのが本作です。
科学的犯罪を追う
本作で扱っている事件は爆薬を用いない爆弾、密室での沸騰死や冷凍死、ビルの崩壊といった物です。
ただ原理としては可能だとしても、実際に実行可能かという点で疑問符が付く部分もあったりします。例えばどの様にして膨大な電磁気を標的に向けさせるかとか、通常の建築物内で真空状態を作り出す事が可能かといった様な部分です。
ただ本作は掲載誌を考えると、科学について伝えるのがメインかとも思われますので、細かい点には目をつむっても良いのかも知れません。
相棒の掘り下げ
主人公である恭は読者とおおよそ同年代に設定されていて、読者が自己投影する対象の為か、警視総監の孫で天才少年といういかにもマンガ的な設定以外はさほど掘り下げられません。
しかしいくら天才とは言え、少年が犯罪捜査を行うのは危険が付き纏う訳です。強力な道具を持った体は子供、頭脳は大人な名探偵と異なり犯人グループに勘付かれて危機に陥る事もあります。
そういった時に対応するのが相棒である鏡となります。
何度となく恭の危機を救う鏡ですが、普段は暇さえあれば自席で格ゲーして遊んでいるなどやる気を感じさせません。その一方で実は格闘技の実力者では無いかと見られる描写が序盤から見受けられます。
さらに終盤には鏡と因縁ありげな「小室洋介」が登場する事で、鏡について掘り下げられて行きます。
黒幕との対決
終盤には複数の事件で、犯人にトリックを教えていた黒幕の存在が明らかになります。
アメリカでも同様の事を行い「教授(プロフェッサー)」と呼ばれているこの人物は、事件を次々と解決した恭たちに目を着けて挑戦状を叩き付けてきます。東京の都市機能を麻痺させ、右腕である小室と共に恭たちを翻弄する教授。
こうして最終盤は「恭・鏡」と「教授・小室」のコンビ対決といった構図になります。
教授たちに翻弄されていた恭ですが、鏡のアドバイスを元に捜査の方向性を定め、教授たちを追跡します。
そしてその後両コンビが直接対決することになります。
まとめ
本作は1年間という決まった連載期間でかつ小学生向けながらストーリーはしっかり作られている様に感じられました。現実的かどうかはともかく、科学的トリックは興味深いあります。
主人公が小学生という事で、刑事物としてはツッコミどころではありますが、そこも小学生向けという事で仕方ありません。
しかし相棒はキャラを徐々に掘り下げて行き、主人公も信頼した様子を見せていて、バディ物として成立しているといえます。
古めの作品なので絵柄は古臭さを感じますが、余韻を感じさせるラストなど雰囲気は悪くないと感じました。