2020年 76分

私立鵬翔高等学園の生徒たちを乗せた旅客機が原因不明の事故により墜落。生き残った織部睦美たちは、ある島へと流れつく。他の生存者とも合流して救助を待つ睦美たちだったが、その島は、様々な巨大昆虫たちに支配された恐ろしい島だった…。
公式サイトより
目次
概要
本作は秋田書店が運営している配信サイト「チャンピオンクロス」で2014年から2018年に掛けて連載されていた漫画を原作としています。
島に漂着した修学旅行生
本作冒頭、空港で主要キャラたちが顔見せ程度に登場します。
本当に顔見せ程度で説明も無く進み、気付けば島に漂着しています。
空や海の事故から島に漂着という流れはサバイバル物としては定番とも言えます。
主人公「織部睦美」は浜で気が付き、航空機の残骸や遺体の一部を目にして状況を察します。他の生存者を探しているとクラスメイトの「松岡歩美」と再会し、一緒に生存者を探し始めます。
一方その頃、睦美と歩美を除く主要キャラが一堂に会していました。
この時点に冒頭に登場した主要キャラが出揃いますが、間もなく現れた巨大なアゲハ蝶(ミヤマカラスアゲハ)により2人殺害されてしまいます。
悲鳴を聞いて駆けつけた睦美のスプレー火炎放射が本物の火炎放射器かと見紛う威力を見せてアゲハ蝶を焼き払います。
そこで睦美は親友の「成瀬千歳」と再会します。
しかし一同は自分たちが巨大化した昆虫が住まう魔境の様な島に漂着したと気付いたのだったというのが序盤も序盤の流れです。


作画など
本作のウリである昆虫はCGで描かれています。昆虫をCGで作成されても良し悪しは分かり難い気がしますが、動きはスムーズに見えますし、特に違和感はありません。
方や人間のキャラたちについてですが、本作が地上波放送のアニメなら及第点ではなかったかと思います。
しかし本作が劇場アニメである事を考えるとやや残念な作画という気がします。
CGの昆虫と比べるとやや平板にも見えるキャラの作画は、もしかすると原作のテイストを再現した結果なのかも知れません。
とは言え、原作を知らない人のためにも頑張って欲しかった所です。
ただ本作はPG12で僅かですがエログロ要素もあります。そのうちお色気シーンは作画はいくらか頑張っていた様な印象を受けました。

昆虫のツヤなどとCGは相性が良いのでしょうか。

内憂外患
主人公たちは持っていたスマホの多くが水没によって破損してしまってます。そもそも電波もGPSもロクに届かない様な孤島で、更には巨大化した昆虫の脅威に曝されながら救助が来るまでの生存を目指さねばならない状況です。
そんな中昆虫に詳しい主人公睦美はその知識を活かして同行者たちを手助けします。
ジガバチに拐われた親友を助けるために巣の方向を示したり、ジガバチの毒への対処を指示したりします。
しかしこんな状況にも関わらず、睦美を気に入らないと思っている同行者や、自分が仕切りたいと思っているお山の大将がいたりします。
そういったメンバーが序盤から微妙にギスギスさせたりしていましたが、終盤の舞台となる病院では睦美や歩美らを締め出したりと、まさに獅子身中の虫といった有様です。虫は虫同士と仲良くやっていれば良いのにとも思ってしまいます。

私たちのサバイバルはこれからだ
病院で襲来した昆虫を撃破した睦美は数人の同行者を連れて病院を離れます。
しかし昆虫がなぜ巨大化したといった謎の一端も明らかにならず、島外との連絡が取れた訳でも無く、島に漂着して一夜を明かすまでの顛末といった所です。

まさにサバイバル。
恐らく原作の序盤に当たる部分をアニメ化した物と思われますが、劇場アニメとして製作するからにはその辺りも考慮して欲しかった所です。
まとめ
以下の理由から本作は原作ファン向けに製作されたアニメと判断せざるを得ません。
- 冒頭の説明が殆どない
- 主要キャラが多い
- 原作を概ね擦っただけと思われる脚本
2番目のキャラが多いという点ですが、最初のアゲハ蝶を撃破した時点で主要キャラは8人生存していますが、尺が75分と考えると明らかに多いと言えます。最初はこの後減って行くから多めなのかと思いましたが、そういう訳でも無く、単にアニメ化に際してリストラ出来なかった物と思われます。
単純にパニックホラーとして見ると期待外れの作品と言えます。
しかしジガバチの巣でのややエグい描写や、某所で睦美が助かる見込みが薄い教師を犠牲にする場面など印象に残る部分はあったと言えます。