2022年 Realize Factory

「人は如何にして鬼となるのか」
GooglePlayより抜粋
《鬼》が潜むとされる、閉鎖された女子寮。
《鬼》の保護のためにやってきたあの世の保護局員は、寮生と思しき二人の少女と出会う。
彼女たちのどちらが《鬼》であるのか。
手がかりをもとに会話を繰り返し、答えを探る短編アドベンチャー。
これは、なれなかった”私”の物語。
概要
本作はRPGツクールMVにて製作されて2019年に公開されたPCフリーゲームのスマホアプリ版です。
クリアまでの所要時間は30分程度となっています。
この世ならざるものの主人公
本作の主人公はあの世で保護局員として務めている「一ノ瀬」です。彼は相棒の「藤」と一緒にこの世のある場所にある女子寮を訪れます。
この女子寮には『鬼』が潜んでいて、その負のエネルギー的な物によって女子寮の学生たちが精神や体調の不調を訴えたため閉鎖に追い込まれたばかりか、寮の周辺にも波及したため周辺住民も去って行った模様です。
その存在によって周辺一帯を廃墟へ変えた鬼を保護する事で、この場から立ち去って貰うというのが2人に与えられた任務の様です。
そして鬼の抵抗も覚悟して寮の一室に踏み込んだ一ノ瀬ですが、そこで見たのは2人の女子学生でした。茶髪で人当たりの良さそうな雰囲気の少女と黒髪で臆病な印象を受ける少女のどちらかが鬼であると判断せざるを得ない状況となっています。
果たして一ノ瀬はどちらが鬼か突き止める事が出来るでしょうか。

システム
本作はドット絵で構成された2D見下ろし型のADVゲームで、操作は画面下部の仮想ボタンで行います。仮想ボタンは十字キーと『OK』『BUCK』ボタンがあり、移動は十字キーで行いOKボタンは会話や扉の開閉、調べるといった各種動作を行い、BUCKボタンはキャンセルとなっています。操作に関しては縦画面ということと、素早い操作を要求される場面がありませんので、片手が行い易いと思われます。
また本作は『手がかり』というシステムがあり、手がかりとなる単語を入手して、それを相手に尋ねる事で反応を見ると言うものになっています。
その他機能的な点で言えば、本作はヒント機能などは備えていませんが、難易度としては問題無いものと思われます。

グラフィックなど
先述した様に本作はドット絵での見下ろし型のゲームとなっています。
そして元がPCフリーゲームである本作はスマホアプリ化に際してグラフィックの調整などは特に行われていない様に見えます。そのため基本的なグラフィックは全体的に細々していてスマホでは少し見難い印象を受けます。
しかしそれ以外のバストアップや終盤に登場するスチルなどは表示される範囲が異なるため、影響は少ない様に感じられます。

鬼を突き止める
2人いる少女の内一方は鬼で、少女を喰らってなりすましているのでは無いかと藤は言います。どうやら本作における鬼というのはいわゆるモンスターと言える存在で、霊的な力も持っているという事でしょうか。
しかし一ノ瀬はあらゆる可能性を考えるべきとして、少女たちから話を聞きます。
そして寮生たちが不調を訴え始める以前にトラブルが起こっていた事を突き止めます。
ただこの時点では鬼の正体やトラブルとの関係は定かではありません。
しかし一ノ瀬はそれから情報を集めて行く事で、真相へ至るのですが、その手段として残留思念を確認するというのが超常的という気がします。この辺りは一ノ瀬たちがこの世の者では無いからなのかも知れませんが。
そうして鬼の正体を知った一ノ瀬は相手を対峙し、正体を暴いて行きます。この辺りは話の流れに合わせて手がかりを選んで行き、まるで推理ゲームの解決編といった趣きもあります。
そしてそれに対する鬼の独白は本作で最も力が入っている場面と言って間違い無いでしょう。


まとめ
プレイ時間30分程度と非常に短いながら結構な満足感を得られる本作。
見下ろしの基本画面は少し見づらいですが、それを乗り越えれば些細に見えるトラブルが引き起こした結末を見ることが出来るでしょうか。
プレイ時間が非常に短いため、興味が出たならプレイしてみる事をお勧めします。
