温泉へと向かう途中、廃墟の舞蘭村に迷い込んでしまった金田一一(はじめ)、七瀬美雪、剣持警部。その村には”吸血鬼伝説”が残されているが、やがてその伝説をなぞるような殺人事件が発生する。さらに、吸血鬼の魔の手は美雪にも迫っていた。
U-NEXTより抜粋

目次
DATA
- タイトル:金田一少年の事件簿 吸血鬼伝説殺人事件
- 放送年:2007年
- 時間:50分
- 制作:東映アニメーション
- 監督:伊藤尚往
- 脚本:島田満
概要
本作は原作『金田一少年の事件簿』が2004年から第2シーズンとして不定期で連載再開された際に描かれた最初の事件をスペシャルTVアニメとして製作された物です。放映日は2007年11月19日で前週にやはりスペシャルTVアニメとして『オペラ座館・最後の殺人』が放映されています。
廃墟ペンションに集う宿泊客たち
本作は廃墟をそのまま利用したペンション『ルーウィン』にて「金田一 一」「七瀬 美雪」「剣持 勇」とシリーズ恒例のキャラクターたちが食事を堪能している場面から始まります。
どうやら剣持が温泉へ連れて行くといって一たちを連れ出すも、目的地周辺は廃村になっていて、更に降っていていた雨が豪雨になるなどといった状態で進退窮まっていた所ペンションの送迎バスに遭遇した事で命拾いした様です。この廃墟ペンションが無ければどうなっていたのでしょうか。
また他の宿泊客としては送迎バスに乗っていた常連客の女性のみでしたが、後からやって来た年配女性と若めな男性のコンビ、最後にやって来た如何にも怪しそうな風体で入ってきた予約客の男性と総勢4人となります。
もっとも登場時のみとは言え、如何にも怪しそうな様子で現れた人物が犯人とは考え難いという見方もあるかも知れません。
この宿泊客たちにペンションのオーナーと女性従業員。そして一たち3人を合わせて計9人でストーリーが進んでいくことになります。
吸血鬼伝説と事件
登場人物が揃った所で、オーナーが1名を除いた男性客一同に吸血鬼伝説について語って聴かせます。
それによるとペンションがある廃村は、かつてヴラド三世に由来すると眉唾物の言い伝えがされていて、吸血鬼伝説が信じられていたのだとか。そして現在ペンションになっている邸宅の娘が血液を失って亡くなるという事件があったと語られます。
そしてその頃美雪は犯人の計画に巻き込まれて捕らえられてしまいます。
それから悲鳴が上がり、一騒動の後に犠牲者が遺体となって発見されます。その犠牲者は如何にも早々に殺されてしまいそうという印象があったキャラクターでした。
そして吸血鬼伝説に擬えるかの様に犠牲者と美雪の首筋に付けられた、牙で噛まれたかの様な傷跡にやはり血液の多くを失っていた犠牲者。更に当然の様に外部への連絡が取れず、外は豪雨の廃村とほぼクローズドサークルの様相となってきます。
果たして一は犯人『吸血鬼』の正体を暴く事が出来るでしょうか。
計画的犯行だが
剣持と一緒にペンション内を捜査した一は、吸血鬼の正体を特定するに至ります。
そして一同の前で推理を披露します。それに辺り一はこの殺人事件は計画的犯行と言ってます。確かに犯行現場のトリックは比較的周到に準備されているものの、それ以外だとかなり雑な部分が多く、犯行が遂行出来たのは運が良かっただけというしか無い有様です。
それでも犯行が綱渡り的過ぎてギリギリのラインを押し通した結果、決定的な物的証拠を残してしまったと言えます。
そういった訳で犯行を暴かれてもなお、殺人を強行しようとする犯人により後味悪い結末になりそうですが…といった所です。
まとめ
本作は原作が読切などでは無く、新シリーズ最初の事件として連載された物です。
それを一時間枠のスペシャルアニメとして制作するにあたり、事件や登場人物の人数などは簡略化されている様です。尺の都合上薄味に感じられなくもありませんが、廃墟に吸血鬼という組み合わせが怪奇事件的なミステリーとしての雰囲気は良く出ていると感じられました。ただ推理物としては先述した、犯人の計画的犯行と思えない雑さが少し足を引張っている印象を受けました。