【漫画】百万畳ラビリンス【感想】

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DATE

  • タイトル:百万畳ラビリンス
  • 作者:たかみち
  • 刊行年:2015年
  • 巻数:全2巻
  • 出版社:少年画報社
  • レーベル:ヤングキングコミックス
7 out of 10 stars (7 / 10)

人と関わるのが苦手な礼香はゲーム会社でバグ探しのアルバイトをしていたが、ルームメイトの庸子と共に木造迷路に迷い込んでしまい! ? 脱出不能の不条理不可思議なパラレルワールドは、どこまで行っても出口はみつからず……

Amazonより抜粋

概要

本作は月刊誌『ヤングコミック』に2013年から2015年に掛けて連載された作品です。
2人の女子大生が迷宮の様な空間からの脱出を目指すファンタジー作品となっています。

謎空間に放り込まれた2人の女子大生

本作は2人の女子大生「玖波島 礼香」と「庸子」が和室の様な部屋が延々と続く空間を彷徨っている場面から始まります。
2人はゲーム会社でデバッガーのバイトをしていて、ゲーム会社の社宅で部屋を同じくするルームメイトという間柄の様です。勤務時間が限られているであろう学生バイトに社宅の部屋を貸すというのは気前がいい気もしますが、裏を返すと睡眠など最低限の時間を除いてデバッグ漬けという可能性もあるかも知れません。
勤務形態の詳細は分かりませんが、学生しながらデバッグのバイトに勤しんでいた2人は、ある日突然この様な空間に放り込まれた模様です。ひたすら続く畳敷きの和室を仕切る襖を開けていった所、眼下には樹海らしき物が広がっていたというのが冒頭になっています。
当然この場所がどこなのか知らなくてはならない為、2人は建物の探索を開始します。

女子大生の凸凹コンビ

本作の主人公である礼香は見た目は細身で黒髪ロングの美少女といった雰囲気です。しかし元々コミュニケーションが苦手だった様で、更に過去には男女問わず対人トラブルに巻き込まれた上に、実家は家庭が崩壊した上に居場所も無くなってしまっています。
そういった事もあってかゲームだけが唯一の楽しみだった様ですが、元々好奇心旺盛だった為か製作者が敷いたレールに乗らず、製作者が意図していなかった様な遊び方を見付けるのに楽しみを見出しているというプレイスタイルなのでデバッガーに向いていると言えそうです。そしてこの謎空間に於いても旺盛な好奇心は発揮され、活き活きした様子で探索を行います。
一方、礼香の相方に当たる庸子は女性としては大柄で全体的に厳つい雰囲気をしています。話しぶりも外見からかぶっきらぼうですが、比較的冷静で謎空間でも状況の把握や外部との連絡手段など状況を打開する為に考えつつ動いている様に見えます。また探索に於いては腕力が必要な場面での活躍や礼香のストッパー役といった面もあります。
その2人が建物をした所、建物自体の規模も然ることながら、ループする無限階段があったり樹海の木がコピペの如く同一の存在という常識が通用しない場所である事を把握します。
またコピペについては後に空間内の建物もコピペされたパーツで構成されている事を発見するに至ります。2人は当初、バイト先であるゲーム会社の関連施設という可能性も考えていた様ですが、あまりにも常識外の空間故にその考えは早々に放棄せざるを得なかった様です。

協力者とエネミー、空間の謎

この空間内の建物ですが、基本は和室で冷蔵庫や食料、バス・トイレなども自動生成っぽい構造ながらも点在する為、その気になれば居住する事も出来そうですが、そう都合良く行きません。
なぜならこの空間には空間や部屋を消し去るパックンモンスターあるいはルームシャークと呼ばれている存在や頭部の無い人型をした明確な敵が存在している為です。
しかし2人は同時にゲームディレクター「多神 大介」という協力者を得ます。多神はバグ塗れのゲームとして世間では酷評された『ダンジョンテール』のディレクターとして知られていて、礼香はそのバグから生まれる自由度を非常に好んでいた様子が見て取れます。
その多神の指示により、アイテム収集クエストを達成した2人はその機能により元いた世界らしき、人が暮らしている場所へ移ります。またそれと並行して2人が謎空間に移される少し前まで世間を賑わせていた大量失踪事件についても触れられます。
そして2人は大量失踪事件、ダンジョンテール、『密漁者』と呼ばれるエネミーなどが絡んだ謎空間の真相に至りますが、それは予想以上に壮大かつ悪質な物でした。
果たして礼香と庸子の運命や如何にと言った所と言えそうです。

まとめ

本作は特殊な空間を探索するというADVや脱出ゲームを思わせるシチュエーションのファンタジー作品となっています。
自由気ままに探索する礼香とそれに振り回される庸子といった様子が序盤に描かれますが、話が進むにつれ敵が現れたりする事で様相が変わってきます。
総合的にはサスペンスがあるファンタジーとなっています。