【2022年夏アニメ】リコリス・リコイル【感想】

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DATA

  • タイトル:リコリス・リコイル
  • 放送クール:2022年夏
  • 話数:13話
  • 制作:A-1 Pictures
  • 監督:足立慎吾
  • 脚本:足立慎吾、枦山大、神林裕介、鹿間貴裕

平穏な日々――その裏には秘密がある
犯罪を未然に防ぐ秘密組織――「DA(Direct Attack)」。
そのエージェントである少女たち――「リコリス」。
当たり前の日常も、彼女たちのおかげ。
歴代最強のリコリスと称されるエリート・錦木千束、
優秀だけどワケありリコリス・井ノ上たきなが働く喫茶「リコリコ」もその支部のひとつ。
ここが受けるオーダーは、コーヒーやスイーツの注文から、
こどものお世話、買い物代行、外国人向けの日本語講師etc、
「リコリス」らしからぬものばかり。
自由気ままな楽天家、
平和主義の千束とクールで効率主義のたきな、
二人の凸凹コンビのハチャメチャな毎日がはじまる!

公式サイトより抜粋
8.5 out of 10 stars (8.5 / 10)

概要

本作は現実と微妙も異なる日本を舞台にしたオリジナルアニメです。
『WORKING!!』や『ソードアート・オンライン』シリーズでキャラクターデザインを手掛けた足立慎吾氏による初監督作品となっています。

日本の治安を守る少女たち

本作は現実と微妙に異なる日本の現代か少し先の時代を描いていると思われます。
冒頭、治安は良いとしながらも犯罪やテロを目論む輩が複数人登場しますが、彼らは制服姿の少女たちによって処されてしまいます。この犯罪者を未然に処する公的機密組織『DirectAttack(DA)』の隊員である『リコリス』によって治安が維持されているという事が視聴者に示されます。
そしてこの事により、少女たちと犯罪者の戦いが描かれるであろうという事が容易に予想出来るため、その予想に対する期待が高まる冒頭と言えます。
またフィクションにおけるこういった超法規的組織にありがちですが、リコリスは元々孤児で戦闘訓練を受けて育っているため、一般常識に疎かったりする場合もあります。

ある少女たちの出会い

主人公の1人「井ノ上 たきな」はある現場で命令違反を犯した事により、DA本部から出先機関である『喫茶リコリコ』へ異動となります。
その命令違反というのは武器取引現場に踏み込んだものの、仲間の1人が敵に捕われたため救出すべく鹵獲した機関銃の掃射で敵を殲滅したという物です。本部からの待機命令や敵である武器商人の捕縛といった命令に違反した上、捕まっている仲間に当たる恐れがあったとして相棒に殴られてしまうのですが、たきな自身は射撃に絶対的な自信を持っているため、そんなヘマをするはずが無いといった様子に見えます。
こういった経緯により、たきなはリコリコに左遷されてきます。
そしてこのリコリコにはメインの主人公で歴代最強といわれるリコリス「錦木 千束」が勤めていました。異動してきたたきなに対して大歓迎といった様子で接する千束。
こうして底抜けに明るい千束とクールなたきなによるコンビが結成されたのでした。

喫茶リコリコでの業務

しかし喫茶リコリコにおける日常業務の傍らで請け負った、ある女性の護衛業務でたきなはまたもや独断専行します。千束が一旦離れている間、彼女たちを尾行する車両に気付いたたきなはあろう事か護衛対象を囮にしてしまいます。自らの実力に自信があるためか、追跡者を誘き出して殲滅しようと図った様ですが、車両をパンクさせたまでは良いものの車両内で縮こまった相手に対して正面から射撃を加えてもなかなか効果はありません。さらに捕われた護衛対象が人質にされるかといった所で合流した千束が1人で瞬く間に敵を制圧するという形でコンビで行った最初の仕事は終わります。
続く2話で行われる別の護衛業務で、千束はたきなと視聴者に圧倒的な実力を見せ付けます。自動小銃を持った敵に対して、敵の銃撃を全て回避し接近してからの射撃で非殺傷弾を撃ち込む事で敵を戦闘不能にしていきます。それだけでは無く負傷した敵に対して応急処置を施すなど、その際の言動から敵味方問わず殺さないという不殺をモットーにしている事が分かります。
そして千束たきなのコンビをリコリコの店長で元DAの戦闘教官だったという男性「ミカ」、元DA情報部の女性「中原 ミズキ」、途中から参加する年齢不明のスーパーハカー「クルミ」らが後方支援していくという体制で護衛などの業務を行って行きます。

コンビと物語の転機

たきなはリコリコでの業務を行いつつもDA本部への復帰を希望していました。その為リコリコでは接客しつつも塩対応な面があったりします。
そこで3話でたきなは、本部での定期検診と体力測定に向かう千束に同行します。
そこで本部にてリコリスを束ねている司令に復帰を志願しますが、拒否されたばかりか相棒だった「香川 フキ」に別の相棒が後釜に座っていて本部に居場所が無いことを思い知らされます。ちなみにフキは千束と旧知の間柄で喧嘩するほど仲が良い関係に見え、口は悪いながらも千束とたきなを気にかけている事が見え隠れすします。
そして絶望したたきなに対して、リコリコでの仕事を続ける様説得する千束。
その後模擬戦で千束と共にフキコンビを破ったたきなは吹っ切った様子を見せます。
それから2人は百合っぽい関係性に進んでいきますが、4話にて登場するテロリスト「真島」が2人と対決していく事になります。

作画など

本作の作画は申し分ありません。
特にガンアクションメインの戦闘シーンは力が入っている様に見え、千束が銃弾を躱した際に髪にかすめる描写などがわかり易く印象的です。本来なら動きが激しくない銃撃戦メインですが、千束は命中精度が悪い非殺傷弾を使用しているため、持ち前の回避能力で銃弾を掻い潜って近距離射撃で仕留めるという戦闘スタイルのため、必然的に見栄えの良い派手なガンアクションとなっています。
また戦闘シーン以外でも主人公2人に関しては細かい場面でもヌルヌル動く様な作画が目に付いたりします。

テロリストと黒幕

作中世界では『アラン機関』という国際的な支援組織が存在しています。才能は神からの贈物をモットーとしている様で、埋もれた才能を見出しては、その才能が世に出られる様支援を行っているため世間的には慈善団体と見られていると思われます。
ただこの才能が必ずしも世間にプラスになるものばかりとは限らない様です。
かつて千束は幼少期に当時教官だったと思われるミカの紹介で、アラン機関のエージェント「吉松 シンジ」に殺しの才能を認められます。銃弾を避けられるからといって必ずしも殺すとは限らないのではとも思いますが、彼に取っては殺しに最適な才能だったのでしょう。当時千束は心臓に爆弾を抱えている状態で、活動可能時間が極端に短かった物と思われます。
しかし様々な理由からアラン機関の支援を受けた千束は不殺を信条とします。吉松に取っては支援したのに殺さなくなってしまったという事で、様々な手段を用いて千束の不殺を破らせようというのが本作の黒幕である吉松の動機となっています。
そのためには暗殺者をぶつけたり真島を支援して千束と敵対するよう仕向けたりしますが、終盤には手段を選ばなくなり、狂気じみていく印象を受けます。
一方真島は自身の目的を達成するために吉松を利用しつつもある理由から千束との対決を選びます。
作中において千束と敵対する者は何らかの形で吉松が関与しているという点で一貫しています。
中盤から終盤に掛けてはほぼ吉松の支援を受けた真島一味との対決が描かれます。終盤、千束は真島によって不利になったり追い込まれる場面がありますがたきなの救援によって窮地を脱します。

たきなの変化

千束の相棒であるたきなは最初、クールで愛想が良くないキャラとして登場します。
しかし先述した3話以降、感情を表に出していく様になり、千束に心を開いて行きます。
その後は千束に一途といった風に描かれ、終盤には千束を助けるために自ら行動を起こすようになり、千束の危機を救う事になります。
もっとも千束に害をなそうとする相手は処する事も厭わないという姿勢を見せたりしますが。
この辺りは終始明るいながらも達観している千束と対照的にも見えます。

まとめ

少女によるバディを描いた本作。
ガンアクションと百合に近い少女のコンビというのが制作陣が描きたかった物では無いかと思うほど突出して描かれている様に感じられます。
ただやたら能力不足なDA本部だったり、世界観やアラン機関について説明不足と感じたりしますが、そういった点はこまけぇことはいいんだよとばかりに勢いで進めていくのが良くも悪くも印象的でした。