【PS1】ミザーナフォールズ【感想】

総評:5 out of 10 stars (5 / 10)
1998年 HUMAN

今回はゲームソフトPSのミザーナフォールズです。
PSのソフトとしては箱庭に一つの町を構築しようと試み、現在で言うオープンワールドゲームに近い雰囲気を持っていて個人的には惜しいソフトであると考えています。
そういうわけで今回は色々な方面から見てみましょう。

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ストーリー、世界観

この二つはADVにおいては要ともいえるものですが、本作はかなり優れているといえます。アメリカはコロラド州にある小さな町『ミザーナフォールズ』ここが本作の舞台です。

冒頭で二人の少女が熊に襲われ、一人は重体で病院に運ばれますが、養父である牧師に面会した途端死亡します。そしてもう一人の少女は行方が分かりません。
主人公は行方不明になった少女の友人で、少女の行方を捜すことから始まって、この町に住む人々の様々な意思に翻弄されます。
そのためストーリーの構造は複雑で難易度は非常に高いです。手がかりが少ないことも影響しているでしょうが・・・

プレイヤーはフルポリゴンで作られた町を駆けずり回ります。時間はリアルタイムで進行し、のんびりとはしていられません。
本作には時間制限が設けられていて12月25日から始まる物語は、12月31日が終わるまで未解決だと、行方不明だった少女が遺体で発見されるという形で終わってしまいます。
この事は取説にも記載されていますが、それによって難易度が上がっている事は言うまでもありません。どうやら本作は複数回プレイを前提に作られているようです。

先ほど述べましたが、主人公は町を駆け回ります。さらに時間制限があるとなれば、プレイヤーは効率よく進むために町の建物などを大雑把にでも覚えていきます。主人公が住んでいる雑貨店の離れ、情報が聞けることがある喫茶店やバーなど。
ちなみに主人公は高校生です。そういえば学校に行く必要もありますし、保安官事務所やガソリンスタンド、教会におまけに病院も必須です。そういったことを覚え、町の住人たちと触れ合うことによりこの町に親しみを覚えることもある可能性もありますが、グラフィックがそれを妨げます。

グラフィック

本作の致命的な弱点です。本作は98年の発売ですが、その割にはグラフィックがひどすぎます。建造物はまだマシですが(たまに建物の中の人物が透けて見えます)人物のほうは救い難いものがあります。メッセージとともに現れる顔グラフィックが無ければイメージする事も困難です。この面においてもう少しまともであれば、そう思うと残念でなりません。

システム、操作性

この辺りに関して言えば可もなく不可もなく、といったところでしょうか。それでもいくつか言いたいことはあります。

本作の舞台となる町は広いです。
自分の足ではいつまで経っても目的地に着きません。
そういうわけで車がありますが、これまた遅いです。当然自分の足よりははるかにマシですが、グラフィックの所為かスピード感が感じられないのと、なぜかスピードが82キロぐらいまでしか出ないという事が原因と思われます。
またこの車が、山中の岩肌などにぶつかったりすると、はまって脱出できなくなることがあります。
そういう場合もちゃんとゲーム内で電話をすれば元の場所に戻してくれるという、親切なのかよく分からない仕様ですが、現在もハマった場所から脱出する機能を搭載ゲームはありますので、先進的だったのかも知れません。

それなら操作性も悪いのか、といえばそうとばかりもいえません。
コマンドなどはその場に応じて○ボタンか□ボタンを押すだけですので快適です。

ゲームシステムのほうも色々あります。
意識して色々詰め込んだわけではないでしょうが、もしそうだとすればそんな事よりもグラフィックの強化に励んで欲しかった所です。

ミニゲーム

ゲームは通常の移動、探索の他に、格闘、ガンシューティングなどが主で、イベントでカーチェイスやボート漕ぎなどがあります。ここでは格闘とガンシューに触れておきます。

本作の格闘モードは当時を鑑みると、明らかに『バーチャファイター』辺りを意識したつくりです。
もっともグラフィックからして雲泥の差ではありますが、格闘ゲームとしての完成度も残念ながらそれ相応と言えます。
それは技数がほとんどないのと、コンビネーションで出せるフックの威力がやたら強くバランスが壊れ気味な為です。
しかしフックのお陰でストーリーを進める分には難易度が抑えられて助かっている面もあります。

ガンシューの方はと言うと、的に○、×、などのマークが出ますので、それに応じたボタンをすばやく押せばOKですが・・・これをガンシューといえるのか、という突込みが出そうではあります。
しかし、これをガンシューだと思えればガンシューだと言えるのかも知れません。
ただ残念ながら個人的にはガンシューと余り思えませんでした。

その他

本作にボイスは入ってはいませんが、途中で挿入歌があります、個人的には結構良いのではないかと思います。

まとめ

本作が推理ADVとして成り立っているか、という話ですが、ストーリーは結構面白いと思います。
しかし推理物として良いのかは別問題です。同メーカーから同時期に、推理ADVの名作『御神楽少女探偵団』が発売されていますが、同作と比べると本作はプレイヤーの考える余地が非常に少ないものとなっている印象を受けます。
それは本作には情報収集に際して、相手の証言などを深掘りするような機能や選択肢すら無い事が原因と思われます。
しかし箱庭的に作られた町を実際に移動して聞き込みや調査を行い、それらを元に町の人間模様や平和に見える町の裏面を暴いていくというのは、当時の推理ADVとしては画期的であったと思います。
ただ主にグラフィック面の技術が追いつかず、町の移動や聞き込みが辛い事になってしまった事は非常に残念です。