2005年 25分

昭和百年(西暦2025年)、火星から帰還してきた宇宙貨物船が日本に墜落、積載されていた怪獣ネガドンが目を覚ましてしまう。人類の危機を前に、ロボット工学の権威・楢崎龍一が、亡き娘との約束を果たすため立ち上がる。
Yahoo!映画より抜粋
目次
概要
本作は2005年に劇場公開し、同年にコミックス・ウェーブからOVAとして販売された作品です。
フル3DCGによる特撮作品として製作されていて、監督の粟津氏が2年掛けて全ての映像制作を手掛けたのだそうです。
また第20回デジタルコンテンツグランプリ・デジタルコンテンツ部門優秀賞受賞作品でもあります。
昭和百年という近未来
本作は昭和百年という架空の近未来を舞台にしています。
昭和という時代が100年まで続いていれば2025年という事になり現在から見ても4年先であり、本作が公開された2005年時点では20年先という事になりますので近未来と言っても差し支えないでしょう。
もっとも架空の近未来なので制作された時代をベースにする必要は無く、本作の世界では人口増加に対応する為、人類は太陽系に進出して火星のテラフォーミングを行っています。
宇宙空間に進出していても、地球に統一政府が打ち立てられているという様子も無く、開発事業は国家毎に行っている様です。将来移民先惑星の領土を巡って争いが起こらなければ良いですが。
そういった風に技術は発達しているはずですが、主人公宅の家財道具はいわゆる昭和レトロそのままといった様相です。もちろん内部的には高度な物になっているという事も考えられますが。
いずれにせよ昭和レトロな雰囲気を持ったまま発展した近未来が本作の舞台となる昭和百年という年代になります。
惑星大怪獣ネガドン出現
火星で発見した巨大な繭を載せた日本の輸送船が列島上空の軌道上で爆発し、残骸が地上に落下しますが、同時に繭から孵った怪獣も地上の東京郊外に降り立っていました。
その怪獣ネガドンは傘状の姿をしていて三本ついた腕状の触手らしき物から怪光線を発射して攻撃してきます。形状としてはいかにも怪獣という雰囲気ではありませんが、やや不気味さを感じられます。
そんな怪獣ネガドンに対して防衛軍が迎え撃とうとするものの、敢え無く返り討ちに遭ってしまいます。
やはりと言いますか、この手の作品において通常兵器はやられ役でしかありません。そうでもしないと敵の強大さが伝わり難いと思われますので仕方ありませんが。
そして防衛軍の戦車隊を爆砕した怪獣ネガドンは東、都心方面へ移動開始します。ニュースの移動予測が台風の予報円風になっているのは芸が細かいというか妙なリアリティを感じます。
主人公ロボによる迎撃と死闘
そんな状況をTVで見ていた、主人公である「楢崎 龍一」が巨大ロボMI-6(ミロク)試作2号機で迎撃すべく動きます。
初老辺りの年齢と思われる楢崎は、ロボット工学の権威者でしたが、10年前に開発中だった試作1号機の事故により娘を失って以来世捨て人の様な生活を送っていた様です。
無骨なデザインといった印象のMI-6ですが、武装らしい武装といえるのは何とドリルのみ、ドリルは男のロマンという言葉を体現したかの様な潔い武装となっています。しかしこのドリルはタイミングが合えば光線を跳ね返せますし、機体が意外と俊敏で機動力もあり、距離を詰めて接近戦に持ち込めます。
そんな怪獣ネガドンとMI-6の戦いは短いながらも正に死闘といった結末を迎えます。
まとめ
本作はフルCGで製作されています。
怪獣やロボットのみならず、人物もフルCGです。楢崎の顔や表情などは目を瞠る物があり、レトロな雰囲気も良く表現されていると感じられました。
短いながらもフルCGの特撮としては秀逸であると言えますが、映像面では監督の粟津氏がほぼ1人で製作したというのですから驚異的です。