【DC】Never7 -the end of infinity-【感想】

2000年 KID
7 out of 10 stars (7 / 10)

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公式紹介文

■醒めない夢■
 4月1日の朝、主人公「石原 誠」は最悪の目覚めを迎えた。誠が見た夢、それは…目の前で女の子が非業の死を遂げる夢』。
 それが誰だったのか、その場所はどこだったのか、詳しいことは覚えていない。
 ただひとつ、その日が6日後の4月6日だったということを除いて......。
■平凡という名の幸福の中で■
 誠はゼミ合宿のために、とある南海の孤島に来ていた。やがて誠は、そこで知り合ったゼミの班員や島で出会った女性たちとの
 交流を交わすうちに、 その中の一人の女性と惹かれ合っていく。
 もはやこの合宿は、誠の人生の中で重要な意味を持つものとなっていった。 このままつつがなく時は流れ、
 4月7日の到来とともに合宿は無事終了する......はずだった。
■不安の匂い■
 誠は一つ、大きな不安を抱えていた。それは、時折起こる予知のような現象。 次第に症状は多発するようになり、
 ただの錯覚ではすまされない状態にまで到達する。
 脳裏をよぎる、合宿初日の夢.........どうすることもできないまま、時間だけが刻々と過ぎていく。
■悪夢■
 運命の日......4月6日。 その日「不安」は「絶望」へと、「予感」は「惨劇」へと姿を変えた。 誠には守れなかった。『彼女』自身を。
 そして、『彼女』に誓ったはずの想いを。 引き裂かれんばかりの心の痛みとともに、誠は意識を失った......
■悪夢の再来■
 朝、目覚めた誠は自分の目を疑った。そこは、ロッジの自室。そして、腕時計の日付は......4月1日!?
 誠の脳裏には......あの6日間の記憶が、鮮明に残されていた......
 プレイヤーに課せられた使命は、残された記憶を頼りに、6日の悲劇を回避すること。
 この無限ループを終わらせ、『彼女』とともに4月7日の朝を迎えるために。
 そして・・・・・・いよいよ、残されていた『全ての謎』が明らかにされる!

概要と粗筋

本作はKIDから発売された所謂『infinity』シリーズの1作目に当たります。
当初はPSでその名も『infinity』としてリリースされたそうですが、最終シナリオに入れないというバグなどもありリメイクされたのが本作『Never7』となります。
大学のゼミ合宿である離島に(七日間の日程)やってきた四人のメンバー、そのメンバーの一人で主人公の「石原 誠」はその初日に悪夢を見て目を覚まします。その内容は「大切な人が死んでしまう」夢ですが、それが誰なのか覚えていません。ただ覚えているのは、圧倒的な絶望感と四月七日という日付、手から零れ落ちた鈴のみ。
夢と気づいて、ほっとしたのもつかの間、誠の部屋に急いで入ってきた人物がいました。メインヒロイン格で、合宿メンバーのリーダーである「川島 優夏」です。彼女は唖然としている誠を尻目に「何だ、夢だったの」などと呟いています。
まもなく他のメンバーの「樋口 遥」と国家級の御曹司でボンボン、自称オックマン、「飯田 億彦」と顔を合わせますが、その直後から、妙な違和感が付きまといます。
それは既視感のような感覚が現実になる、というようなものですが・・・
粗筋としてはこんな感じでしょうか。他のヒロインキャラとしては、優夏の中学時代の同級生で、島の別荘に止まっている「朝倉 沙紀」と、島にある喫茶店「ルナビーチ」で働いている「守野 いづみ」とその妹の「守野 くるみ」、総勢七名、(主人公、ヒロイン五名、其の他男一名)という風になっています。
本作はシステム的にはノベルタイプのギャルゲーです。
序盤で選ばれた選択肢によって特定のヒロインのルートへ入っていくというオーソドックスなタイプですが、シナリオ的には割と波乱万丈です。
まるで予言のような違和感に戸惑いつつも、それぞれ悩みなどを持ったりしたヒロインと親しくなったりしますが、やがて急速に波乱が起き、破局に至ります。そして、誠は四月一日へ・・・それが最初の夢につながっているわけですという所謂ループものの様相を呈しています。
 

シナリオ別感想とメモ

攻略難易度は、個人的感覚としては最終シナリオ以外はそれほど難しいとは思いませんでした。

優夏

いかにもメインヒロインといった印象で、基本的には一番簡単と思われます。
その為最初に彼女を攻略することになるでしょう。またストーリー的にもそのほうが入りやすいです。とりあえず一日目はテニスです。そうすればすんなり進むと思います。四日目に一緒に花見に行けば跡は彼女のルートへ入ります。二周目は彼女の協力が得られますので、それほど困らないとは思いますが、最終局面で迷わないことが大事です。

いわゆる無機質系の彼女ですがとりあえず釣りに付き合うことが大事です。あと、選択肢一回ごとの好感度アップの度合いが低めですので、比較的難易度は高目かと思われました。あとこのルートではオックマンこと億彦が立ちはだかりますが、蹴散らしてしまいましょう。ちなみに、二周目では誠はひたすら空回りしている印象を受けます。

沙紀

お嬢様の彼女ですが、このルートでは遥と億彦がやけに突っかかってきます。ある事で沙紀と遥が対立する事になりますが、そこで億彦が遥に肩入れしてくるわけです。グループ内で孤立するぐらいの覚悟がいる、というわけです。さて分岐点となるのが三日目で、肝試しに行く辺りで彼女の別荘へいければ良いでしょう。次はその翌日に修理したバスケットをきちんと手渡しましょう。二周目に関してはとにかく彼女を信用することにつきます。

くるみ

いわゆる妹系のキャラで、ストーリー的には印象深いと感じています。まずはプールに行かない彼女を追ってみましょう。翌日の温泉のときも同様です。四日目が問題ですが、朝の彼女の誘いを断って、いづみの手伝いをすると大事な話も聞けます。それにしてもこのルートの一周目のラストはなかなか壮絶という印象で、他のルートにはないある意味圧倒的なものがあります。二周目もラストの紙飛行機の辺りとそういった雰囲気があります。このルートのシナリオはこんなに大分力が入っていると思いました。

いづみ

彼女の攻略は他のキャラを攻略すれば、彼女のルートに入れます。要は最終シナリオですね。『キュレイ』シナリオと呼ばれていますが、最初にでたPS版ではこのルートは不完全だったで謎は解明されなかった模様です。しかし本作では謎は明らかにされます。とりあえず、たまねぎとか億彦が勉強しているところに注目しておけば問題はないかと思います。二周目は当時、死にまくっていたらクリアしていたとしか認識していないという残念な状況でした。

ここまで読めば分かるでしょうが、本作は全キャラを攻略して、初めてクリアしたと言える内容になっています。それほど時間がかかるものではないかと思いますので、グランドフィナーレ目指してがんばってはいかがでしょうか。

一見すればただの恋愛ものですが、いくつか仕掛けが仕込まれています。そういった点を含めるとかなり楽しめる内容といえるでしょう。

ネタバレあり感想

とりあえずここまでは当たり障りなく書いておきました。ここから先はネタバレを含む感想です。

やはりまずは謎の解明に目が行くと思いますが、その前にいづみたち姉妹についてです。姉のいづみと、その妹のくるみ、そしてくるみのクローンである遥ですね。これは遥シナリオとくるみシナリオでネタを小出ししていますが、かつて遥につらく当たったいづみ、そして所詮誰かの代わりでしかなかったという遥、自分のクローンの存在を知らなかったくるみが、再会して和解すると言うのは陳腐ではありますが、方向性として意外だったこともあり、割と良かったと思ったものです。
そもそも元はいづみが誠を被検体としてキュレイシンドロームの反証実験を行おうとしたわけですが、この展開は本人にも予想できなかったわけです。
さて、次は謎解き部分について・・・
まず優夏シナリオにおいて、彼女は司鬼杜神社がタイムマシン的なものであったと推理しています、一方ではいづみは妄想説を出しているのですが・・・やはり、タイムマシン説では優夏とくるみ以外のシナリオでは適用されませんので妄想説が有力といえるでしょう。
いづみCUREシナリオの終盤はまさに叙述トリックといっても良いような部分もあり、最後に感心したのを覚えています。
最初に鈴が消え、次にくるみの傷跡が消える、さらには神社まで消えたと、恐怖する誠ですが、鈴はつぶれてはじけとんだものであり、傷跡と神社は結構インパクトがありますが、解明後はまさにいい意味で騙されたと思ったものです。まさかこのようなゲームでこんなトリックとであうとは思いませんでした。
実際にはキュレイシンドロームは発現していなかったわけですが、発現した場合のエンディングもある意味貴重といえます。
それにしてもすべての元凶はいづみというよりも茂蔵博士ではないかと個人的には思ってしまいます。