【webアニメ】オシリスの天秤【感想】

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DATA

  • タイトル:オシリスの天秤
  • 放送クール:2015年夏
  • 話数:10話
  • 制作:フジテレビ
  • 監督:冨士川祐輔
  • 脚本:笠井健夫
6 out of 10 stars (6 / 10)

舞台は現代。主人公は謎に包まれた暗殺者。
彼はある事情から体の左側の臓器がほとんどない。
そのため体が弱く、体術はもちろん銃の扱いも不得手である。
およそ暗殺者としての資質からほど遠い主人公・・・しかしある特殊能力が彼を特別な暗殺者たらしめている。
それはごくわずかなサイコキネシス。コップの中の水に少し波紋を起せる程度の微細な超能力。
しかしこの力により彼はターゲットの脳を破壊し相手を脳死に至らしめターゲットの臓器を移植用に提供する。彼は暗殺の依頼を受けると必ずターゲットに直接会い本人と会話する。ターゲットが本当に殺されるべき人間かどうか確認するために。彼は何者か、彼はなぜ暗殺者になったのか、
なぜターゲットの臓器を移植用に使おうとするのか・・・ストーリーが進むとともに少しずつその秘密が明かされていく・・・

フジテレビオンデマンドより抜粋

概要

本作は2015年の8月から9月に掛けてフジテレビオンデマンドにて同サービス初のオリジナルタイトルとして配信されたwebショートアニメです。
最終回配信日である2015年9月23日の未明にはフジテレビにてテレビ放送も行われました。

微細な念動力を操る主人公

本作は主人公の青年が殺し屋と名乗る男性と場面から始まります。
どうやら主人公は自ら男性に接近してきた様で、男性は主人公にその意図を問い詰めます。主人公がそれに答えた所によれば、主人公も男性と同業者であり殺し屋で、しかも超能力を用いると言うのです。
しかしその能力は非常に弱く、コップの水を波立たせる程度です。一見役に立たなそうな能力ですが、物理的障壁を無視出来るという特性から人間の脳に直接衝撃を与えて脳死させるという方法で対象を葬り去るのだそうです。ただ射程距離は短いと思われ、対象に接近して対話する事で依頼の遂行をするか否か見極めるとの事です。
その後主人公を殺そうとした殺し屋ですが、直前で主人公の能力により倒れてしまいます。そして遺体は回収され、闇ルートから移植用臓器に回される模様です。そうすると主人公の後ろには何らかの組織があるという事が推測出来ます。

殺害依頼対象との対話

そんな本作は基本的に主人公と殺害依頼対象の対話で成り立っています。
そして序盤は薬物中毒者や何らかのウイルスに感染したらしい研究員が登場します。前者は基本的に会話が成立し難い相手ですが、薬物で狂乱状態になったのか家族を殺めたらしい描写がなされています。後者に関しては自らが感染したらしい事をするととにかく道連れが欲しいといった行動に出たりと危険人物となります。主人公に依頼が入るのも仕方ないと言えます。ただこの2人に関しては臓器の再利用が可能かどうかという点も気になります。もっとも薬物中毒者は全身ボロボロだったのか不良品呼ばわりされていましたが。
それらに次ぐ話は警察署の取り調べ室が舞台で、話に意外性を持たせています。
そして5話で主人公は難病で助かる見込みの無いという男性と対話します。何故そのままでも長く無い男性に殺害依頼があったのか。安楽死的な側面もあるのかも知れませんが、切実な事情がありました。
その話はそれまでの物と比べて重く感じられ、結末も明かされません。

様々なターゲット

後半になると序盤と比べて赴きが異なる話も多く、6話では主人公により闇ルートで流された臓器がどういった人物に使用されているかの一端が明かされます。闇ルートで流された臓器なのだから、利用するのも闇側の人間が多くなるというのもある意味当然と言えるのかも知れません。
そして7話では殺害依頼対象である政治家を前にして躊躇する主人公を見ることが出来、8話では主人公に差し向けられた暗殺者との対話を通して、その過去の一端を垣間見る事が出来ます。彼が臓器にこだわるのもある意味当然と言えます。
それから航空機内で展開される9話において、主人公は対象に対して取引を持ちかけます。それは対象が文字通り手にしている毒物を渡せば命は取らないという物です。
それに対し対象が最終的にどう応じたのかというのは気になる点と言えます。
そして最終回にあたる10話はラストのインパクトに持っていかれている印象があります。これは2期が放映されているため、それに繋げるための物と思われます。

作画、雰囲気

本作は会話劇といった印象の作風ゆえか動きが少なく感じられます。各話は基本的に一つの場所で完結するという事やショートアニメという事もあってあまり予算はかかって様に感じられました。
しかし会話劇ゆえか声優はしっかりしていて、緊張感ある雰囲気を楽しむ事が出来ます。

まとめ

本作は殺し屋である主人公とターゲットの対話が中心となっていて、そういった場面から生まれる緊張感が本作の肝と言えます。
基本的には対話が中心ながらも各話毎に工夫がなされている印象を受けました。