【Android】プレイする怖い話2 マルチエンド型ホラーノベルゲーム【感想】

2014年 Unframe, Inc.

6 out of 10 stars (6 / 10)

かつて刑事課に勤めていた岡部直也は、今宵も行きつけのバーで孤独を癒す。
デスクワークに引っ込んだ今、彼の毎日は退屈だった。
バーのマスターが話す不可思議なストーリーを聞いている時間だけが、彼にとっての冒険になっていた。

GooglePlayより抜粋
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概要

本作は『ホラーノベル プレイする怖い話』の続編で、全8話のシナリオで構成されています。
所要時間は前作と同程度の2~3時間程度と思われます。

バーでの怪談再び

本作は前作に引き続き、BARで怪談が語られるというシチュエーションとなっています。
ただ違う点として、前作はBARのマスターが話し役でしたが、本作では客である元刑事「岡部 直也」も怪談をする形になっています。しかも岡部の怪談は職業上の経験談となっている為、マスターの怪談と差別化がなされている様に感じられました。
ただ話者の配分としては、マスター2話、岡部4話、その他2話となっていて、岡部の方が話しすぎなのではと思わなくもありません。
また前作同様、好きな話を好きな様にプレイしてエンディングも好きなタイミングで流せる造りとなっているのが相変わらずの特徴と言えます。

新たなシナリオの怪談が語られます。

システム

前作同様ノベルゲームとしての機能は揃っています。短い話を何度もプレイする事が多いというシリーズの性質上、Skip機能は特に重宝します。
本作も引き続きタイトル画面では『はじめから』しか存在しません。前作ではアプリを終了して『はじめから』で再開すると既読箇所が保存されない状態だった為、Skip機能が使いづらかったのですが、この点が改善されて本作ではSkip機能を駆使してエンディング回収していく事が出来る様になっています。

前作に続きシナリオプレイ画面は堅実な造りと言えます。

チャート

広告視聴でストーリー毎のチャートが開放されるシステムも引き続き健在です。到達したエンディングはエンディング名が表示され、どの分岐でどれを選択すれば未到達のエンディングに到達出来るか分かるようになる訳です。
しかし本作はシナリオ進行中にチャートを開くと前作のチャートが表示されるという不具合により、当てになるのはシナリオ開始前のチャートのみとなっています。シナリオのエンディング回収する為にはシナリオ開始前に選択肢を覚える形となりますが、1話は短い本作では影響は少ないと言えるでしょう。

チャート開放は引き続き健在ですが・・・

各話感想

各話の簡単な感想です。語り手は最初の2話がマスター、途中の4話は岡部、最後の2話が不明となっています。

深い森

心霊スポットとされるある森で写真を撮ろうとしたアマチュア写真家の主人公。
彼が旅館に泊まる場面から物語は始まります。ルートによって森か旅館で怪異に遭遇する事になります。旅館での怪異は不気味に感じられるますが、森の怪異は命に関わりそうな雰囲気すらあります。

眠りの中で

自らが殺害される悪夢に苛まれ生命力を失いつつある男性が主人公です。彼は友人の紹介で霊能力者であるという女性に会って助言を貰ったりします。
そしてその晩に見る悪夢を中心に話が進行します。悪夢という事で不気味かつ混沌とした展開という印象です。しかしその中でも夢である事を活かしたそれまでの雰囲気をブチ壊す様なエンディングがあったりするのも特徴的です。

ギグ

岡部は相棒で新人刑事「新垣」と一緒にあるライブハウスに向かい、そこで謎の女性らしき人影を見かけますが・・・といった展開となっています。
エンディングによってはこの怪異の目的らしき物は推測されるものの、全体的には不可解な印象を受けます。

暗い館のその奥で

新垣と一緒に署の倉庫整理をした岡部は一冊の手帳を見つけます。それはある一家心中事件の捜査に携わった刑事の物の様でした。
扱っている事件が事件だけにやや陰鬱さを感じます。そして無念の死を遂げた魂による道連れの連鎖とでも言うのでしょうか、とでも言いたくなる様な展開となっています。

アジサイの咲く街

岡部が少年だった頃の話で、1人の警官との出会いを通して警察官を志したきっかけとしています。
しかしそれと同時に人間離れした様な怪人も現れ、岡部のトラウマになっている様な描写も見受けられます。
そういった意味では本作に於いて重要なシナリオなのかも知れません。

孤独の檻

岡部と新垣がある老婆の死亡現場に臨場した時の話です。その現場は奇妙な物で、黒いカビに覆われた仏間の傍で衰弱死していると言うものでした。
死因からか事件性は無いと判断されるも老婆についての聞き込みをした岡部たちは奇妙ないくつもの奇妙な証言を聞いていくことになります。果たして老婆は何を見ていたのか、そしてそれに対して岡部はどう判断するのかといった所が見どころと言えます。

臥薪嘗胆

このシナリオはシリーズで選択肢でポイントが増減し最終値でエンディングが決まるという、シリーズで初めてとなるタイプのシナリオになっています。
シナリオも1人の少年の語りのみで構成され、その境遇や復讐手段から全体的に暗い印象を受けます。
また一体どういったシチュエーションでどういったインタビューなのかという点も謎と言えそうです。

小春日和

実に12というヤケクソ気味な数のエンディングがある本シナリオ。
ただ最初の選択肢によって場所が変わるだけで、その後は「小春」に対しどう対応するかと言う点で似たような展開となっている様に感じられました。
またルートによっては別シナリオの人物が再登場するなどといっいった点は見どころと言えそうです。

まとめ

前作でシステム的には完成されている感があるためか、本作は新しいシナリオに変わった程度という印象も受けます。
しかしSkip機能が使いやすくなっていたり、各シナリオのエンディングでマスターと岡部の会話が変わったりと細かい点がバージョンアップされている印象を受けます。
また選択肢による分岐では無くポイントによる分岐など前作に無かった要素を取り入れている点も今後に期待したい所ですが、このシリーズの新作は7年経ってもリリースされていないのが気がかりと言えます。

エンディングをいつでも見ることが出来るという自由さが本シリーズの特徴でしょう。