2017年 SEEC

怪物の巣と噂される古城へ奉公に出された少女・ロビン。
GooglePlayより
彼女はそこで徘徊する“異形の何か”を目撃してしまう。
城の人々はそれを“こまどり”と呼んでいるが、誰も詳細を語ろうとはしない。
ロビンは一人、隠された真実を調べ始めるが……。
「正しくてもいい。間違っていてもいい」
「ただ一つ後悔しない道を選べたなら、それが“私”にとっての―――」
概要
本作はゴシックホラー×選択型ノベルと銘打ったノベルゲームです。
古城に奉公に出された少女が、城に現れる異形な存在を調べる内容となっています。
Nintendo Switchでもリリースされています。

城で働くメイドが見たものとは
本作の主人公はヴァルトシュタイン伯爵の居城であるヴァルトシュタイン城にて働く、孤児院育ちの少女「ロビン」です。
この主人公の名前は女性として如何なものかと感じた為調べた所、人名としてのロビン(Robin)はロバート(Robert)の愛称な為、女性には付けられなさそうな名前と言えます。
ただ本作は有名なマザーグースである『誰が殺したクックロビン』をモチーフにしている為、この名前になった物と思われます。
顔を包帯で覆っている主人の「ヴァルトシュタイン卿」をはじめとして、他の住人である使用人たちも非常に癖の強いキャラクター達となっています。
そんな中で働いていたある日の晩、ロビンは城内の廊下で「こまどり」と呼ばれる異形な存在と遭遇します。
元々巷では異形たちが住まう魔術師の城などと噂されていたヴァルトシュタイン城。その噂はあながち的外れでも無かったのではとロビンは怯えだします。
そんなある晩、ロビンはある部屋の前で「ドロッセル」と名乗る少女の声を聞きます。訳あって閉じ込められているという彼女は、城の内情に詳しいらしく、終盤に差し掛かる辺りまでロビンにアドバイスをしていきます。そんな彼女はロビンからこまどりについて尋ねられた時こまどりは殺されたのだと答えます。
ロビンは真相を探るか、見て見ぬ振りをするかの選択を迫られて行きます。



システム
本作は基本的に一本道のノベルゲームとなっています。時々選択肢がありますが、ストーリーが大きく変わる事はありません。
しかし特有のシステムが存在しています。

スタミナ制
本作はノベルゲームでありながら、体力を消費して進めるスタミナ制となっています。
体力は最大100で、当然レベルの概念が無い本作で上限が増える事はありません。
プロローグ+全13エピソードが39ほどに分割されていて、それを体力消費して読み進めていくわけですが、消費体力は序盤こそ20程度ですが、ラスト付近には50と実に歳体力の半分も持って行かれます。
そして体力は5分で1回復で、0から全快まで8時間強かかるという事もあり、ゲームのボリュームに比べるとクリアまでに時間が掛かる印象を受けます。それは単に少しずつしか読み進められないという事ですが、時間が空いた時にでも一気に読み進めるというのが無課金では難しくなっています。課金アイテムで体力を無制限に出来ますので、話が気になって来たら検討する価値はあると言えるでしょう。
真狂ゲージ
ゲームプレイ中、画面上部に現れるゲージです。左側に真、右側に狂と記載されていて選択肢で増減する事があります。これはそれぞれ真実と狂気を表しているようです。選択肢を選んで+と表示されると狂気寄りになって行きますが最大の100になったらゲームオーバーという訳では無く、このゲージは最後のEpisode13-2でエンディングを判定する為に用いられます。8つあるエンディングの内、END6-END8の判定で用いられ、何らかのエンディングを迎えた後は初期数値である50にリセットされます。
しかし途中の選択肢によるエンディングであるEND1-END5を迎えても数値がリセットされてしまいます。
条件が85以上のEND6か15以下のEND8を目指す場合はこの仕様が足を引っ張る事になります。個人的にも初プレイ時、ゲージは低い数値で推移していましたが、攻略情報などを見ていなかった為に、途中でエンディングへの分岐を踏んでしまい再開したらリセットされていました。その為、選択肢での分岐によるエンディングではリセットしない方が良いのではと感じています。

周回か数値調整か
本作は全8エンディングを回収する事で、エピローグが開放されます。それぞれの条件は攻略情報を参照しても良いですし、ストーリー選択画面でヒントをみる事も出来ます。
ただ途中の選択肢で分岐するエンディングはともかく、最後に真狂ゲージで判定されるエンディングは複数回条件満たすのは中々の手間に感じられます。
まずは最初から再読しつつ途中の選択肢はゲージが偏るように進めるというやり方があります。一度クリアするとキャラクターへの印象も変わっていますので新たな発見があるかも知れません。
ただ2周はともかく3週は手間という場合などは消費体力が少なくゲージ変動があるプロローグやEpisode3を何度も繰り返す事でゲージの数値を調整してからEpisode13-2を再開する事でEND6やEND8も比較的容易に見ることも出来ますので、3周するのは大変という場合でもエピローグを見ることが可能です。

誰がこまどりを殺したのか
城内に現れるこまどりと呼ばれる異形。こまどり、特にヨーロッパコマドリと呼ばれる種は単にRobinと呼ばれる事から、こまどりとロビンは同一の存在と言えるわけですが、これが何を意味するのでしょうか。
更にロビンがこまどりについて他の使用人にそれとなく聞いてみた所、ロビンしか見たものはいないものの、他の使用人はこまどりを見たい、あるいは会いたいと言ってきます。
また主人であるヴァルトシュタイン卿はこまどりについて教えないが、調査を黙認するという傍観の姿勢を取っているのもある意味不気味な印象を受けます。
勘違いなどから妨害してくる使用人もいたりしますが、BADENDを避けたりしつつ辿り着いたEpisode12-Episode13に掛けて作中の様々な謎が解けていきます。
例えば
- ヴァルトシュタイン卿について
- こまどりの正体
- ドロッセルの正体
- ドールの服について
上記を含めた大小様々な謎が解けていきます。
そしてこまどりに関しては城内で最近起こったある悲劇が原因であることも分かります。
それを知ったロビンの対応はゲージの状態で変わってきます。
まとめ
本作はゴシックホラーと銘打っていますが、あまりホラーという印象は受けませんでした。
読み進める事で様々な謎が解けていくサスペンスといった所でしょうか。
また最後に開放されるエピローグは、作中ストーリーとの関係は明言されませんが、こういう世界もあり得たという話なのかという印象でした。
ただスタミナ制のためストーリー後半になるとなかなか進まなかったり、エンディング条件のために真狂ゲージを調整するのに手間が掛かるという難点があります。この辺りは体力無制限の課金アイテムをアピールしても良かったのでは無いかと思われます。
