【2022年夏アニメ】プリマドール【感想】

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DATA

  • タイトル:プリマドール
  • 放送クール:2022年夏
  • 話数:12話
  • 制作:バイブリーアニメーションスタジオ
  • 監督:天衝
  • 脚本:丘野塔也、魁

喫茶・黒猫亭。
それは皇都五区の片隅に、ぽつんとある喫茶店。
そこで働くのは、技術の粋を結集した、自律人形(オートマタ)の少女たち。
数年前に終結したばかりの大戦争。
そこで兵器として作られた彼女たち。
やがて迎えた戦後の平和。
新品同様に修復されて、ぴかぴかの着物に身を包んで、
新しい役目を探して、高らかに歌声を上げていく。
あなたも彼女達と素敵なひとときを過ごしてみませんか?

公式サイトより抜粋
5 out of 10 stars (5 / 10)

概要

本作はKeyによるメディアミックス作品です。
前日譚、後日譚に相当するノベルゲームが発売予定だそうです。

戦争で傷を負った自動人形たち

本作は大正時代の日本を思わせる『皇国』が舞台となっています。1話冒頭、少女の姿をした自動人形が戦場に投入される場面から始まりますが、本編に入ると戦争は終わり戦後となっています。
主人公である自動人形「灰桜」は皇国の都である皇都の一角にある喫茶店『黒猫亭』で目覚めます。一切の記憶が無いまま目覚めた彼女ですが、黒猫亭は自動人形が働いている喫茶店で、オーナー「遠間 ナギ」は彼女に黒猫亭の一員として働く事を勧めるのでした。
この黒猫亭にはいかにもしっかり者といった印象を受けるリーダーの「鴉羽」、おっとりした雰囲気で主に調理を担当している「箒星」、小柄ながら軍人口調の「月下」といった自動人形たちが働いていました。
そして灰桜もそんな面々と一緒に働き始めますが、接客、掃除、調理どれをとっても上手く出来ません。
そんなある日、外の掃除をしていた灰桜は「千代」という少女と出会うのでした。

不穏な戦後

出だしを見ると、戦争から帰った自動人形たちの日常が描かれるのかと思いますが、そうでは無いことが分かります。1話で描かれる千代とある自動人形に関するエピソードもそうですが、どの自動人形もいわゆる担当回が存在しているものの、どれも描かれるエピソードが戦争に纏わる重いものばかりとなっています。
そして黒猫亭で働く自動人形たちも戦争によって何かし後遺症とでもいうべき問題を抱えていたりします。灰桜はそれに対して色々奔走していき、他の自動人形たちから信頼を得て行きます。またそれにより海外からの自動人形「レーツェル」も加わります。ただ月下やレーツェルのエピソードは駆け足気味で雑に処理された感がなくもありません。
しかし問題は自動人形たちだけでは無く、兵器として用いられた自動人形に対する警戒心や再度戦争を遂行しようという軍閥が蠢いていたりと序盤から不穏な雰囲気が漂っています。
そんな中灰桜は歌で黒猫亭を盛りたてようとします。

雰囲気、作画など

先述した様に本作の舞台は大正時代辺りの日本を思わせる雰囲気となっています。建物や人々の装いなどでそれを感じますが、看板などは左書きだったりと微妙な差異を感じます。
ただ日本と同じ島国では無いのかと思った場面があり、終盤に灰桜と鴉羽がかつての戦地である国へ向かう場面があるのですが、列車に移動のみで越境していた様に見えました。かつての戦争というのは過去の話なので説明する必要は無いという事かも知れませんが、地理的な部分というのは少しくらいは説明して欲しい所でした。
また作画に関しては特に不安定だとか気になる様な事はありませんでした。キャラデザは柔らかいタッチの可愛らしいといった印象ですが、それは主要キャラのみならずモブまでも雰囲気は統一されていて軍人も例外では無いため、物々しい場面では少しそぐわなく感じもありましたが、気になる程の物では無いと言えるかも知れません。

急に歌うよ

見出しの言葉はネットでたまに見かけますが、本作もまたこの言葉がしっくりくる作品と言えます。
主人公である灰桜は所構わずとにかく歌います。
しかもそれは多くの場合、ミュージカル的に伴奏が伴う訳では無く、何も無い場所でひとりでアカペラ的に歌い出すといった様相です。個人的には共感性羞恥を感じて苦手といった感想ではあります。
またこの点に限らず灰桜は挙動全般が萌え的な物を前面に押し出していて、好みが分かれそうだと感じました。

まとめ

本作は可愛らしいキャラデザと打って変わって、ストーリー展開としては重たい面が目立っていると言えます。戦争によって問題を抱えた自動人形たちは一見戦後を平和に過ごしている様に見えていますが、いくつもの試練が訪れます。
それらを経て終盤、ある自動人形によって皇都に混乱がもたらされますが、AIなどを扱った作品のテンプレ的な展開と言えます。展開そのものは駆け足でかつ説明不足感もありましたが、結末は余韻を感じさせる物となっている印象でした。