【漫画】シニギワ【感想】

6.5 out of 10 stars (6.5 / 10)

この世には生きとし生けるものと同じ数だけの“死に際”がある――。 16歳の要 守は人の肌に触れることでその人の“死に際”を見る能力を持ち、「死神」と恐れられていた。ある日、想いを寄せるクラスメイト・白石カナの“死に際”を見た守は、運命を変えようと奔走するが…!?

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DATA

  • タイトル:シニギワ
  • 作者:福田健太郎
  • 刊行年:2016年
  • 巻数:全1巻
  • 出版社:集英社
  • レーベル:ジャンプコミックス

概要

本作は少年ジャンプの不定期刊誌であるジャンプGIGA 2016 vol.1 – 4に掛けて連載された作品です。 触れた人間の「死」が見える主人公と彼が思いを寄せるヒロインを中心としたドラマが描かれています。

人の死が見える主人公

主人公「要 守」は幼少の頃から、人に触れると触れた相手の死に際が見えるという能力があったそうです。その為に幼い頃、父親が事故死する事を知っていた事が冒頭で描かれます。幼児がそんな場面見せ付けられるとトラウマになったり悪影響を受けたりしそうですが、守はマトモな少年に育った様です。 しかし高校の入学式後、その日友人が飛び降りするのを知っていた守は止めようとします。 しかしその際、守に付いていっていた別の友人が転落します。転落した友人はそこでは死なないはずだったのに死亡し、引き止められた友人も数日後事故死します。後者はともかく、前者は守が介入した影響と言え、結果的に友人を2人亡くした守は他人の死に介入しなくなったそうですが、仕方無いと言えるでしょう。 また守は入学式当日の一件で、死神と呼ばれる事になります。

ヒロインの死に際を見る

守は嫌われたり気味悪がられたりといった学校生活を送っていましたが、本作のヒロインであるクラスメート「白石 カナ」に思いを寄せていました。 そんな中学園祭のステージで何故かフォークダンスを披露する事になった守たちのクラス。くじ引きの結果、守はカナとペアになりますが、これはカナに触れて死に際を見てしまう事でもありました。またその後ペアを巡って他のクラスメートと一悶着あります。 そして当日、特にペアでの練習やリハーサルは無かった様で、守はその日初めてカナの手を取ったと思われます。そして守が見たのはこのステージ上でカナが事故死する光景でした。 たまらずカナの手を取って逃げようとする守を、以前ペアを巡って絡んできたクラスメートが追い掛けます。 するとそのクラスメートがカナに代わって事故死してしまいます。

死の運命から守れるか

しかしクラスメートの葬儀から数日後、守はまたもやカナが事故死する場面を見てしまいます。 再度カナの死に介入したものの、図らずも結果的に身代わりになってしまった守。一時は諦めるもカナへの思いからか瀕死とは思えない底力を発揮して乗り切ります。 これでカナは助かったのでは無いかと期待した守に対して、ある人物が本作における死について伝えます。 それは一度死の運命に定められると、一旦逃れても先延ばしにされるだけというファイナル・ディスティネーションな仕様で守にとっては絶望的な物でした。 しかも対象が逃れると最寄りの人物が身代わりになってしまうのだそうです。つまりカナをこの先も生きながらえさせるには、自分か他人を身代わりにし続けないという事です。 それでもなおカナを守ると、守は決意します。この先どれだけの困難があるか想像も付きませんが、守からすれば他に選択肢は無いのでしょう。 その後に展開される終盤は本作の山場と言っていいでしょう。簡単に回避出来ない危機的状況でカナは何を思い行動するか、守はどう動くかといった展開からのラストに至ります。

まとめ

本作は序盤から中盤に掛けてホラー的描写が目立ちますが、終盤はヒューマンドラマ的雰囲気を感じさせる展開となっています。 全4話で主要キャラクターも3人とコンパクトなので気軽に読めますし、それから余韻に浸るのも良いかも知れません。