2022年 44分
婚約者・香苗と共に、母・悦子が1人で住む実家へと帰る良典。長らく疎遠だったが、事故死した弟・悟の七回忌のため、そして香苗の妊娠をきっかけに帰郷を決心したのだった。2人を温かく迎え入れつつもどこか様子がおかしい悦子に、良典はある疑念を持つ。
U-NEXTより抜粋

目次
概要
本作はクラウドファンディング『CAMPFIRE』で資金を調達し、脚本も兼ねている田中博巳監督によって2019年から製作が開始されました。
2022年4月28日よりU-NEXTにて独占配信が開始されています。
婚約者と共に帰省した実家での出来事
本作は「良典」が妊娠した婚約者「香苗」と共に実家へ帰省する場面から始まります。
良典の実家は山深いながらも大きめな建物で、そこには良典の母「悦子」が一人で住んでいる様です。
それからリビングで会話していた良典は壁に黄色の絵が飾っていないというなど違和感を感じている様子です。もっとも良典は悦子との折り合いが良くなかったのか実家にほとんど帰っていなかったらしい事が分かって来ますが。今回は弟の七回忌という事での帰省ではあるものの、香苗の事は伝えていなかった模様です。サプライズ的な意味でもあったのでしょうか。
中盤までは夕食や食器洗いなどといった日常的風景が会話をしつつ描かれるなど淡々と進んでいきます。本当に淡々としているのですが、常に不穏な雰囲気が漂っていて、所々で伏線らしき意味ありげな描写もあったりします。
雰囲気が変わる終盤
未明、目を覚ました香苗は屋外から聞こえる不審な物音を耳にし、その正体を確かめようとします。
その音の発信者は家の主である悦子でしたが、音の原因は香苗が予想していない物でした。
その後香苗は悦子の秘密と目的、そしてそれらが悦子と良典が不仲である原因と知ります。香苗が目を覚まして数時間たった早朝、悦子は目を覚まして屋外で一服していた良典に対し行動を開始します。良典自身は悦子に対するわだかまりは解消しつつある様に見受けられたのですが、一方の悦子はそんなの知った事では無かったり様です。悦子に歩み寄る姿勢を見せていた良典の気持ちは踏みにじられてしまいます。
あくまで自らの目的を達成するために行動する悦子によって良典が危機に陥るのが最終局面と言えます。そしてこの場面はホラー的な不快感があったりします。
そして一応の決着を見ての結末ですが、香苗の表情は人によって解釈が異なりそうですが、今後の未来は明るい物では無いのでは予感させる物になっています。
まとめ
本作はジャンルとしてはホラー映画ですが、終盤まで不穏な描写こそあれどホラーらしい描写はほぼありません。
それまでは母親、帰省した息子とその婚約者による一見なんの変哲も無い会話といった風に淡々と進むため、不穏な雰囲気こそ孕んでいて終盤は悦子の狂気を感じる行いこそあるものの、全体的にはホラーとしては弱く感じます。
更に言えばストーリーについてもやや説明不足な感があり、一見ではなんとなくでしかストーリーを把握出来ない印象を受けました。尺が40分と短いのだから仕方ないと捉える事も可能ですが、本作の場合は先述した通り淡々とした日常シーンが多いと言うこともありますので、その分を用いてもう少しストーリーを分かりやすくするなり出来なかったものかと思います。現状では複数回視聴前提の映画という感想を抱かざるを得ません。