目次
DATA
- タイトル:スパイ教室
- 放送クール:2023年冬
- 話数:12話
- 制作:feel.
- 監督:川口敬一郎
- 脚本:川口敬一郎、猪爪慎一、兵頭一歩、木村暢
陽炎パレス・共同生活のルール。
公式サイトより抜粋
一つ 七人で協力して生活すること。
一つ 外出時は本気で遊ぶこと。
一つ あらゆる手段でもって僕を倒すこと。
――各国がスパイによる”影の戦争”を繰り広げる世界。
任務成功率100%、しかし性格に難ありの凄腕スパイ・クラウスは、
死亡率九割を超える『不可能任務』に挑む機関―灯―を創設する。
しかし、選出されたメンバーは実践経験のない7人の少女たち。
毒殺、トラップ、色仕掛け――任務達成のため、少女たちに残された唯一の手段は、
クラウスに騙しあいで打ち勝つことだった!?
世界最強のスパイによる、世界最高の騙しあい!

概要
本作は竹町氏による同名ライトノベルのアニメ化作品です。
原作は2019年に第32回ファンタジア大賞の大賞を受賞し2020年からKADOKAWAより刊行されています。
また2020年から2022年までメディアミックスの一環としてコミカライズ版も『月刊コミックアライブ』にて連載されていました。
本アニメは2023年冬アニメとして放映され、2023年夏に2ndSeasonと銘打った2期が放映予定です。
集められた少女スパイたち
本作は大戦が終わり、諜報や工作による静かな戦争と呼ばれる、冷戦を思わせる時代に入った世界を舞台にしています。
そんな中、『ディン共和国』のスパイで世界最強を自称する『燎火(かがりび)』「クラウス」にある任務が与えられます。
その後場面は変わり、共和国のスパイ養成機関を出た『花園』「リリィ」は配属先となるある館『陽炎パレス』を訪れます。
そこにはクラウスによって招集された少女たちがおり、クラウスと共に任務達成のため活動するスパイチーム『灯』が結成されます。
しかし挑む任務は『不可能任務』と呼ばれる程成功率が低いとされ、任務まで少女たちを鍛えるとしたクラウスは天才肌の感覚派が過ぎて他人に教える事が致命的に下手でした。
さらに招集された少女スパイたちは全員養成機関で落ちこぼれの烙印を押されていたというオマケ付きです。
かつて共和国最強と言われたスパイチーム『焔』が挑んで壊滅したという任務に、現状のまま挑む事を危惧したリリィはクラウスに挑んで要求を突きつけるも失敗に終わります。
しかしリリィの挑戦から着想を得たらしいクラウスはリリィを灯のリーダーに任命すると共に、訓練を実戦形式に変更してクラウス自身の打倒を目標とさせます。
こうして不可能任務に向けて灯とクラウスの戦いが始まったのでした。
序盤の仕掛けと話の構成
上記の様な始まりとタイトルから訓練中心の描写で、終盤で任務に挑むという構成かと思ってしまいましたが、灯は3話で任務に挑む事になります。
訓練の描写があまりにも少ないため、灯のメンバーが成長したのか分かり難いのですが、3話以降も遡って訓練の描写がされたりします。
そこまでして序盤に任務へ突入させたのには相応の理由があり、これは物語序盤にはある仕掛けがされており、それが明かされるのが任務のヤマ場と言える場面である事から時系列順にしてしまうと仕掛けが成立しなくなってしまうという事情があった様です。
そもそも仕掛け自体が映像化が困難なタイプである事から仕掛けそのものは成立したものの、その為に序盤の話が無理やり感のあるものになってしまった事からネットでは賛否ある印象でした。
ただ個人的にはこういった仕掛けは好みである事から序盤の展開も仕方なかったのだろうと納得した次第ではあります。
話の構成とキャラ格差
本作は初任務までの3話がリリィを中心とした花園編となっていて、その後序盤から中盤に掛けて単発のエピソードが4話流されます。そしてその中で『草原』「サラ」や『百鬼』「ジビア」などのエピソードが描かれますが、これは中盤以降展開される『愛娘』「グレーテ」を中心にした愛娘編の布石と見ることが出来ます。
さらに2つ目の任務を通じて描かれる愛娘編は実に5話と1期の時点では最長のエピソードとなっています。
こうしてリリィとグレーテにそれぞれ3話に5話と大きく話数を取る一方で、それ以外のキャラは1話か0話と著しくアンバランスという印象を受けます。
そのため灯のメンバーでありながら1期時点では名前も覚えていないキャラもいたりします。
もっとも1期でエピソードが描かれなかったキャラについては今後描かれる可能性がありますが、1期で中途半端に描かれたキャラは少し残念な事になりそうではあります。
作画、雰囲気など
本作の作画に関しては概ね良好といった印象です。作品が外観としては実質ハーレム系に近く美少女キャラが中心なため作画が不安定だと視聴者へのダメージが大きくなってしまいますが、その点は心配不要といった所でしょうか。
また本作の主要キャストは全員が一定以上の実績と人気を兼ね備えた人気声優ばかりとなっています。主要キャラだけでもそれなりの人数がいる場合、駆け出しだったり特定方面からプッシュされた様な人物が混じったりするのですが、本作はそういった雰囲気が無く力の入れようが伺えます。
ただスパイ物として見ると、ライトノベル原作故か任務中でもやや甘かったりコミカルに感じられる部分があるのが気になりました。
もっとも作風からするとあまりシリアスにし過ぎないのが正解なのかも知れません。
まとめ
本作は教える事以外は天才的能力を持つスパイの部下といえる少女スパイたちが任務に挑むストーリーとなっています。
ただそういったストーリーではあるもののシリアスになり過ぎず、気軽な気持ちで視聴出来るのが特徴と言えます。
また作品全体で見ると敵は勿論の事、時には味方なり視聴者なりを巻き込んで騙す様な仕掛けが複数仕込まれているのは流石スパイという感じました。
ただ最後が明らかにブツ切りかつ不穏な終わり方になっていたのが、残念に感じていましたが夏クールで2期が決まったので安心といった所でしょうか。しかし1クール開けただけというのは実質分割2クールでは無いかとも思ってしまう所ではあります。
しかし2ndSeasonと銘打っている以上2期には違いありませんので、期待したい所ではあります。