【2021秋アニメ】takt op.Destiny【感想】

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DATA

  • タイトル:takt op.Destiny
  • 放送クール:2021年秋
  • 話数:12話
  • 制作:MAPPA、MADHOUSE
  • 監督:伊藤祐毅
  • 脚本:𠮷村清子、一色恒佑、金田一明
6.5 out of 10 stars (6.5 / 10)

音楽は人の心を照らす光――
突如として、その『光』が世界から奪われる。
空から黒い隕石『黒夜隕鉄』が降った夜、世界は様変わりした。
黒い隕石から生み出された異形の怪物『D2』が、大地と人々を蹂躙し始める。
D2は人の奏でる旋律に惹かれ、やがて『音楽』そのものが禁忌とされた。
だが、その怪物に抗う者達が現れる。
音楽を力とする少女達――『ムジカート』。
彼女達は、人類史に残る偉大な歌劇、楽曲の楽譜(スコア)を身に宿し、D2を撃ち破る力とした。
そして、彼女達を指揮し、導く『コンダクター』。
2047年。D2との抗争によって荒廃したアメリカ。
コンダクターの『タクト』は、ムジカート 『運命』と共にニューヨークを目指して旅していた。
音楽が失われた世界で、音楽を渇望する『タクト』
D2の殲滅を望むムジカート『運命』。
二人の少年と少女が生み出す旋律は、歓喜かそれとも絶望か――

公式サイトより抜粋

概要

本作はDeNAとバンダイナムコアーツによるメディアミックスプロジェクト『takt op.(タクトオーパス)』の一環として制作されたTVアニメで、MAPPAとMADHOUSEの共同制作となっています。
2022年リリース予定であるスマホアプリの前日譚として制作され、異形の怪物に対抗する『ムジカート』と呼ばれる少女の姿をした存在とその指揮者『コンダクター』の戦いを描いています。

謎の怪物に進行される世界

本作の世界は『D2』と呼ばれているモンスターに侵攻されています。目的は不明ながら音楽に反応して襲ってくるという性質を持ち通常兵器が通じず『ムジカート』と呼ばれる音楽の力を宿した女性の姿をした存在だけがD2を討伐出来るのだそうです。
そしてそのD2に対するムジカートやその指揮者たる『コンダクター』を擁する組織『シンフォニカ』を中心とした人類の戦いの結果、D2を休止に追い込んで4年経ったというのが物語開始時点の世界観となっています。
ただD2を休止に追い込んだとは言え、音楽は自粛状態となっている様です。
1話では車で旅をしている主人公「朝雛 タクト」とその相棒であるムジカート「運命」、幼なじみの「アンナ・シュナイダー」の3人がある町に立ち寄り、タクトがアーケードの様な市場内に置かれたピアノを弾き、接近してきたD2を運命が倒すという流れになっています。
この1話時点ではおおよその世界観と主人公一行が旅をしているという事しか分かりませんが、これは1話に掴みとして戦闘シーンを入れたかった為と思われます。
そして2話には旅立ち前に遡ってそこから時系列順に物語が進んで行きます。

悲劇から始まるロードムービー

タクトの父親は著名な指揮者だったそうですが、10年前にコンサートをD2に襲撃されて亡くなっています。
その後は自宅に引きこもり、ガレージを改造したスペースでひたすらピアノを弾いていた模様です。改造の際に防音してD2に気付かれない様にしていたんでしょうか。
そんなタクトの世話を幼なじみであるアンナとその妹「コゼット」が面倒見ていたらしく、その様子からはタクトが音楽以外に興味の無い様子が見て取れます。色々無頓着なダメ人間といった風に見えます。
そんなある日、町でシンフォニカ主催の祭りが行われ、タクトを外に引きずり出したいシュナイダー姉妹が朝雛宅のピアノを会場に移設します。一応主催者の許可は取り付けていた模様です。
やがてやって来たタクトがピアノを披露し、それからコゼットとの連弾を行って良い雰囲気になりますが、何も起こらないはずも無くD2の襲撃によりコゼットが瀕死となってしまいます。主催者は何をしていたのかとも思ってしまいますが。
しかしその時、コゼットのペンダントが光りムジカート運命に生まれ変わります。またタクトは本人の与り知らぬ内に契約が執り行われコンダクターとなった様です。
その後やって来たシンフォニカ所属のコンダクターであるレニーこと「レナード・フライハート」とムジカート「巨人(タイタン)」の手助け、助言を受けてシンフォニカの研究所があるニューヨークを目指す事にすると言うのが旅立ちまでに流れとなります。
そうして旅立ったタクト達は各地で未だD2との戦災から復興出来ていなかったり、それどころか未だにD2が跋扈していたりする地域を目の当たりにします。
そういった訪れる先で住人との交流があったり、コンダクターやムジカートと出会ったりしながら不穏な気配を見せつつもロードムービー的な展開で終盤手前辺りまでニューヨーク目指して進行して行きます。
そういった旅先でのイベントや戦闘を通じてタクトと運命が成長して行くというのがいかにもといった展開と感じられます。

戦闘とムジカート

本作の作画は全体的にクオリティが高いと感じられます。特に戦闘シーンは良く動き力が入れようが見て取れます。
そんな戦闘を彩るのがムジカートですが、彼女たちは先述した通り音楽の力を見に宿した存在です。音楽とはこの場合具体的には楽曲を指していて、つまる所楽曲の擬人化という事になり、この辺りはゲームアプリ、つまりソシャゲを前提にした設定と言えます。
しかしアニメに登場するムジカートは多くはありませんが、その多くはモチーフとなった楽曲が外見で判別出来ない様なキャラデザとなっています。ただこれはキャラデザの問題では無く、モチーフとなった楽曲の問題と言えそうです。アニメに登場する主要ムジカートは運命、巨人、天国、地獄とどれも分かる様に擬人化するのが難しそうな程度に抽象的という気がします。例えば巨人などは女性という事もありますし、進撃某に登場する女型の様にする訳にも行かず表現が難しいと言えます。アニメに登場するムジカートで楽曲をイメージ出来るといえばワルキューレだけと言えますが、これはワルキューレ自体がイメージしやすい存在だからと言えそうです。

そしてゲームへ

旅を経て、タクトはコミュニケーション能力が高まり、運命は中盤まではD2以外にも何か破壊していたのが丸くなって行きます。
そしてお互いに気遣いが出来る様になったりといった成長を見て取れる様になった頃ニューヨークに辿り着きます。
しかし肝心な運命の調整という点では成果がありませんでした。運命はその成り立ちからしてイレギュラーという気もしますので、その影響があるのかも知れません。
その後別行動していたレニーからある情報がもたらされ、激戦の後ニューヨーク市内にD2が大量発生します。タクトたちは一連のD2活発化の黒幕の元へ向かっての最終局面となります。そして待ち受けるムジカート同士の死闘と狂気の黒幕。意思疎通が出来ない怪物相手では最終局面として盛り上がりを欠くという事もあってか、戦いの末正気を失った人間との内ゲバというのは、この手のバトル物では割とある気もします。一応本作の黒幕はD2を集めてまとめて殲滅、その為にはどんな犠牲も厭わないという腹積もりだった様ですが、どの様にして殲滅するつもりだったのかは謎です。
そして決着ついた後ラストの演出などは上手い具合にゲーム版に繋がっていると思えました。

まとめ

本作はゲームアプリ前提で制作されていて、ゲームの前日譚となっています。通常ソシャゲのアニメ化というのはキャラ大量に出してユーザー以外お断りな空気を出していたり、シナリオが到底1クールで収まらない為色々無理をしたりするイメージですが、本作の前日譚というのは上手い造りであると感心させられました。
高品質の作画でバトルを披露してくれたムジカート達の多くがゲーム版では登場しないであろうと思われます。しかしストーリーで登場しなくともプレイアブルキャラクターとして登場させる事は可能かとは思いますので、その辺りも期待したい所です。