【2019年秋アニメ】警視庁 特務部 特殊凶悪犯対策室 第七課 -トクナナ-【感想】

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DATA

  • タイトル:警視庁 特務部 特殊凶悪犯対策室 第七課 -トクナナ-
  • 放送クール:2019年秋
  • 話数:全12話
  • 制作:アニマ&カンパニー
  • 監督:栗山貴行
  • 脚本:東出祐一郎、ヤスカワショウゴ
3 out of 10 stars (3 / 10)

はるか昔。
この世界には、エルフ・ドワーフ・吸血鬼・ホムンクルス・ 人間など、数多の種族が存在していた。
争いの絶えないヒエラルキーの頂点は「ドラゴン』。
しかし長い時を経て『ドラゴン』は消え、残った種族たちも共存を選 び、時代を重ねるごとに僅かな外見的特徴を残して皆ほぼ人間と変わ らない姿となった。
2×19年、東京。 平穏になったと思われた現代。それでも犯罪がなくなったわけではな い。かつて存在した『ドラゴン』に心酔し、 その力を欲するあまり凶行に走る組織
『ナイン』。
彼らは凶悪事件を引き起こし、現在の世界をつくり変えようと画策し ていた。 『ナイン』に対抗するため、 各分野のエキスパートを集めた対策室が警視庁で組成される。 その名は
『警視庁 特務部 特殊凶悪犯対策室 第七課
– 通称トクナナ』。
個人の能力はずば抜けて高いものの、 「はぐれ者集団」「ごくつぶし集団」とも噂されていた。
そんなトクナナに、新たに所属することになった ルーキー・七月清司。 個性溢れるメンバー達に翻弄されながら、持ち前の明るさと真っ直ぐ さでナイン事件の解決に挑んでいく。 次々と起こる難事件の中で、 彼は自分の信じる正義を見つけられるのか ――

公式サイトより

あまり活かされない世界観

本作は東京を舞台にした刑事ものです。
しかし1話冒頭で、本作の世界は昔人間の他にエルフやドワーフといった種族が争っていたが和解して過ごしていると語られます。
刑事ものでファンタジー要素というのは本作が初めてと言う訳ではありませんが、門やらゲートやらで異世界と繋がっている訳では無く、現実と同じ様な世界に魔法を含めたファンタジー要素を最初から溶け込ませたと言うのは一風変わった世界観と言えます。
これで魔法犯罪とかあれば、この世界観も活かされたのかも知れません。
しかし本作はこのファンタジー要素を溶け込ませる際に、何故か大分薄めてしまっています。
例えば、異種族が和解してどの位の世代を経たのか分かりませんが、種族ごとの特徴が大分薄れていて、エルフは耳くらいですし吸血鬼は身体能力は高いが日中は眠くなる事がある位といった程度です。それとドワーフは本来小柄で屈強なはずですが、本作のドワーフは何故か大柄になっています。
つまる所、そのキャラがその種族である必然性が薄いと言わざるを得ません。
また本作の世界には魔法も存在し、その力は政府によって厳重に管理されているとしています。
しかし5話の連続爆破事件で用いられた魔法は爆弾の補助的役割で、爆発力を増幅するとか爆弾のタイマーを早めるといった程度の物です。
もちろん使い方次第なのかも知れませんが、本作での使い方だと魔法というファンタジー要素より爆弾の方が普通に強いとなってしまい、世界観の意味がますます分からなくなります。
また捜査も聞き込みやドローン、推理などといった所でファンタジー要素は皆無です。
これらの事から、本作はせっかく盛り込んだ異種族や魔法というファンタジー要素を自ら台無しにしてしまっています。

キャラクター描写

本作の主要キャラクターであるトクナナのメンバーですが、キャラクターとしての魅力が決して無いと言う訳では無いと思われます。
しかしあまりにもキャラクターについての掘り下げがなされておらず、魅力が伝わり難くなっていると感じました。
トクナナメンバーについて描写されている箇所は少なく、主人公と相棒を除いたメンバーは思いつきである程度列挙出来るのでは無いかと言う位です。

  • エルフ:血が繋がっていない兄に憧れて警官になった。人付き合いが良くない。
  • ドワーフ:バツイチで元妻と一緒に暮らす娘がいる。多分子煩悩。
  • 吸血鬼:異性と一緒に住んでいる。
  • ホムンクルス:機械が得意。忍者。

種族特有と思われる箇所は省いて、この位かと思われます。
この程度の描写でキャラの魅力を伝えられるかというのは難しいかと思います。
吸血鬼は異性と住んでいますが、結婚しているのか同棲なのか明言はされていませんでした。ただ警察というお堅い職場である事を考えると結婚しているのかも知れません。
ホムンクルスは8話で拉致されているにも関わらず、キャラを掘り下げると言うことはせず地道な捜査が中心で、ホムンクルスが監禁場所で金庫破りしたり犯人と対話する場面がありますが、キャラクターを掘り下げられているとは思えません。
トクナナメンバーが犯罪者に直接狙われるというシチュエーションでもこの状態ですので、それ以外の事件ではメンバーのキャラを掘り下げる余地などあるはずもありません。

トクナナは「ナイン」と呼ばれる犯罪組織の事件を扱っています。
ナインはかつてこの世界で頂点に君臨していた種族ドラゴンを信奉していて、主人公が昔巻き込まれた空港でのテロ事件を始め、作中で起こる事件の多くに関わっています。
しかし作中では組織だっているようには見えず、ナインが組織なのかという点でも疑問があります。
首領の下には一人だけ部下らしき人物がいて、その部下が方々で暗躍しています。
首領と部下一人しかまともに動いていないような敵ですが、信奉者はやたら多いらしく警察内などにも浸透してなど、構成員は多いもののまとまりが無いという印象を受けます。

そんなナインを率いる首領は公園のベンチから部下に指示を出したり、公園で独り言言ってたりと公園に住んでいるのかと思ってしまいます。
そんな首領の種族はドラゴンで、ドラゴンは他種族より上位だから支配するという、良く言えばシンプル、悪い言い方をすれば浅い目的の為に行動しています。
この世界でのドラゴンは信奉者が多いほど力が増すそうで、まるで神様か何かでは無いかと思ってしまいます。
ドラゴンを信奉するナインの構成員は、首領からすれば力の源泉とも言える訳ですが、彼はそんな信奉者を小型ドラゴン召喚の際に多数生贄にしたりしています。
この小型ドラゴンが暴れれば、力を見せ付ける効果はあったかも知れませんが、早々とトクナナに撃破された為、信奉者を減らしただけとイマイチ脅威と感じにくい印象です。
最終盤でも力を見せ付ける前に弱体化してしまうとか、いう敵として魅力を感じにくいのでは無いでしょうか。

まとめ

最近流行りの異世界的要素を盛り込んだにも関わらず、脚本は普通の刑事ものとチグハグな印象を受ける本作。
そのため肝心の異世界的要素を活かす事が出来ず、取ってつけたような感が強いという感想になってしまいます。
せめてキャラの掘り下げでも出来てたらいくらか印象は違ったかも知れません。
ただ作画は比較的安定していた様に感じました。