2014年 69分

志保美(中島愛里)のもとに、薄汚れたクマのぬいぐるみが送られてくる。誰のものともわからず彼女は捨てるが、何度捨てても自分のもとに戻ってくるぬいぐるみに志保美は恐怖を覚える(『ぬいぐるみ』)。人気のない深い森、ワンボックスカーを走らせていた朋美(小野川晶)はどうしてもトイレに行きたくなり車を降りる。そしてトイレから車に戻ろうとすると、何者かが近づいてきて……(『野外』)。
Yahoo!映画より抜粋
目次
概要
本作はホラー作家・平山夢明のベストセラー『東京伝説』を原案に実写化したホラー映画です。
全5話からなるオムニバス作品となっています。
サイコホラーのオムニバス作品
本作の原案になっている書籍、東京伝説はいわゆる人間怖い系で狂気を孕んだ人物が登場する話を集めた物で、個人的にも以前文庫本で読んだ覚えがあります。人間離れした風体の霊的な異形が登場して驚かすという事はありませんが、相手が能力としては我々と変わらない一般人である為、身の回りでも起こりうると思わせる様な作品となっています。
各話感想
第1話 – ぬいぐるみ
この手としては定番と言えるストーカーを扱ったエピソードです。
主人公女性はある朝、ゴミ袋にぬいぐるみを入れて捨てるもその晩には宅配便で送られてきます。そのぬいぐるみは明らかに汚れていて、それが何度も返されてくると言うのは気持ち悪いのではという印象を受けます。
そこで彼に相談する主人公ですが、それによれば実家を騙って送って来ている事、警察に相談しても取り合って貰えないとの事です。
彼はストーカー規制法があるんじゃないかと憤りますが、本当にストーカー規制法施行後も実害が無いと対応出来ないなどと宣っているのであればとんでもない話なので、現実がそうで無いと思いたい所です。
そして憤った勢いでぬいぐるみを捨ててくると飛び出す彼。しかし無情にもぬいぐるみは戻ってきます。終盤、主人公の前に現れたストーカーはなかなかの怪演を披露するも、主人公の一言で精神的ダメージを受けたようです。もっとも主人公の方が圧倒的に精神的苦痛を受けていると思われますが。
とりあえずストーカー規制の実態が心配になるエピソードでした
第2話 – 野外
ドライブ中のカップルが登場しますが、人里離れた山中で主人公女性は催してしまった様で、夜の雑木林に駆け込んで行きます。
しかし間もなく車からクラクションが鳴らされます。場所柄何らかの異常があったと思われますが、主人公もそれどころではない為、気に留める様子はありません。
そしてひと息ついた主人公の前にピッチフォークを持った男性が現れます。山中ではいささか場違いな農具ですが、人を刺すには充分でもあります。更にそれを持って接近してきている事から敵意を感じさせます。何故敵意を持っているかすぐには分かりませんが、本作では珍しく分かりやすい存在と言えます。
第3話 – 素振り
本作での箸休め的なエピソードといった印象です。
冒頭、主人公女性がバッティングセンターで打撃を行っています。バットを短く構えて当てる事を意識している様ですが、スカートに靴のヒール高めという装いなので打ちにくそうに見えますし、実際バットに当たっている割合は高くありません。
その後バッティングセンターの従業員と会話を交わした後、バッターボックスを後にする主人公ですが、離れ際に最も離れた位置にありそうなボックスで快音を響かせている男性を一瞥しました。
その晩寝ていた主人公は物音で目を覚ましますが、そこで見たのは理解し難い光景でした。
何故こうなるのか、脈絡が無い、恐怖というよりシュールといった風に感じられ、映像として見る分には笑いすらこみ上げてきますが、実際に起こるとたまったものでは無いとも思わされます。
第4話 – 廃墟
主人公女性は彼とその友人に連れられて、ドライブしていましたが、訪れたのは廃墟とされる建物でした。不法侵入じゃないかと正論をもって反対する主人公ですが、なんだかんだあって男性2人は中に入ってしまい、主人公も渋々付いて行きます。
しかし廃墟とされていながら、建物内は思いの外キレイで、違和感を感じさせます。
その後写真を撮ったりしつつも、早く離れたい主人公とこの建物に拘る男性陣のせめぎ合いから急転直下の展開となります。
ラストシーンが主人公たちの末路なら割と救いが無いと感じさせます。男性陣は自業自得な面もありますが、主人公は巻き込まれただけと思われますので。
あと写真については目を凝らしてもお分かり頂けませんでした。
第5話 – ホテル
主人公女性はあるホテルにチェックインし、部屋へ向かおうとします。
その途中、車椅子に乗っている男性が部屋の前で立ち往生しているのを見掛けたので手助けしますが、相手は善意に付け込む邪悪な存在でした。善意に付け込んで主人公を監禁し、引っかかるお前が悪いんだとばかりの態度で精神的に痛めつける展開は非常に胸糞悪いと言えます。
ただストーリーとしては胸糞悪いですが、こういった人の善意に付け込む犯罪というのは日本でも増えていそうですし、増えて行きそうでもあります。特にこういった手口で狙われやすそうな女性や子供は安易に自分の手を貸すのでは無く、職員や付近の人を呼ぶ事も必要では無いかと思わされました。
もっとも本エピソードでは奴が放つ最後の一言が主人公を絶望に陥れ、視聴者も絶望的な気分にさせてくれます。
まとめ
本作はビックリ系の様な展開は少なく、恐怖がにじり寄って来る様なエピソードが多いのが特徴と言えます。
ただ前半3つのエピソードが主人公自身に危害が加えられる場面が少ないのに対し、後半2つのエピソードは理不尽さに感じられる程の物だったりと、徐々にハードな展開にしているのかとも感じられました。
ただ人間の所業を扱った物ということもあってか、子供が真似されない様にフェイクを混ぜたり年齢制限を設けたりする必要はあるかも知れないと思ってしまう作品でした。