2020年 EKKE

概要
本作は8bit風のレトロなグラフィックが特徴の横スクロール推理ADVである『和階堂真の事件簿』の続編です。
クリアまでの所要時間は2〜3時間程度と手軽に楽しめる作品となっています。
山深い集落で起こった事件
本作は成長して刑事となった「和階堂真」がある人物に面会し、祖父である和階堂警部の話を聞く場面から始まります。


そして和階堂が事件が起こった集落に臨場する場面が描かれます。
その集落の中心的存在となっている名家、千堂家当主が死亡し、事件の疑いがある事から捜査を開始します。
新興宗教絡みだった前作と異なり、田舎の集落で因習や名家での人間関係の確執といった横溝正史的な雰囲気が感じられる作品となっています。

システム
聞き込みなどで情報収集を行うパートと推理パートに分かれているのは前作同様で、システム的には前作とそれほど変わっていません。
ただ聞き込みに関しては改善があり、捜査で得たメモの情報に、マップ内のどのキャラが反応するか分かる様になっています。
そのため前作の様にメモを入れ替えつつ総当りする必要はありません。
ただ「立ち去る」で会話を抜けないとメモのセットなどが出来ないのは相変わらずとなっています。

またマップ間移動が前作と異なり、全体マップの様な形になっているのは、捜査が集落内で収まっている為と思われますが、分かり易く作品の雰囲気にも合っている様に感じられます。

「神隠し」の謎を解く
本作の舞台となるのは先述の通り山深い集落で、そこにある「神隠しの森」と呼ばれる森で死亡事件が起きます。
集落では「御隠様」と呼ばれる土着信仰があり、神隠しを行うと信じられている様です。

過去にも行方不明になった後、森で遺体となって発見される神隠しが起こっていた様です。遺体となって発見される辺り事件性が疑われますが、過去に行われた捜査の結果迷宮入りしてしまっている様です。
それだけでは無く作中で捜査する今回の事件で、当主を失った名家千堂家の人間関係も作中を彩り、一筋縄ではいかない印象を受けます。
捜査と仕掛け
登場人物が少なく自然と容疑者が絞られた前作と異なり、本作は登場人物が大幅に増えた上に人間関係も複雑になっています。

そこで捜査で得た証拠や情報、推理の結果を元に自分で容疑者を絞り込んで行く必要があります。
また作中では周到に仕込まれた仕掛けも用意されています。終盤でそれと無く明らかにされますが、これについて多くは語りません。ただ明らかになった時は腑に落ちたという印象でしたが、この辺りの感じ方はプレイヤーによって異なりそうです。
まとめ
前作より色々ボリュームが増しましたが、それでも手軽に楽しめます。
犯人の選択などプレイヤーが推理する余地が増えて推理ゲームとしての完成度が上がった反面、捜査パートでの煩わしい部分が軽減はされたものの残っているのは今後の課題と言えそうです。
しかし前作同様、手軽ながらしっかりした推理ゲームが楽しめる作品と言えます。
