2018年 SEEC

「ここは、“死者”の住む世界。」
GooglePlayより抜粋
女子高生の夢野アリスは帰り道で事故に遭う。
目の前の視界が真っ白になり、気づくとそこは
見たことのない景色。
「ここは一体…どこ?」
何が起きたのか理解できないアリスの目の前に
異様な姿の男が立っていた…
概要
本作は漫画でストーリーが進行するという特徴を持つADVゲームアプリです。
全12章で構成されています。
異世界に迷い込んだ少女
本作の主人公である「夢野 ありす」は普通の女子高生ですが、テストを間近に控えたある日の帰り道、うっかり歩きスマホで道路を横断している所をトラックに轢かれたかと思われました。しかし気付けば見知らぬ場所へいてそこが異世界だったという昨今の異世界転生モノで幾度となく繰り返された出だしで始まります。
そこは異形な闇の住人が跋扈する闇の世界で、その中で心を持つ者たちが住まうハートの国で暮らす事になります。このハートの国は本作のタイトル通り『不思議の国のアリス』をモチーフにした世界観となっていて住人も同様となっています。
そんな国でレストラン経営する事になったアリスですが、元の世界に帰りたいという思いから情報を集めた結果、ハートの国から森を隔てた外側、闇の住人が跋扈する暗黒街と呼ばれる地域にいるとされる闇の世界を作ったと見られる創造主を探すため「チェシャ猫」「マッドハッター」たちと共に行動を開始するのでした。


後にハートの国の住人「アリス」となります。
システム
システムとしては基本的にはマップ上で場所間を移動して探索するゲームという印象を受けます。ただ実際に謎解きをする様な場面というのは多くなく、アイテムを見付けたり集めたりする事でストーリーが進んで行きます。
見付けたアイテムも特に調べたりする余地は無く、必要となれば自動で使用されますので、謎解きなどの要素は非常にシンプルな造りとなっています。

分かり難さ
本作で探索するのは闇の世界となっていて、探索画面は一部の建物内を除くと全体的に暗めとなっています。その為アイテムを見つけ難くなっている場面が何度か見受けられます。
またヒント機能も一応ありますが、ストーリー上で述べた事を繰り返すだけと、あまり機能していない様に感じられました。広告見てからのあまり役に立たないヒントなのは如何な物かとも思ってしまいます。仕様上、難易度そのものは高く無いはずですが、場合によっては攻略サイトを頼る必要があるかも知れません。
スタミナ制
本作はスタミナ制が採用されていて、一部建物を除いた場所へ移動すると5個あるハート(体力)の1つを消費します。ただ「現在地」になっている場所へ入り直す場合は消費しません。
体力は30分で1回復しますので、少しづつ進めて行く程度ならさほど問題ありません。しかし、複数地点での探索を行う際に空振りしたり、一気にストーリーを進めたいといった場合、体力が足りなくなったりします。そこは課金か回数制限ありますが広告視聴で体力を回復させる事が可能となっています。とは言え、無課金ではストーリーを進める早さに限度があると言えます。

移動すると体力を消費します。
漫画による進行
本作はメッセージ送りに際して、ボタンをポチポチ押さなくてはいけないのが少し煩わしく感じられます。
しかし本作の特徴として、ストーリーのメインと言える部分は漫画で進行するという点が挙げられます。漫画で進むとなるとポチポチボタン押してる時と比べて格段にテンポ良く感じられます。

サブコンテンツ
本作はメインとなるゲーム部分以外でもサブコンテンツがあり、レストラン経営と着せ替えがそれに当たります。
レストラン経営はストーリー上アリスが経営する事になるレストランを実際に経営するというものです。とはいえ、経営ゲームとしては簡略化された造りになっていて、収入が入ったら逐次メニュー開発や設備増設すれば収入は右肩上がりというものになっています。
もう一方の着せ替えはレストラン経営での収入を使って、服や髪形を変えられるというものです。高額な物だとレストラン経営にある程度力を入れないと購入出来ない様になっていると思われます。
またこの2つのコンテンツは2周目以降も引き継がれますので、本作のやりこみ要素と言えるかも知れません。

少女との出会い
アリスたちは暗黒街に辿り着き探索を開始します。この暗黒街は異世界というにはやや異様な感があり、現代の廃墟街といった趣きになっています。
そこでアリスたちは闇の世界の創造主「闇の女王」に関連していると見られる少女「望月 小夜」と出会います。名前からして明らかにアリス同様現実世界から飛ばされて来たと思われますが、ある理由から人との接触を拒む小夜は記憶を失っていました。そんな彼女に対しアリスは記憶を取り戻させようと奔走したり、ハートの国に迎えさせたりします。
しかしそんな小夜には危険が迫っていて、終盤はひたすらシリアスな展開となって行きます。過去、作中の現実世界で起こったという事件が関係してくるなど、当初のイメージから考えるとやや意外性のある展開といえるかも知れません。
そして下手したら闇の世界そのものの存亡に関わりかねない事態となりますが、アリスやチェシャ猫たちの奮闘の結果、闇の世界はどうなるでしょうか。そしてアリスは目的を果たせるのでしょうかといった所です。
まとめ
本作はストーリーやキャラクターに焦点を当てた造りになっていてます。特に章の変わる毎に個別キャライラストがアイキャッチとして挿まれるなど、キャラクターへ力を入れている印象を受けました。
その反面、謎解き要素は少ないため異世界からの脱出を目指す脱出ゲームとしてプレイしようとした場合は若干肩透かしに感じられるかも知れません。
ストーリーも現実世界と闇の世界の関連が分かり難かったりしますが、イラストや雰囲気が気に入ったのならプレイして損は無いのでは無いかと思われます。
