【漫画】座敷女【感想】

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  • タイトル:座敷女
  • 作者:望月峯太郎
  • 刊行年:1993年
  • 巻数:全1巻
  • 出版社:講談社
  • レーベル:ヤングマガジンコミックス
7.5 out of 10 stars (7.5 / 10)

雷のなる深夜、森ヒロシはドンドンという音で目が覚めた。外を覗(のぞ)いてみると、隣の部屋の前に、ロングコートにロングヘアー、紙袋とバッグを提げた異様な大女が立っていた。翌日から、突如その大女に付きまとわれるようになった森。サチコと名乗る女の行動は次第に異常さを増してきた。彼女の目的は何? そして彼女は何者!? ひたひたと迫りくる恐怖に、あなたは耐えられるか?

Amazonより抜粋

概要

本作は週刊ヤングマガジンに1993年に連載された作品です。同年に単行本化された他、97年にCDブックとしても刊行されています。理不尽なストーカーを題材にしたはしりである作品の一つといえます。

日常の一幕から始まる悪夢

主人公の「森 ひろし」は一般的な大学生です。単位を心配をしながら通学し、夜はコンビニでバイトしては常連客と思われる女子高生にアプローチしたりと、リア充手前の生活を送っています。
そんなある日、深夜に目を覚ましたひろしはアパートの隣室をノックしたりチャイム連打したりしながら呼びかけている女性らしき声を耳にします。
そこでドアを開けて隣室前を見ると、そこにいたのは手に紙袋をぶら下げた大柄な女性の姿でした。深夜という時間帯である事を除けば、隣人を女性が訪ねてきたが留守だったというだけの話かも知れません。
しかしこの後思わぬ事態に陥る事になります。

侵食

そして翌晩も同様の事が起こるも、女性はひろしの部屋をノックし、電話を貸すように言ってきます。本作が連載されていた93年、電話といえば固定電話の事で携帯はまだ普及していませんでした。当然ひろしが持っているのも固定電話です。電話を使わせる程度ならと渋々了承するひろしですが、電話機に電話番号が記されていたのが命運を分けたと言えます。あるいは女性はこれを見越していたのかも知れません。
こうして無関係と思われたひろしの電話番号を入手し、かつ置き土産を仕込んでいた「サチコ」と名乗る女性は、ひろしの生活に侵食して行きます。教えてもいないのに大学に電話を掛け、部屋のスペアキーを作っては部屋に侵入してきます。
ただこの辺りはひろしにも多少脇の甘い部分もあった様に感じられますが、相手の目的は隣であるという思い込みからくる油断があったのかも知れません。
そしてサチコの目的は明らかに隣人からひろしへとシフトしていました。

得体の知れない女性「サチコ」

その女性「サチコ」は得体の知れない存在として描かれています。見た目は大柄でロングヘアー、身だしなみに無頓着といった様子で常に紙袋をぶら下げていますが、人間の女性に見えます。しかし成人男性以上の脚力を持ち、ひろしの友人で空手をしている「佐竹」と格闘してみぞおち辺りの急所を前蹴り受けても怯まず向かって来ます。
こういった人並み外れたい身体能力に加え、相手の身辺を隈なくチェックし、油断していたとはいえひろし宅のスペアキーを作ったり、警察沙汰の騒ぎになると姿を消す狡猾さも持ち合わせているだけに非常に質が悪いと言えます。
その様な相手に対し、手掛かりらしき物を掴んだひろしと佐竹はサチコの正体を突き止めようとします。
しかしやがてサチコはひろしにストーキングした挙げ句、ひろしと付き合う所だったコンビニ常連客の女子高生「ルミ」にも忍び寄ります。それに憤ったひろしはサチコと対峙します。果たしてひとしの運命は如何にといった所でしょうか。

まとめ

本作は得体の知れないストーカーに付きまとわれるホラーとなっています。ストーカーとして現れる女性、サチコは人語を話すものの話が通じていない印象を受けます。
ただ終盤のひろしとサチコが対峙する場面で意味深な独白じみた台詞があるのですが、ひろしからすればとばっちりでは無いかと思えますし、この理不尽もホラー故では無いかと思えます。